かかし朝浩先生によるイマジナリーライン解説

かかし朝浩＠自称漫画家 @kakashiasa

はい、そんなわけで人の悪口で自分の権威を保とうなんてゲスはほっといて、漫画家は漫画で語ることにしましょうかね。ネーム描くにあたって、イマジナリーラインの簡単な捌き方。正直、カネとって教えるような事でも偉そうに語ることでもないです。

かかし朝浩＠自称漫画家 @kakashiasa

二人の人物の会話。帽子＞メガネ＞メガネ＞帽子　と順に発言するのを、順番どおりに置いてしまうとこうなります。読めなくは無いですが、発言者がつかみづらい。これを動かしてみます。 http://t.co/srmQuVIEaE

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かかし朝浩＠自称漫画家 @kakashiasa

イマジナリーラインをまたがないように左右入れ替え、フキダシのしっぽだけで発言者を表します。割と使われる手法ですが、フキダシが誰から出てるのかちゃんと描いておかないと、かえって判りづらくなったり http://t.co/fSezIJMB8i

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できれば右側の発言者の台詞は右側に、左の発言者の台詞は左に置きたい。そこで台詞をひとつ前のコマに動かします。この場合は大して影響ないですが、注目させたい台詞はコマの初めに置きたいので、そのためにこの手が使えないことも。 http://t.co/d65NrDdzVJ

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かかし朝浩＠自称漫画家 @kakashiasa

もう一つの手段がイマジナリーライン無視とされる「回り込み」。単純に入れ替えると最初の失敗例みたいになってしまいますが、左右だけではなく「手前（読者側）と奥」の位置関係が守られていれば、それほど混乱しません。 http://t.co/BQAgfz6SXR

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かかし朝浩＠自称漫画家 @kakashiasa

まあ同じ人物同士を煮たような構図で違う場所に置いちゃうと混乱する、というだけの話で、漫画においてこの混乱が起きる状況は結構限定されています。台詞をただ順番に消化するとなりがちですが、こんなんでも解消できます。むしろ楽。 http://t.co/EY5Og2Vayz

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かかし朝浩＠自称漫画家 @kakashiasa

というわけであまりに腹に据えかねたので解説始めちゃった、同業者には今更なトリビアでした。なんか微妙な気分になった方々には大変申し訳ありません。まあデザインと発言によるキャラ立ちが完成してれば、構図が多少入り組んだくらいでは混乱しないんですけどね。

かかし朝浩＠自称漫画家 @kakashiasa

つーかね、あたくし漫画の文法ばっか気にしてるおかげでエロでも一般でも構図が地味と言われることが多いですから、過剰に気にするこた無いんですよ。気持ちいい構図と存在感のあるキャラにまさる文法はありません。

かかし朝浩＠自称漫画家 @kakashiasa

昨日のイマ何とかツイートで書こうと思って忘れてたこと思い出したー！まあ今更感強いですが、自分の発見を纏めるという意味で残しておきましょうかね。いちおう午前のノルマはクリアしたし…。

かかし朝浩＠自称漫画家 @kakashiasa

きのう@R_Nikaido　さんが引用されてたDB。足払い後でチャパ王と悟空が立ち位置入れ替わっていますが、自然に読むための工夫です。 「倒れるチャパ王」→「立ち直る悟空」を順番に見せつつ1コマに収め、「一瞬のこと」として表現。 http://t.co/MHApz1aFvJ

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かかし朝浩＠自称漫画家 @kakashiasa

これを切り返しせずに位置守って、かつ順序立てて描くとどうなるか。コマを分割せざるをえず、向かい合ってる同士が背中合わせでいまいちテンポが悪い。 http://t.co/FscaC85zRR

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かかし朝浩＠自称漫画家 @kakashiasa

比較のために、位置を守って1コマにしてみると「チャパ王倒れる→悟空着地」だった元コンテに対し、こちらは「悟空着地→チャパ王倒れる」の順番に読めてしまい、立ち回りの意味が若干変化してしまいます。一瞬の攻防を描くアクションでこれは困る。 http://t.co/O9dFg5AljJ

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かかし朝浩＠自称漫画家 @kakashiasa

元の画像に戻ってみます。悟空とチャパ王は左右こそ入れ替わってますが「手前／奥」の位置はそのままで、読み手の混乱を避けています。ここまで注意を払って、切り返しのデメリット以上の効果を上げているわけです。結論：DBはすごかった。 http://t.co/sihJ4ibEM4

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