大森望さん『逆光』をつぶやく

大森望さんがトマス・ピンチョン『逆光』(新潮社刊)からの引用やコメントをつぶやく
2
大森望 @nzm

新潮社から段ボール箱が届く。何かと思ったら、まるまる全部、ピンチョン『逆光』の再校ゲラw 原書はピンチョン史上最長の1000ページ。邦訳は上下合計1700ページ超。こんなのいつ読むんだよ! と思いつつ読みはじめると気球に乗った犬がヘンリー・ジェイムズ読んでたw

2010-09-02 00:00:13
大森望 @nzm

『逆光』の書評はたぶん時給700円ぐらいだな……。

2010-09-02 00:03:26
大森望 @nzm

ピンチョン『逆光』は、エーテル仮説から、マイケルソン-モーリーの実験話に突入w しゃべる球電も登場。

2010-09-03 07:08:45
大森望 @nzm

"…急角度に削られた斜面に挟まれた谷を埋めるように、失敗したタイムマシン――〈クロノクリプス〉、〈アシモフ型世紀横断機〉、〈時間変性機Q98〉――が、使える部品をすべて外された状態で、捨てられていた。" トマス・ピンチョン『逆光』上巻再校p.639(木原善彦訳)

2010-09-03 23:04:31
大森望 @nzm

ピンチョン『逆光』上p664より: "ロズウェル・バウンスは一八九九年という早い段階で、後に標準的な〈砂中生命維持装置〉、通称「潜砂器」となるものの原理を考案し、砂の下に潜った状態で息をしたり歩いたりできる実用的な方法を編み出すことによって、砂漠の旅を革命的に変えたのだった"

2010-09-05 21:48:06
大森望 @nzm

第二部後半から、ピンチョン『逆光』(木原善彦訳/新潮社 9/30発売予定)はどんどんたいへんなことに!ヴェルヌ/ドイルが書いた『重力の虹』みたいな……。部分的には舞城王太郎/奥泉光っぽいところも。 http://bit.ly/brppfc

2010-09-05 21:54:02
大森望 @nzm

いずれにしても時間SFなのは間違いないのでSFクラスタの人はマストバイ、とか言っておこう>ピンチョン『逆光』。上下巻合計9420円だけどな! そう言えば、『重力の虹』の翻訳権を最初に買ったのは早川書房で、海外SFヴェルズから出る予定だったという話を聞いた。有名?

2010-09-05 22:01:02
大森望 @nzm

ピンチョン『逆光』上p.674 "潜砂フリゲート艦〈サクソール号〉の暗い明かりに照らされた船内を乗員が慌ただしく行き来している様子からは、砂漠地下旅行独特の興奮が感じられた。刃にダイヤモンドが取り付けられた大型砂ドリルが動作速度に達し//潜行角度を増していった"

2010-09-06 20:54:59
大森望 @nzm

中央アジアの砂漠の地下にはラクダみたいな大きさの巨大な砂蚤が生息する。知性も発達していて、人間と言葉を交わすこともできるらしい。『逆光』ではノミもしゃべるw

2010-09-06 20:58:57
大森望 @nzm

ケンブリッジ大学ガートンカレッジで数学を学ぶ美女ヤシュミーン(元奴隷の同性愛者)も萌えキャラです。"彼女はますますゼータ関数の問題に逃げ込むようになった。昼間に目が合った級友が消灯後に//狭いベッドに裸で入ってきたときも//気がつくといつもそのことを考えていた"

2010-09-06 21:14:31
大森望 @nzm

日本人の天才数学者、釣鐘ウメキ嬢(四元数主義者)登場。"美貌のアジア人は首の回りに//森の模様がプリントされた風呂敷をカウガールのバンダナのように三角折りにして巻き、ビール割りのウィスキーを驚異的なペースでぐいぐい飲んでいた" 『逆光』上p.827

2010-09-06 21:31:40
大森望 @nzm

ピンチョン『逆光』(再校ゲラ)は下巻に突入。ヒルベルトやヒントン、カントールの連続体仮説も登場、だんだんルーディ・ラッカーみたいなことにw そう言えば第一部では地球空洞説ネタ(飛行船〈不都号〉が地球内部を通過)もあったな。ピンチョンはラッカー好きなのか(違)

2010-09-08 18:01:54
大森望 @nzm

ピンチョン『逆光』下p198 ”キットは再び眠りに落ち、敵の心臓に向かって飛ぶ弾丸を夢に見た。何年も、何マイルも旅した弾丸が時々何かに当たり、角度を変えて跳躍し、まるで行くべき場所を知っているかのように飛び続けるのだ。"[続]

2010-09-08 18:06:16
大森望 @nzm

[続]"四次元時空間におけるこのジグザグ運動は五次元におけるベクトルとして表現できるだろうと彼は思った。それが存在するのがn次元だとすれば、それを見、末端を結んで単一の合成ベクトルを作るには一次元上のn+1次元が必要だ。"

2010-09-08 18:07:38
大森望 @nzm

ピンチョン『逆光』(木原善彦訳/新潮社9/30発売予定)再校ゲラ読了。詐欺のように美しいラスト。堪能しました。ま、ページは3分の1、登場人物は5分の1に減らしていい気がするが、脱線が面白いのも事実。概要はこの辺で。http://bit.ly/ceBVVQ

2010-09-10 10:14:28
大森望 @nzm

『逆光』の、日本語によるもっとくわしい粗筋は(訳語・表記が邦訳版と違うけど)、"山形浩生 の「経済のトリセツ」"で読める(一番下から遡ってください)。 http://bit.ly/aTIbZm

2010-09-10 10:17:43
大森望 @nzm

うーん。4枚で『逆光』を紹介するのは至難の業だな。って当たり前か。SFとしての書評は「本の雑誌」にあらためて書こう。SFのベストにはもちろん入れますよ! 今年の翻訳SFベスト投票はファージングと『逆光』読破がマスト、と言っておこうw

2010-09-10 18:54:26