講談社モーニング編集長、島田英二郎氏による「良い企画作り・良い物語作り」講座

講談社モーニング編集長であり、また増刊モーニング・ツー初代編集長でもあった島田英二郎氏(@asashima1)による、漫画の企画の立て方、ストーリーの組み立て方の解説をまとめてました。 週刊漫画雑誌編集長というまさに現場の方からのアドバイス。 マンガや小説など物語作りを志す方々は、是非ご一読してみて下さい。
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島田英二郎 @asashima1

「企画力」について。もちろん「企画」という言葉そのものがそぐわない漫画作品も多々ありますが、とりあえずそれはおいといて。「企画のいい作品」というのは、ひとこと(50時以内)中身を説明できる作品ではないでしょうか? #manga #w_morning

2010-10-07 18:06:52
島田英二郎 @asashima1

「企画がたってる漫画」は企画段階ですでに面白い。「イエスとブッダが四畳半でルームシェアしてる」。ほら、もう面白いでしょ? これで22文字です。ちなみに企画がたってるとクチコミにものりやすい。人に説明しやすいから。 #manga #w_morning

2010-10-07 18:07:07
島田英二郎 @asashima1

もちろん「口で言ってもなんかピンとこない話」でも描いたら面白いことももちろんある。でも、新人さんは「描くまえにすでに面白そう」な話を目指してほしい。そうすると企画力がつく。 #manga #w_morning

2010-10-07 18:07:26
島田英二郎 @asashima1

大事なのは、頭のなかで考えるだけでなく、必ず「文章」にしてみること。それやると「企画として成立しているか否か」がはっきりする。 #manga #w_morning

2010-10-07 18:07:42
島田英二郎 @asashima1

考えてることを「文章にしてみる癖」をつけるといい。これはうちの若手編集にもすすめてますが、やってんのかな? 言葉と数字はものを考えるための最強のツールです。 #manga #w_morning

2010-10-07 18:07:58
島田英二郎 @asashima1

面白い漫画を片っ端から文字をつかって因数分解してみるとか。たとえば「(兄弟=ライバル)×宇宙飛行士」。「(スポ根×東大受験)+実用性」。「サッカー×(監督+視点)」とか。まあ、これはお遊びだけど… #manga #w_morning

2010-10-07 18:11:47
島田英二郎 @asashima1

でも因数分解してすっきりした式になるものは企画として多分強いんだと思う。若手編集者に「企画書け」って言うと、レシピじゃなくてメニューを書いてくる。たとえば「夏にぴったり! 本格キムチチャーハン 600円」とか #manga #w_morning

2010-10-07 18:12:07
島田英二郎 @asashima1

企画は作り方だから「米を炒めて卵を一個でなく二個投入。ポイントはごま油に鶏油を加えることと、ケジャンの汁を加えること。キムチはそのへんので可」とかそういうの。お客さんに見せるもんじゃない。コックに見せる設計図。 #manga #w_morning

2010-10-07 18:12:23
島田英二郎 @asashima1

企画というのは敢えて言えば「身もフタもないもの」じゃなきゃダメ。算数の式のように、シンプルで誰が見ても誤解なくわかるもの。「戦場カメラマンの悲哀を描く」とかだと企画にならない。「悲哀」の中身が式になってないと。 #manga #w_morning

2010-10-07 18:12:36
島田英二郎 @asashima1

大ヒットしてる漫画を読んで、それを自分で50字くらいの企画書にしてみるのは勉強になると思う。なんでその漫画が売れてるのか理由がよくわかる。 #manga #w_morning

2010-10-07 18:12:48
島田英二郎 @asashima1

もちろんうまく文章化できない名作もたくさんあるけど、新人さんはそういうのをいきなり目指さないほうがいいと思う。少なくとも商業作家を目指すなら。 #manga #w_morning

2010-10-07 18:13:03
島田英二郎 @asashima1

さっき、いわゆる「ネーム会議」というので新人さんのネームをまとめて見てきました。漫画はやっぱりキャラだな。キャラがあっての企画の気がする。まあ、それはさておき… #manga #w_morning

