藤原編集室さん(@fujiwara_ed)の「初めての人に薦めたい海外ミステリ」

藤原編集室さん(@fujiwara_ed)が選んだ初心者におすすめのオールタイム・ベスト海外ミステリ(短篇集中心)
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藤原編集室 @fujiwara_ed

きのうH書房での初仕事なんてツイートしたけど、厳密にいうと『ミステリが読みたい!2010年版』「初めての人に薦めたい海外ミステリ、オールタイム・ベスト・アンケート」というのがあった。(お勧め作品を20選ぶだけで、仕事というほどのものじゃないけど)

2014-04-16 09:39:48
藤原編集室 @fujiwara_ed

年間ベストは投票するほど数を読んでいないので遠慮することが多いけど、オールタイム・ベスト選びはたのしい。ただ、この手のアンケートの結果はほとんど『そして誰も』『Yの悲劇』『幻の女』『長いお別れ』といった常連組が上位を占めてしまい、面白味がない。

2014-04-16 09:40:25
藤原編集室 @fujiwara_ed

そこで「初めての人に」も入りやすい短篇集を中心に選んでみた。すこし挙げてみると――

2014-04-16 09:40:55
藤原編集室 @fujiwara_ed

1.『ブラウン神父の童心』G・K・チェスタトン チェスタトンを読むと、世界を見る目が確実にちょっと変わる。こういう探偵小説はめったにない。「折れた剣」の逆説には大地が揺らぐのを感じたが、「飛ぶ星」の美しいイメージも忘れがたい。

2014-04-16 09:41:54
藤原編集室 @fujiwara_ed

2.『エラリー・クイーンの新冒険』エラリー・クイーン 大トリック小説「神の灯」で歴史に残る短篇集だが、ヤンキース対ジャイアンツのワールドシリーズなど、スポーツを背景にした四篇も楽しい。

2014-04-16 09:42:41
藤原編集室 @fujiwara_ed

3.『謎のクィン氏』アガサ・クリスティー 謎めいた人物クィン氏が解き明かすのは、恋人たちがからんだ事件ばかり。ミステリの女王の意外な一面を明らかにする、ファンタスティックでちょっぴり不気味な連作集。

2014-04-16 09:43:18
藤原編集室 @fujiwara_ed

4.『招かれざる客たちのビュッフェ』クリスチアナ・ブランド 抜群に頭が切れ、悪魔的な小説技巧と辛辣な人間観察の目を合わせもった作家の選りすぐりの傑作集。

2014-04-16 09:43:55
藤原編集室 @fujiwara_ed

5.『不可能犯罪捜査課』ジョン・ディクスン・カー 足跡の謎、衆人環視の殺人、意外な隠し場所、歴史綺譚など、カー好みのモチーフが詰め込まれた一冊。怪奇小説ファンはM・R・ジェイムズ風の怪談「めくら頭巾」をぜひ。

2014-04-16 09:44:35
藤原編集室 @fujiwara_ed

6.『コンチネンタル・オプの事件簿』ダシール・ハメット チャンドラーよりハメット、サム・スペードよりもこの名無しの探偵のほうが断然カッコいいと思う。

2014-04-16 09:45:12
藤原編集室 @fujiwara_ed

順位はあんまり関係なく、通し番号のようなものと思っていただきたい。とりあえず最初は「巨匠」クラスを並べてみた。つづきは昼休みにでも。

2014-04-16 09:46:36
藤原編集室 @fujiwara_ed

「初めての人に薦めたい海外ミステリ、オールタイム・ベスト・アンケート」のつづき。

2014-04-16 12:16:58
藤原編集室 @fujiwara_ed

7.『メルトン先生の犯罪学演習』ヘンリー・セシル 頭を打ったお堅い法学部教授がいきなり学生相手の講義で、法の抜け穴をつく完全犯罪指南をはじめてしまう。オフビートな英国風ユーモアが楽しい。

