ストレイトロード:ルート140(1周目)
- Rista_Bakeya
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余裕がある限り、いろんな場面を想像して言葉にまとめる練習をしてみることにしました。登場人物はストレイトロードの2人。これからどう広がるかな。
2013-09-20 23:26:03藍(ラン):侵略者に空を奪われた世界で、己の野望のために各地を旅する少女。13歳。空気にまつわる不思議な能力を持つ。ツインテールがお気に入り。
2013-11-09 19:54:14ゼファール:藍に専属運転手として雇われ、保護者として共に旅をする男。45歳。語り手。若い頃に一度夢を諦めたきり、特に目的を持たないまま生きてきた。
2013-12-29 21:58:33藍は青いドレスの袖を持って両肩にあて、姿見を覗き込んだ。いくつかポーズを取った後、急に私の方へ向いたと思ったら、突然聞いてくる。「似合う?」微妙だったが、ここは褒め言葉以外認められない場面だ。私は無難な点を見つけて答えた。「…綺麗な色ですね」「そう。じゃあパパに買ってもらおう」
2013-09-20 23:19:47私は抱きかかえるように藍の口を塞ぐと、近くの建物の陰に隠れて息を潜めた。彼女の顔は小さいので鼻まで一緒に押さえつけてしまい、脛を蹴られて抗議されたが、少し手を緩めるだけに留める。言葉にして説明する余裕はない。不満そうな彼女も直に気づくだろう。こちらへ近づく獰猛な唸り声と足音に。
2013-09-21 22:25:48トンネルを抜けると、潮の匂いが風に乗って車内に入ってきた。「見て!海!」藍がはしゃぎだした。私の視界には急カーブとその先に広がる森しか見えないが、彼女はどうやら枝の間に遠く海岸線を見たらしい。私の感想を聞きたいのか何度も呼びかけてくる。ここで余所見したら崖の下へ直行だというのに。
2013-09-22 22:18:35140文字で描く練習、03。海。 運転中の人は絶えず目の前の全てに注意を払う必要があるので、邪魔してはいけない。でも助手席固定の彼女はそんなことなどきっと考えてない。
2013-09-22 22:22:10「わたしみたいに“目覚めた”人、何人かいるらしいけど、全然会ったことないの」藍は助手席のシートを倒して横になっている。窓の外の星空を見ているようだ。「本当にいるのかな?」私は答えた。「今まで縁がなかっただけでしょう。その内出会うかもしれませんよ。世界は広いようで狭いですから」
2013-09-23 22:27:26一日かけて荒野を走った夜。路肩に車を止めて仮眠をとっていたら、耳障りな音が聞こえてきた。目を開けて横を見ると、藍がカーラジオをつけてノイズ混じりの音楽を聴いている。私が目を開けたのに気づいた彼女は言った。「聞こえるってことは街が近いんでしょ?もうちょっと頑張ってよ」無茶を言うな。
2013-09-24 22:55:03140文字で描く練習、05。音。 長時間の運転は危険です。体調に気を配り、なるべく危機感を覚える前に休憩を取りましょう。
2013-09-24 22:57:18戦う時、藍は真剣な顔を見せる。といっても私にはゲームに熱中する真剣さに見える。自分の命がかかっているはずなのに。「…疲れた」怪物との勝負を終えて戻ってきた藍は怪我こそないがひどく眠そうだった。私の背中にしがみついてきたので、腰を下ろして彼女を背負うと、すぐに寝息が聞こえてきた。
2013-09-25 21:49:24藍は車の屋根の上に座って、凄い形相で端末の画面を睨んでいる。機嫌を悪くさせたのは先程届いた一通のメールに違いない。差出人が気にいらない人物なのか、内容が不穏なのか。恐らく私が知ることは当面ないだろう。「何よ?」「いえ、何も」運転席側のドアの脇に立って見上げているだけでこの反応だ。
2013-09-26 23:58:51街の片隅に車を止め、助手席側の窓を全開にした。後はシートにもたれる藍が目を覚ますのを待つだけ。本人の発言を信じるなら、今頃彼女の意識はこれから向かう場所を偵察しているらしい。小さな体は世界と彼女を繋ぐ楔で、私の役目はそれを守ることだと言われた。でも私にはただの昼寝にしか見えない。
2013-09-27 22:31:01「計算できなくても生きていけるのよ。どうして勉強が要るの」藍の言葉に本気の怒りを感じた。同じ年の頃を勉強漬けで過ごし、それを当然としていた私に、その心は想像もできない。「…知っていると、何かの役には立ちますよ。例えば戦う時」「計算しながら戦ったら時間かかるじゃない。面倒だから嫌」
2013-09-28 23:47:31「結婚してないのよね。彼女いるの?あ、でもいたらこんな所にいないか」藍は聞いたそばから勝手に答えを決めてしまう。「わたしだって恋の一つもしてみたいのよ。どうやったらできるの」まず自分を省みることから始めては、とは言えない。野望を追う限り、そんな方向に心を向ける余裕などないはずだ。
2013-09-29 22:48:09すれ違った瞬間、少年は藍の手から袋を奪っていた。「待ちなさい!」叫ぶと共に藍も走り出す。角を曲がった影を見逃さず、柵を飛び越え公園を横切り、あっという間に姿が見えなくなった。私は引き返し車を出した。今なら急げば先回りできそうだ。早くどちらかを捕まえないと、街を竜巻が襲いかねない。
2013-09-30 22:31:03