横浜港・南本牧埠頭について、 (t_i)さんの解説

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('_') @shangri_la_19_o

昨晩放映のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、横浜港でコンテナ荷役に従事するガントリークレーン運転手が登場。ダイナミックさと精緻さを兼ね備えた驚異の荷役技術と、チームワークで支える国際物流の最前線。しびれましたねー。再放送は今週木曜深夜なので、未見で興味のある方は、ぜひ

2014-04-22 08:51:18
('_') @shangri_la_19_o

昨晩の放送を観たひと、これから観ようというひとに向け、ちょっと解説めいた連続ツイートを

2014-04-22 08:53:29

('_') @shangri_la_19_o

舞台となった横浜港・南本牧埠頭は日本で最も深い水深16メートル岸壁2バースと、これまた国内最大級のスーパーガントリークレーン6基を擁する、日本のコンテナターミナルの代表格。世界最大手のコンテナ船社マースク・ラインが、日本における拠点として利用しています

2014-04-22 08:57:21
('_') @shangri_la_19_o

マースクも含め、世界規模でコンテナ船を運航している大手船会社は、世界の要所に戦略的に自営コンテナターミナルを構え、物流の囲い込みを行ってきた。マースクの場合、北東アジアにおける戦略的拠点港はここ横浜・南本牧と韓国・釜山新港、光陽港

2014-04-22 09:02:12
('_') @shangri_la_19_o

世界最大手のコンテナ船社だから、当然、港での荷役に対する要求も厳しい。より速く、より低廉に。であるから、昨晩の番組に出演した方はおそらく、まちがいなく日本のガントリークレーン運転手でトップ級の技量を持つエース・オペレーターのひとり

2014-04-22 09:08:17
('_') @shangri_la_19_o

付言しておくと、日本のコンテナターミナルの荷役効率のたかさは、横浜だけでない。5大港(東京・横浜・名古屋・神戸・大阪)、博多、北九州、清水あたりも世界標準の荷役効率(1時間当たり30本前後)を大きく凌駕しており、そのベンチマークはおそらく40本超/h。そのなかでの突出事例が南本牧

2014-04-22 09:14:28
('_') @shangri_la_19_o

@semakixxx 現場で岸壁エプロン部から見あげたことがあるのですが、ほんとうにいきおいつけて振りまわしています。でありながら、積み下ろしされるコンテナの軌跡は、ポイント・ツー・ポイントできれいに放物線を描くうつくしさ。けっして誇張でなく、陶然とさせられるうつくしさです

2014-04-22 10:52:35

('_') @shangri_la_19_o

横浜・南本牧埠頭のみどころはなんと言っても現在日本に寄港する最大船型のコンテナ船が利用すること。番組にも出てきたけれど、毎週後半にアジア~北欧州サービスに投入されている9000個超(20フィートコンテナ換算)船がはいってきます

2014-04-22 11:52:11
('_') @shangri_la_19_o

このサービスは日本国内だとほかに名古屋(飛島南公共)、神戸(六甲)にも寄港するけれど、両港のターミナルともスーパーガントリーではなく、荷役投入基数も横浜ほどではない。勇壮なスーパーガントリー6基荷役を見られるのは、日本では横浜・南本牧だけ

2014-04-22 11:53:03
('_') @shangri_la_19_o

南本牧寄港のアジア~欧州サービスは「定曜日サービス」と呼ばれる毎週寄港。1サービス(系統)にほぼ同じ船型11隻が投入されアジア・地中海・北欧州をぐるぐる行き来しています。日欧の所要日数は7(日)×11(隻)を2で割った、およそ38日。横浜を出た同じ船は77日後にもどってきます

2014-04-22 12:10:22
('_') @shangri_la_19_o

コンテナ船業界で世界最大手のマースク(デンマーク)の場合、こうしたアジア~欧州サービスを6系統もっています。けれども、このうち日本に寄港する系統はひとつだけ。ちなみに中国の港には6系統すべてが、韓国には2系統が寄港しています

2014-04-22 12:15:47

('_') @shangri_la_19_o

いま、マースクは世界最大となる1万8000個積み超大型コンテナ船をぞくぞくと建造、就航させていますが、投入さきの系統は、「日本寄港以外の」アジア~欧州サービス。残念ながら世界最新鋭・最大の超大型コンテナ船を日常的に日本で見ることのできる可能性は、ほぼゼロです

2014-04-22 12:23:46
('_') @shangri_la_19_o

なぜ日本の港がそうなっているかというと、「世界の工場」としての役割が日本から中国に移り、日本出し・欧米向けの輸出貨物のシェアが、総体的に落ち込んでしまったから。貨物のない国・港に大型船を入れる船会社は基本存在しない。世界規模の経済活動の当然な帰結であり、冷厳な「現実」でもあります

2014-04-22 12:29:28
('_') @shangri_la_19_o

世界最高レベルの技量をもったガントリークレーン運転手がいる横浜・南本牧埠頭。昨晩の放送ではこのターミナルの年間取扱量を50万個と紹介していたけれど、じつはこの数字、最盛期の南本牧の半分ていどの実績。6年まえのリーマン・ショックで輸出貨物が落ち込み、以来、貨物がもどっていないのです

2014-04-22 12:37:52
('_') @shangri_la_19_o

北米・欧州の長距離基幹コンテナ航路が寄港する主要コンテナターミナルの運営において、ひとむかしまえまでその採算分岐点は1バース当たり年間25万本程度の荷役とされてきました。南本牧のターミナル運営は損益的にけっこう厳しい水準すれすれを「低空飛行」していると見ることもできる

2014-04-22 12:42:13
('_') @shangri_la_19_o

厳しいのは南本牧だけではなく横浜港全体。輸出貨物の伸び悩みは日本の主要港共通の傾向だけれど、増加しつづけるアジア域内のコンテナ貨物、特に日本への輸入貨物は東京湾のばあい最終消費地にちかい湾奥の東京港に吸い取られてしまっている

2014-04-22 12:49:28
('_') @shangri_la_19_o

横浜港の外貿コンテナ年間個数は4年連続で減りつづけ、昨年2013年の速報値で260万個。リーマン直後の水準にもどってしまった。となりの東京港は435万個で4年連続増・15年連続の国内首位キープ。数だけでみれば水をあけられるいっぽうの横浜は、3位名古屋(253万個)に肉薄されている

2014-04-22 12:57:39
('_') @shangri_la_19_o

昨晩の番組の舞台となった横浜・南本牧埠頭ではいま、現有2バースの対岸に第3バースの建設がすすめられている。岸壁水深は現有バースより4メートル深い20メートル(!)。世界最大の1万8000個積コンテナ船にも余裕で対応できる規格

2014-04-22 13:08:44
('_') @shangri_la_19_o

しかし、さっきもツイートしたように、今後、物量面でかぼそい日本の港に1万8000個積みが寄港する可能性はほぼゼロ。加えて横浜は欧州方面に向けての「始発港」(ファースト・ポート)なので、ふつう喫水もあがりきった状態で寄港してくる

2014-04-22 13:11:44
('_') @shangri_la_19_o

もう、どう考えても日本の港にこれだけのスペックは必要ないのに、工事だけはすすむ不思議。この話にはいりはじめると、日本の港湾行政そのものの宿痾あるいは「闇」に触れざるをえなくなるので、きょうのところは割愛します(笑

2014-04-22 13:15:19

('_') @shangri_la_19_o

ちょっと目先を変えて、昨晩の番組に登場したガントリークレーン運転手さんがどんな位置づけなのかを説明します

2014-04-22 17:49:56