2010-10-08 19:00:34
島田英二郎 @asashima1

昨日の「企画」の話の続き(昨日だよな?)。これから描こうとする企画を50字以内にまとめると、それが企画として成立しているかどうかわかる、って話でしたが、これは1話ごとのネームにもあてはまります。 #manga #w_morning

2010-10-08 19:00:51
島田英二郎 @asashima1

延々つづくストーリーであっても、たった1話であってもピントが絞れてるほど完成度は高くなると思います。かつて王欣太さんの「蒼天航路」を立ち上げたときのこと。開始当初は原作は李学仁先生だった(のち原案)。 #manga #w_morning

2010-10-08 19:01:09
島田英二郎 @asashima1

原作がなかなかうまくいかず苦しんでいた李先生に、初代編集長(化け物) が言いました。「実際に原作を書く前に、まずその回で書きたい内容をワンセンテンスにまとめてみなさい」と。 #manga #w_morning

2010-10-08 19:02:08
島田英二郎 @asashima1

さらに凄かったのは、「そして、そのワンセンテンスを、そのままその回のサブタイトルにするんだよ」というアイデア。たとえば第5話は、「曹操、月光に明日を占い、劣勢焦燥の四天王に天啓を与える」の巻、で… #manga #w_morning

2010-10-08 19:02:24
島田英二郎 @asashima1

第6話は、「曹操、小さな馬に乗り李烈を論破。全軍その指に注目す」の巻。「曹操が李烈を論破する」だけでもネームはつくれそうでしょ? でも、それだけでネームをきり始めてしまうと、いきあたりばったりになる。 #manga #w_morning

2010-10-08 19:02:38
島田英二郎 @asashima1

「いきあたりばったり」とは、「どれくらい面白くなるかはネームの出来次第」ってこと。たとえば「どれくらいいい絵が入るか」とかそういう言わば偶然?の要素にその回の出来を頼る部分がでかくなる。 #manga #w_morning

2010-10-08 19:03:01
島田英二郎 @asashima1

ここで重要なのは、その回は「主人公が敵を倒す」という点で、すでに最低限の面白さは確保されてしまっていること。そういう回ってのはともすると油断して、結果的に甘い回になってしまうことが多い。 #manga #w_morning

2010-10-08 19:03:18
島田英二郎 @asashima1

でも「主人公が敵を倒す」つまり「曹操が李烈を論破する」だけじゃやはり設計図としては弱くて、これだと書きての調子次第?になってしまう。設計図の段階で「これは面白くなる!」というものがないと。 #manga #w_morning

2010-10-08 19:03:32
島田英二郎 @asashima1

企画はまずまずの線にいってるんで「じゃあ、これで5週連載で描いてごらん」ってなっても、なぜか1話1話が甘くなる。そういうときは、その1話で描こうとしていることをワンセンテンスで表現してみるといいです。 #manga #w_morning

2010-10-08 19:03:48
島田英二郎 @asashima1

言うは易しで、実際には「あらかじめ描く事を文章にまとめてそれからネームをきる」なんて順番にはなかなかならなりません。でも「それが理想」という意識をもつだけで変わる。 #manga #w_morning

2010-10-08 19:04:26
島田英二郎 @asashima1

ネームを進めながら、行きつ戻りつ「今自分が描こうとしていること」を常に「で、これを短い文章であらわしたら?」と考える。現実にはネームをきりはじめて、半ばくらいで突如全体の「設計図」が見えるパターンが多い。 #manga #w_morning

2010-10-08 19:04:43
島田英二郎 @asashima1

そしたら一気呵成に最後まであげてもいいし、あるいはその時点でそこまで描いたネームを没にして、最初にもどって描き直してもいい。もう「設計図」が出来てるから、驚くほど早く描けます。 #manga #w_morning

2010-10-08 19:04:58
島田英二郎 @asashima1

「設計図」の意識がないと、最後まで右往左往して、しかもピントの絞れないものになることが多いです。「設計図」=「言語化」すること。やっぱり「言葉」はものを考えるための最強のツールです。 #manga #w_morning

2010-10-08 19:05:14