茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1159回「ガイ・フォークスと、石川五右衛門」
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連続ツイート第1159回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、季節外れですが、ふと思い出したこと。
2014-01-30 07:11:06がい(1)イギリスに留学していた時のこと。ある冬の夜、誰かが、「今日はガイ・フォークス・ナイトだ」とつぶやいた、なんじゃそりゃ、と聞いたら、「たいまつをじゃんじゃん燃やすんだよ」という。「どうして?」と聞いたら、その話が面白かった。
2014-01-30 07:13:49がい(2)「昔、国会議事堂を爆破しようとしてつかまったガイ・フォークスという男が、火あぶりにされたから、それを記念して、みんなで大きなかがり火をつくって、ガイ・フォークスの人形を燃やすんだよ。花火とかもやるんだよ!」というから、ぼくはへえ〜と思った。
2014-01-30 07:15:49がい(3)以来、11月5日のガイ・フォークス・ナイトがとても気になっている。季節的にも頃合いが良くって、寒くて、日が短くて、暗い感じのときに、みんなで集まって炎を見つめるというのは、集団心理的な意義があるというか、なんだか、心象風景の奧に忍び込んでいく気がする。
2014-01-30 07:17:15がい(4)ガイ・フォークス・ナイトは、英国国外での知名度は今一つかもしれないが、イギリスの文化の中では依然として定着していて、最近も、『Sherlock』の第三シリーズの中で、ワトソンがあやうく○○されそうになる時にも、ガイ・フォークスのかがり火がモティーフとして登場していた。
2014-01-30 07:19:10がい(5)ガイ・フォークスの面白いところは、国会議事堂を爆破しようとした謀反人でありながら、イギリス人がガイ・フォークスに関心を抱いているというか、心を寄せているというところで、ここに、反体制とかアナーキズムとまでは行かないものの、民衆の素朴な心情があると思う。
2014-01-30 07:20:19がい(6)周知の通り、国際的なハッカー集団「アノニマス」は、ガイ・フォークスのお面を、そのシンボルに使っている。体制というものに対抗する、ロックンロールな姿勢の象徴として、毎年かがり火の中で焼かれてしまう男が使われ続けているというのは、面白いことだと思う。
2014-01-30 07:21:36がい(7)ところで、日本にはガイ・フォークスみたいなのがないのかと言えば、そんなことはなくて、最後は釜ゆでにされた石川五右衛門なんかは、歌舞伎なんか見ていればわかるけど、とても人気がある。ここでも、アナーキーな悪いやつだけど、だからこそ共感するという民衆心理がある。
2014-01-30 07:22:43がい(8)ガイ・フォークスも、石川五右衛門も、体制に反逆するが、それを覆すところまでは行かない。そして、最後はどちらも「あちち」(かがり火と釜ゆで)でやられてしまう。そのあたりの絶妙なバランス感覚が、体制の中に生きつつ自由を求める民衆の心根に共鳴の渦を巻き起こすのだろう。
2014-01-30 07:24:03がい(9)ガイ・フォークスのような象徴的存在があることで、アノニマスはインスパイアされている。日本では、石川五右衛門や、鼠小僧次郎吉だろうか。今ならば、ジュリアン・アサンジや、エドワード・スノーデン、ブラドリー・マニング。いつの世も、民衆は自由の在処を敏感にかぎつける。
2014-01-30 07:26:44