【朝日科学記事の問題点・続2】

宗教学者 島薗進氏の連続ツイートをまとめました。 この件に関する3つ目のまとめになります。
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島薗進 @Shimazono

0【朝日科学記事の問題点・続2】3.11後の放射線健康影響情報につき専門家側のまとまった自己検証はない。メディアも同様。混乱が続く大きな要因。そこで全国紙の例として朝日新聞科学医療部を問う。http://t.co/c5ZSh6499v http://t.co/26PhLpaDwm

2014-04-15 09:10:15

【朝日科学記事の問題点】

まとめ 【朝日科学記事の問題点】 2014年4月2日発表された 国連科学委員会(UNSCEAR)の東電原発事故に関する報告書 それに関する朝日新聞大岩ゆり記者の記事と、その周辺に関して 宗教学者 島薗進氏のツイートをまとめました。 4054 pv 127 4 users 50

【朝日科学記事の問題点・続1】

まとめ 【朝日科学記事の問題点・続1】 宗教学者 島薗進氏の一連のツイートをまとめました。 まとめの中には、故日隅一雄氏のブログのリンクも入っています。 100ミリシーベルトの被曝は「安全」と言えるのかどうか。 1584 pv 52 2

島薗進 @Shimazono

1【朝日科学記事の問題点・続2】2011年4月24日の朝日記事には「国際放射線防護委員会(ICRP)は、原発事故などの緊急時は20~100mSvの範囲内で各国が決めるとした。日本は下限の年間20mSvを避難の目安にしたんだ」とあるが、そもそも「緊急時」とはどのような時期を指す?

2014-04-15 09:11:25
島薗進 @Shimazono

2【朝日…続2】『ICRP Pub 109 緊急時被ばく状況における人々の防護のための委員会勧告の適用』の説明―「被ばくを低減するためにとられる措置により混乱が発生することになるような異常な、多くの場合極めて極限的な状況に適用される」http://t.co/zKxBz29F3A 

2014-04-15 09:12:48

<参考資料>ICRP(国際放射線防護委員会)勧告 Pub.109(日本語)2008年~2009年
『緊急時被ばく状況における人々に対する防護のための
委員会勧告の適用』
http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/genpatsu/icrp/01.html

島薗進 @Shimazono

3【朝日科学記事の問題点・続2】朝日記事は「(ICRP)は、原発事故などの緊急時は20~100mSvの範囲内で各国が決めるとした。日本は下限の年間20mSvを避難の目安にしたんだ」と福島原発災害の年間20mSvは安全のための厳しく設定したかのような書き方をしているがこれは妥当か?

2014-04-15 09:13:31
島薗進 @Shimazono

4【朝日科学記事の問題点・続2】ICRPは緊急時被ばく状況は「極めて極限的な状況」と言っている。普段なら不可欠の放射線防護措置がとれない状況になってしまったので、やむをえず放射線の直接的な被害とは異なる避難に伴う混乱等による被害と比べるという措置をとらざるをえないということだ。

2014-04-15 09:13:50
島薗進 @Shimazono

5【朝日科学記事の問題点・続2】通常の防護体系が守れないのだから健康に影響が出るのだが、「極めて極限的な状況」なので他の事情も勘案して避難するかどうかの参考値を設定するということだ。2011年4月下旬にはそれがすでに1ケ月も超えて続いている。「極めて極限的な状況」の異常な継続だ。

2014-04-15 09:14:16
島薗進 @Shimazono

6【朝日科学記事の…続2】しかし朝日記事はそのことにはまったくふれずに「20mSvはかなり、余裕を持った数字だ」などと述べている。その前提は「この値が年間100mSvを超えなければ、体に影響は出ないとされている」というものだ。これは誤り。(津田敏秀『医学的根拠とは何か』p100)

2014-04-15 09:15:11
島薗進 @Shimazono

7【朝日科学記事の問題点・続2】放医研は放射線被ばく早見図を2012年4月に改訂し誤りを認めている。政治性が強いICRPや国連科学委員会よりも科学の自由が尊ばれるアメリカのBEIR「電離放射線の生物学的影響に関する委員会」の2007年の報告書ではどのように書かれているか?

2014-04-15 09:15:39
島薗進 @Shimazono

8【朝日科学記事の問題点・続2】「例えば、「オックスフォード小児がん調査」からは「15歳までの子どもでは発がん率が40%増加する」 ことが示されている。これがもたらされるのは、10から20mSvの低線量被曝においてである。」http://t.co/50t5WPaiDU 

2014-04-15 09:16:23

BEIRⅦ報告書 【翻訳】 一般向けの概要
http://archives.shiminkagaku.org/archives/2006/07/beir.html

島薗進 @Shimazono

9【朝日科学記事の問題…続2】朝日記事は「この値が年間100mSvを超えなければ、体に影響は出ないとされている」というおかしな解説の後に、新たに(ホ)「100mSvを超えたら?」とある。その答えは?(答)「ICRPは、がんで亡くなるリスクが0.5%上がる、と試算している」とある。

2014-04-15 09:17:14
島薗進 @Shimazono

10【朝日科学記事の…続2】2つの答が食い違っている。続いて、たばことの比較の話になる。「がん死亡の約3割はたばこが原因で、それに比べるととても低い。100mSvの放射線を浴びるよりも、たばこを吸う方が危険と言える」。何ともおかしなリスク比較だ。とても高いリスクと比べられてもね。

2014-04-15 09:17:47
島薗進 @Shimazono

11【朝日科学記事の問題点・続2】また、リスクを避けることができるたばこと避けられない放射線被ばくではまったく異なる。化学物質のリスクと比べればもっと分かりやすいだろうに。おまけにもう一つおかしなリスク比較がある。次の問答―(コブク郎)ぼくたちはどうしたらいいんだろう。

2014-04-15 09:18:53
島薗進 @Shimazono

12【朝日科学記事の問題点・続2】(答)「正しく怖がる」ことが大事だね。一般の人が、作業員並みの放射線を浴びることはない。客観的なデータと正しい知識を持とうね。――作業員と違うのは当然だが、そこから何が引き出される?「客観的なデータ」が得られたとしてもこの解説では助けにならない。

2014-04-15 09:19:13
島薗進 @Shimazono

13【朝日科学記事の…続2】朝日新聞の科学医療部はこのような報道の検証を一度しっかりとしておくべきではないだろうか。朝日新聞東京本社報道局編『放射能と原発・大地震』(2011年9月)の段階では、4月の記事をそのまま掲載しており、そのような考えはまったくなかったと考えざるをえない。

2014-04-15 09:19:51
島薗進 @Shimazono

14【朝日…続2】朝日新聞論説委員高橋真理子氏と武田徹氏の対談「安全・安心をどう報じるか 科学的事実と社会心理の葛藤」(『Journalism』朝日新聞社2012年9月)でも「検証」にはだいぶ距離がある。そこでは政治家と科学者と市民は批判されているがメディアの反省はわずかだ(続)

2014-04-15 09:21:05