2014-04-16 12:17:24
藤原編集室 @fujiwara_ed

8.『あなたに似た人』ロアルド・ダール 正直、ダールの評価は少々高すぎるんじゃないかと思うこともあるのだけれど、やはりこれは外せない名短篇集。「南から来た男」「味」「おとなしい凶器」「お願い」など傑作ぞろい。

2014-04-16 12:18:04
藤原編集室 @fujiwara_ed

9.『特別料理』スタンリイ・エリン 名シリーズ〈異色作家短篇集〉を代表して一冊。究極の選択を読者にも迫る「決断の時」のように、エリンの短篇は非常に真面目なものを含んでいるが、それを支える作品技巧が素晴らしい。

2014-04-16 12:18:37
藤原編集室 @fujiwara_ed

10.『11の物語』パトリシア・ハイスミス 人間の心にひそむ残酷さや歪みを切れ味鋭く、ときにブラックユーモアをまじえて描き出した、〈異色作家短篇集〉補完計画の有力候補。カタツムリ嫌いの方にはお勧めしません。

2014-04-16 12:19:18
藤原編集室 @fujiwara_ed

11.『クライム・マシン』ジャック・リッチー 自分が関わった本を挙げるのはほんとは反則なのだけれど、誰が読んでも面白い、ということでは自信をもってお勧めできる一冊。短篇ミステリが元気だった時代の最多安打選手。

2014-04-16 12:20:08
藤原編集室 @fujiwara_ed

12.『快盗ルビイ・マーチンスン』ヘンリイ・スレッサー 完璧なはずの犯行計画は空振りばかり、従兄ルビイの天才的頭脳に心酔する「ぼく」は振りまわされてばかりだが、いつのまにか読者はこの冴えない二人組を好きになってしまうだろう。

2014-04-16 12:20:54
藤原編集室 @fujiwara_ed

13.『怪盗ニック登場』エドワード・D・ホック 価値のないものばかりを盗む泥棒ニック。どうやって盗むかという怪盗物本来のハウダニットに、なぜ盗むかのホワイダニットを加味したところがミソ。

2014-04-16 12:21:34
藤原編集室 @fujiwara_ed

「初めての人に薦めたい海外ミステリ、オールタイム・ベスト・アンケート」残りの7点。

2014-04-16 18:07:32
藤原編集室 @fujiwara_ed

14.『密室殺人傑作選』H・S・サンテッスン編 単調に陥りがちなテーマ別アンソロジーを、本格物からパロディ、歴史物まで、巧みなセレクションで密室ミステリの多様性を示した編者の勝利。

2014-04-16 18:09:27
藤原編集室 @fujiwara_ed

15.『黄金の13/現代篇』エラリイ・クイーン編 EQMMコンテスト受賞作を集めた満足度の高いアンソロジー。J・D・カー「パリから来た紳士」とA・H・Z・カー「黒い小猫」が同居していた夢のような時代。

2014-04-16 18:10:08
藤原編集室 @fujiwara_ed

この調子であと5冊、短篇集で埋めてもよかったんだけど、なんだかそれもという気がしたので、軽めの長篇を並べることにした。

2014-04-16 18:12:12
藤原編集室 @fujiwara_ed

16.『懐かしい殺人』ロバート・L・フィッシュ 時代に取り残された三人の老探偵作家が「殺人同盟」を結成、古き良き殺しの伝統を復活させようとする心暖まる(?)物語。しかし、話はそううまく行くはずもなく・・・。

2014-04-16 18:12:47
藤原編集室 @fujiwara_ed

18.『黄金の褒賞』アンドリュウ・ガーヴ 巧みなストーリーテリングと適度なサスペンス。二時間でさっと読めて、十二分にはらはらさせくれて、後味がよい。職人作家ガーヴはもっと読まれていい。

2014-04-16 18:14:19
藤原編集室 @fujiwara_ed

19.『スイートホーム殺人事件』クレイグ・ライス ちびっこ探偵たちが大活躍。家族愛に恵まれなかったライスが遺した、とびきりハートウォーミングな家族の物語。新訳刊行のこの機会に。(そういう時期でした)

2014-04-16 18:15:12