岡田斗司夫氏のtwitter公開読書 「残酷な世界で生き延びるたった一つの方法」 橘玲 著 ツイートまとめ 簡易版
- Eric_Ridel
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さて、そろそろtwitter公開読書の準備に入るので、ここまでにします。では21時から公開読書「残酷な世界で生き延びるたった一つの方法」をお楽しみに。ハッシュタグは #otakingex です。
2010-10-16 20:48:32twitter公開読書、これから23時までやります。今夜の課題は「残酷な世界で生き延びるたった一つの方法」(橘玲)です。 #otakingex
2010-10-16 21:00:13さて、最初に断っておかなきゃいけないけど、僕はこの本には「良いところ」も「悪いところ」もあると思います #otakingex
2010-10-16 21:01:20良いところは「視点の新しさ」や「豊富でわかりやすい具体例」「読みやすい文体」など。悪いところは「科学知見を使ってのミスリード」「持論への強引な着地」とか #otakingex
2010-10-16 21:02:39つまり、素直に読む本というよりも、作者の繰り出す詐術スレスレの論理にどこまで乗って遊べるか?自分の常識が覆されるのを楽しみながら、いかにこの本の「毒気」を寿司のワサビ程度に楽しむか?だと思う。 #otakingex
2010-10-16 21:04:20序章「やってもできない」ひとのための成功哲学 この章は勝間和代に対する批判からはじまる。作者自身による勝間観はたいへんわかりやすく単純化されていて、下手な雑誌の特集よりも、その長所と短所がうまく表現できている #otakingex
2010-10-16 21:07:15作者による勝間流成功哲学:知識社会では勉強すれば幸福になれる→勉強できないのは努力する習慣がないから→習慣はコツであり、修得可能→仕組みとスキルで誰でも努力を習慣化できる→努力の結果報酬が増え、モチベーションがつく→すべての人が努力で幸福になれる #otakingex
2010-10-16 21:09:41この「作者によるまとめ」のどこにミスリードが隠れているか?言うまでもなく「すべての人が努力によって幸福になれる」だ。勝間和代はもちろん、こんな頭の悪いことは言わない。 #otakingex
2010-10-16 21:12:29「経済的な豊かさを目指す限り、努力の習慣化がもっとも効率がいい」程度のことしか勝間は言ってない。それを、絶対に読者が反感を持つであろう「すべての人が努力によって幸福になれる」という結論部のミスリードで一気に勝間に対する反感=持論への共感へ #otakingex
2010-10-16 21:14:46ただし、作者にとって勝間批判はあくまで「話の枕」であって、そこから「自己啓発」批判へと話が進む。ここで作者は「社会進化論」を徹底的にボコボコに。でも後の章では「心理進化論」とか言い出すから、このあたりはお互い様 #otakingex
2010-10-16 21:17:16でも、本書の面白さはそういう作者による主張よりも、豊富な実例だ。「黒人や黄色人種を排除して愛すべき白人やインディアンにチャンスを!」と叫んだベンジャミン・フランクリン #otakingex
2010-10-16 21:20:24第三代大統領のトマス・ジェファーソンは「黒人は肉体的にも精神的にも白人より劣っている、と私は提言したい」と言う。黒人解放をすすめたエイブラハム・リンカーンですら「白人と黒人の間には肉体的相違があり、一緒に暮らすことは永久に不可能」と演説した #otakingex
2010-10-16 21:22:09作者はこういう人種的偏見を嗤う。しかし本書の中で「心は遺伝する」「だから努力してもしかたない」と言い出してしまう。これが本書の中心課題 #otakingex
2010-10-16 21:24:14まず作者・橘は「知能や性格は遺伝する。こんなことは専門家なら知ってるけど、政治的にヤバいから言わない」と説明する。その論拠となる具体例は、やっぱり面白い。でも肝心の「知能は計測できるのか?」「性格を定量的に計って、遺伝が証明できるのか?」には触れてない #otakingex
2010-10-16 21:27:18「精神障害者の子どもは精神障害になりやすい、は疫学的に否定しがたい事実」と作者は言う。でも「精神障害」を定義していないから、低度のウツからちょっとした行動のクセまでぜんぶ含まれてしまう #otakingex
2010-10-16 21:29:47人の能力や才能は、本人の努力ではなく「生まれつき」「遺伝」だと主張する作者は、次に「子どもの成長に育児は関係ない」と本書で主張する。そこで引用されているのは「子育ての大誤解」(ジュディス・リッチ・ハリス)早川書房 #otakingex
2010-10-16 21:32:37作者はハリスの主張を「子どもの成長に親は必要ない」とまとめている。でも僕(岡田)はこの本を読んだことがあるけど、そういう結論じゃなかった。アメリカ人が信じ切ってる「子どもの成長は家庭が100%の影響を持つ」という信念に対するカウンター論なんだよね #otakingex
2010-10-16 21:34:57僕がハリスの著作で納得したのは「子ども同士の社会集団がもっとも強い影響力を持つ」「だから、成長をコントロールしたかったら、子どもの所属する社会集団自身を切り替えるしかない」という部分。近年のお受験ブームや私立学校ブームにはこの本が影響を与えている #otakingex
2010-10-16 21:38:01このようにハリスの原書では古典的「家庭による育児=母親次第で子どもは育つ」を否定してるだけ。「子どもの能力は生まれつき決まっていて、努力してもダメなものはダメ」などと一行も書いていない。でも本書を読むと、いつの間にかそのように信じ込まされてしまう #otakingex
2010-10-16 21:40:06なので、僕がオススメする「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」の読み方は、「信じずに、面白がる」だ。懐かしの「と学会」的な手法と言ってもいい。あるいはプロレス的、かな?勝間を悪役(ヒール)に見立てて、自分は善役(ベビーフェイス)を演じる #otakingex
2010-10-16 21:42:49・・・とまぁ、ここまではケチョンケチョンに言ったけど、「それだけの下らない本」だったら、わざわざこの公開読書には取り上げない。本書には以上述べたような「毒」があることを知ってさえいれば、びっくりするような知見や新しい発見、新鮮な視点が随所にある #otakingex
2010-10-16 21:45:25たとえば第一章。「身体能力や音楽能力は、抜きんでて優れてないと市場価値がない」「それに対して言語能力や数学的論理力は、人よりちょっと優れてるだけで労働市場で高く評価される」という視点は面白い! #otakingex
2010-10-16 21:47:47野球が多少上手くても、なかなかプロやイチローにはなれない。でもノーベル賞を取れなくても、医者や弁護士、大学教授やエリートサラリーマンなど「知的能力」は、少しの能力差でも市場ニーズがある #otakingex
2010-10-16 21:49:43ここで英国の経済学者デヴィッド・リカードの提唱した「比較優位」という考え方が紹介される。仮に能力を100点満点であらわしてみよう。デキスギ君は超優秀だから弁護士としての能力は100,タイピング能力も50ある。 #otakingex
2010-10-16 21:53:14