インフルエンザにタミフルは本当に意味がないのか?コクランの落とし穴
- DrMagicianEARL
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インフルエンザに対してタミフルには限定的な効果しかないというコクランレビュー(CDSR 2014;4:CD008965)が出た.まあ毎回ながら牽制しておく.この手のメタ解析で,あらゆる患者層でタミフル意味がないと勘違いする人が毎回出るので
2014-04-11 18:39:15承前)この結果からは免疫力がある健常成人においてはタミフルを含む抗インフルエンザ薬を投与せずともさほど影響はないと考えられ,少なくともインフルエンザ患者全員に一律に抗インフルエンザ薬を投与する必要性はないと考えるのは妥当.インフルエンザは多くの場合,自然治癒しうる疾患.
2014-04-11 18:40:10承前)ただし,コクランは「学会誌等に掲載された論文は製薬企業の意向を反映している可能性が高く,各国の規制当局が保有する臨床試験の成績を解析した」と述べているにもかかわらずいくつかは学会誌にも掲載されている報告があり,解析対象に矛盾が生じている.
2014-04-11 18:41:42承前)また,今回のメタ解析にどこまでのバイアスの影響があるか分からないが,コクランレビュアーの名前に注目.浜六郎氏がいる.こんなにバイアスがかかった人物をコクランレビュアーに入れていいのかは甚だ疑問.
2014-04-11 18:43:54承前)さらにコクランメタ解析は死亡リスクの高い患者をあらかじめ除外したRCTのみしか扱っていない.米国CDCは「規制当局が保有する臨床試験のみでタミフルの効果を結論づけるべきではなく,観察研究で評価されるべきである」としてコクランを批判した声明を出したことがある.
2014-04-11 18:45:13承前)以上をふまえると,季節性インフルエンザならばハイリスク例や重症例以外ではタミフルの必要性は低い.一方でハイリスク例・重症例で有効と示す報告はメタ解析を含めいくつもある.さらに新型インフルエンザとなれば健常者といえども重症化リスクは不明…さて備蓄は無駄と簡単に言えるだろうか?
2014-04-11 18:49:37承前)最近の大流行した新型インフルエンザは2009年のH1N1.パンデミック時の各国の死亡率をみると,インフルエンザ罹患時は自宅待機しタミフルは服用しない方針であった海外の多くの国と比較して,早期に病院を受診しタミフルを処方されていた日本は最も死亡率が低かった
2014-04-11 18:54:24承前)これにより,これまでタミフル処方に対して否定的見解を示してきたWHO,CDCもタミフル使用検討に方針変更となっている.最も高い死亡率となった米国も「H1N1pdm2009時は日本のようにタミフルを積極投与をすべきであった」との反省を示している.
2014-04-11 18:55:25承前)これらのことから,健常者の季節性インフルエンザに対するタミフルがあまり有効でないことを,新型インフルエンザに対してタミフルは有効でないと読み替えるのは非常にリスキーと思われる.パンデミック初期は正確な毒性,死亡率は不明であり,備蓄はリスクマネージメントの一貫として考慮すべき
2014-04-11 18:58:46言い忘れていたが,小児でのタミフルによって異常行動が生じる可能性は“否定はできない”ので処方制限は継続.ただし,インフルエンザそのものでも異常行動は生じうるという説明が必要.なお,タミフルを服用有無での異常行動発生率は図の通り http://t.co/zRa9QpZb9E
2014-04-11 19:29:10