地獄鎮守府の日常#０

白金桜花 @YamanekoOuka

まず最初に、わたしは犯された。 いろんな男に。 いろんな女に。 性器を貫かれ、泣き叫びながら抱かれた。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

次にわたしは手足を切られた。 何ももてず、何も歩けない、そんなお人形さんにされて、また犯された。 この頃になると慣れたのか、犯されても気持ちよくはなっていた。 でも、ひとりでうんちもおしっこも垂れ流すのは、すごく恥ずかしかった。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

なにもできないわたしに、悲しくなってよくないていた。 そうしていたら次は、目をえぐられちゃった。 痛くて叫んだけど、おじさんはくりぬいて、何も見れなくなって、空っぽな穴に、何かを入れられた。 これでもう、何も見ることができなくなった。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

きれいな景色も。 きたないおじさんも。 きたないおねえさんも。 わたし自信も。 なにも。 なにも。 見れなくなった。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

そして飽きたら、性器にいろんなものを入れられた。 刃物とか。 刺々しい何かとか。 拷問具とか。 何回も何回も何回も性器をぐちゃぐちゃにされ、 子供を埋めない体にされた。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

何もかも引き裂かれ、わたしはどんどんとこころが沈んでいく、死ぬのかな、でも悪くないよね。 おとうさんとおかあさん、げんきかな。 あれ？ でもおとうさんとおかあさんには、まだ出会ってなかったんだ。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

ああ、これは昔なんだ。 おとうさんにも、おかあさんにも会う前の、わたしだったんだ。 どんな姿だったんだろう、おとうさん。 どんな姿だったんだろう、おかあさん。 気になるけど、わたしはなにも見れないから、わからない。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

でも、もう、どうでもいい。 だってもう、眠くなっちゃったもん。 おやすみ、わたし。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

意識が目覚めた時、私は既に鎮守府に居た。 鎮守府はまるで宇宙船の中のように金属のようなものででき、塗装された壁で構成される、素敵な世界だ。 その時の私は状況を恐ろしい程に理解していた。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

私は叢雲と言う名前の駆逐艦。 この鎮守府に着任した艦娘、正式名称ヒト型汎用多目的艦で。 ここに来る前の艦としての人生は、結構戦ったけど、特にぱっとした戦果も出せず、仲間を助けようとして、殺された。 それが「私」駆逐艦叢雲だと、理解していた。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

司令官は大柄のおじさんだった。 既に鎮守府には艦娘で一杯なのに、彼の秘書艦になった。 なんでなのかわからない、ただ、仕事をやるだけやる。 こんな優しい目の人で大丈夫なのか、きつく当たった。 「あんた、また始末書溜め込んだでしょ」 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

「ハハハ、叢雲ちゃんは厳しいなぁ」 「当たり前よ、私達が産まれた異議は海と人を守る為、その為の艦娘よ」 テンプレート的な発言、思い返すと恥ずかしい答え。 「海と人を守る為、か……ああ、その通りだね」 そう語る提督の横顔はどこか悲しげで、どこか寂しげだった。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

私は昔死に別れた仲間とも出会った。 その子は黒髪のポニーテールで。 どちらかと言えば地味目だけど、しっかりした顔つき。 小柄が、がっしりと筋肉が付いた肉体。 腰につけた、ミスマッチな日本刀。 第十一駆逐隊の仲間、吹雪だ。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

「あ、えーと……叢雲さん、久しぶりです」 「吹雪じゃない、元気にしてた？」 私と同じ、戦った回数は多いけど、ぱっとしない死に別れた戦友だ。 「ええ、司令も優しい人ですし、今じゃすっかり遠征で結構荒稼ぎしてますよ？」 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

彼女は語る、遠征……鎮守府の管理システムの出すミッションを遂行する事により、ボーナスを得る行動。 海域を進行し、敵艦を破壊する、これは艦娘の花形的仕事だが、実際に彼女達を支えるのは遠征で得るボーナスである。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

故に、鎮守府内で彼女は顔が効く、生命線たる資源が枯渇すれば第一艦隊の運用も支障が発生するから。 「しかしまぁ、東雲も薄雲も白雲も居ないわね……」 嘗ての仲間、第１２駆逐隊、その一員として戦っていたが、顔もわからず、不安になる。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

「まぁ、何時か会えますよ、きっと、きっとです」 そう吹雪が活発な声で希望的に語ると、私は少し落ち着いた気分になった。 こうして、私と吹雪は友達になった。 友達と言うには、吹雪の方がどこか老成してる気がしたけど。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

ほどほどに戦い、ほどほどに休み、ほどほどに喰い、ほどほどに過ごす。 私と吹雪と司令官は３人でよく、一緒にいることが多くなった。 吹雪も司令官とは長い付き合いなのか、二人はたまに、夫婦のように連携がとれる時もあり、私は娘になったような錯覚を覚える。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

私達は今、休日がてら映画を見てる。 映画鑑賞が趣味なのか、私も一緒に付き合わされる。 今見てるのは古い古い、白黒映画。 多層構造の未来都市に住まう、労働者と知的階級、その摩擦、闘争、そして救済。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

映画のタイトルはメトロポリス、すごい昔の映画だけど、この鎮守府に起こりうる可能性を描いたＳＦ映画として私は見ていた。 この時はまだ、起こりうるだけで、大丈夫だと思ってたけど。 「脳と手には心がなくてはいけない、いい言葉よね」 吹雪が、司令官に向かって言う。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

「私は心になれているかね、どう思う？」 「十分、なれてるわよ、ねぇ？」 そう私は吹雪に同意を求めると、吹雪は笑顔で返した。 子ども扱いされるのは嫌だけど、私はこの世界に居場所があった。 それは心地よく、悪いことじゃなかった。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

鎮守府入口の広間を兼ねる室内庭園、その窓から覗かれる九龍鎮守府と香港島の間を流れるビクトリア・ハーバーが陽光に照らされ船や艦娘が行き交う光景は美しく、ベンチに座る私の心を癒す。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

提督にプレゼントされたヘッドフォンと音楽プレイヤーで私は眼を瞑り、お気に入りの曲を聞く。 前世に比べればまさに天国、安らかな楽園だった。 「あ、叢雲さん、此処に居たんですか」 聞きなれた声が聞こえたので、目を開ける、そこには吹雪が居た。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

「ええ、昼寝をするならここが安牌かしら」 「へぇ……」 関心したような顔になり、吹雪は隣のソファーに座る。 「……ちょっと空気を壊すかもしれないけど、質問、いいかな？」 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 @YamanekoOuka

「あなたは……今の鎮守府ってどう思う？」 隣りに座った吹雪は、私の方に顔を向けないまま真剣な声色で私に問う。 #地獄鎮守府の日常