【実況】 「レイジ・アゲンスト・トーフ」 エピソード6 「ナラク・ウィズイン」 #2(発掘終)
第1巻「ネオサイタマ炎上」より 「レイジ・アゲンスト・トーフ」 エピソード6「ナラク・ウィズイン」 #2
2010-11-09 22:07:57「ニンジャ殺すべし!」 ニンジャスレイヤーはチョップの構えを取り、一直線にビホルダーへと駆け込む。だがそれを遮るように、テッコを構えたシガキ・サイゼンが立ちはだかった。さらに、ビホルダーに操られた他のクローンヤクザたちも、ニンジャスレイヤーを四方から取り囲むように動き出す。
2010-11-09 22:11:58「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーのチョップがシガキのくり出すテクノカラテと真正面から激突し、火花を散らす。戦闘義手がピストン運動し、チョップの腕を後方へと弾き返した。姿勢が崩れる。ウカツ! ニンジャ以外の敵に注意を払わないフジキド・ケンジの未熟さが出てしまったのだ。
2010-11-09 22:15:24続けざま、這い寄るコブラのようなテクノカラテがニンジャスレイヤーの股間を襲う。ナムサン! だがニンジャスレイヤーは素早い垂直開脚ジャンプで辛うじてこれをかわし、空中パンチでシガキの顔面を強打した。「グワーッ!」シガキの首が後方に180度以上回転し、たまらずもんどりうって倒れる!
2010-11-09 22:21:59#NJSLYR バック=ホームとは、ネオサイタマ市民が家に帰る際に、家宅にほど近くまで来た際にしかるべき窓にボールを投擲し、家人に帰宅を前もって告げる儀式のことである。
2010-11-09 22:25:43ニンジャスレイヤーは、重役室の隅に退いたビホルダーに向かって突き進んだ! 床に散らばった札束やマグロ粉末が踏み荒らされて舞い、ボンボリ非常ライトの赤い明滅に照らされる! ビホルダーの投げるスリケンの雨をかいくぐりながら、あと20フィート! 10フィート! 5フィート! その時!
2010-11-09 22:36:11「イヤーッ!」ビホルダーは両手をこめかみにあて、サイバーサングラスのスモーク透過率を50%にしたのだ。青白いヒトダマをたたえた眼がニンジャスレイヤーの視線と交錯する! 「グワーッ!」カナシバリ・ジツ! フジキドはチョップをくり出す寸前で、ローマ戦士の彫像のように固まってしまった!
2010-11-09 22:41:02「貴様がニンジャスレイヤー=サンか」ビホルダーは涼しい口調で言う「正体を明かしてもらおう。お前の手で、そのメンポと頭巾を外すのだ」。ニンジャスレイヤーの手がバリキ中毒者のようにわなわなと震え始める。フジキドは何が起こっているのか理解できなかった。敵が使ったジツの正体すら判らない。
2010-11-09 22:51:06「……どうした、早くしろ」ビホルダーが次第に苛立ち始める。ジツにかけられたはずのニンジャスレイヤーは、強靭な精神力でビホルダーのジョルリとなることに抗い、手の動きを止めたからだ。フジキドの胸の中では、目の前にいるソウカイニンジャに対して黒い怒りが燃え盛っていた。
2010-11-09 22:57:39再び、ニンジャスレイヤーの腕がぴくりと動く。だが、それは自らのメンポを外すためではない。大きく振りかぶり、チョップをくり出すためだ! 自らの能力を過信していたビホルダーは、サイバーサングラスに手を伸ばすも間に合わない! ナムアミダブツ! 「グワーッ!」
2010-11-09 23:00:26だが、絶叫とともに弾き飛ばされたのは、ビホルダーではなくニンジャスレイヤーのほうであった! 何故か?! それは首をゴキゴキと回して立ち上がったシガキ・サイゼンが、ジョルリ・マスターであるビホルダーを守るために、ニンジャスレイヤーの側面から痛烈なテクノカラテを食らわせたからだ!
2010-11-09 23:03:49ニンジャスレイヤーの体はピンボールのように飛んでゆき、オイランポールで勢い良く三回転してから、その横にあった漆塗りコケシ箪笥に命中してこれを叩き割った。ゴウランガ! 重役たちがコレクションしていたコケシやタヌキや大きいショウギ駒が、雪崩を打ってニンジャスレイヤーの上に崩れ落ちる!
2010-11-09 23:08:09並の人間なら即死する量のコケシに押しつぶされながらも、ニンジャスレイヤーは麻痺が解けたことに気付いていた。再び正面から攻撃をしかけるべく、ブリッジから体を起こそうとしたその時、地獄の底から響いてくるような声が脳内で木霊する。『愚かなりフジキドよ、それでは奴の思う壺』『何だと!?』
2010-11-09 23:15:38『奴に憑依したニンジャソウルの正体は、コブラニンジャ・クランのグレーター・ニンジャだ。正攻法のカラテで攻めれば最後、奴は今度こそ裸眼で強力なカナシバリ・ジツを使い、オヌシは即死するであろう』『ではどうする?』『フジキドよ、オヌシの体を俺に預けろ』『断る』『仇を討ちたくないのか?』
2010-11-09 23:18:37ビホルダーはキコキコと車椅子をこいで位置を取り直し、クローンヤクザたちをコケシ箪笥の残骸の周囲に移動させた。「「「まさか、カナシバリ・ジツを破るとは。ラオモト=サンの機嫌を取るために、ニンジャスレイヤーを生け捕りにしようと思ったのが間違いだったか。次こそは確実に仕留めねば」」」
2010-11-09 23:22:41「ん、お前、何を泣いている? ズバリが切れたのか?」ビホルダーはシガキを人差し指で手招きする。ジツに操られたシガキの眼は冷凍マグロのように虚ろだが、その目からは自らの夢が潰えようとする無念の涙がいまだ流れ落ち、口はぴくぴくと引きつっていたのだ。
2010-11-09 23:25:32「死ぬまで戦えるようにしてやろう」ビホルダーは腰に吊ったニンジャ巾着から高濃度ズバリ・アドレナリンのアンプルと細いプラスチック製シリンジを取り出し、跪かせたシガキの首元に手早く注射した。「アイ……アイエエエエエエエ!」シガキの口から、恐怖の絶叫とも雄叫びともつかぬ声が漏れる。
2010-11-09 23:29:25