全国学力テスト。公開是非を論じるよりも、まずこの悪問っぷりを知ってくれ。（平成26年4月22日実施／小6メイン）

福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

全国学力テスト2012（小学校・国語）――こんな問題では国語力を計測できない - Togetterまとめ http://t.co/lBYUnQpDvP

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全国学力テスト2013国語、やっぱりこの程度の問題（笑）。 - Togetterまとめ http://t.co/v1D2CPntPO

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先にも書いたが、問題・解答・解説などはすべてPDFでこちら（ http://t.co/bzV7lXghsT ）に公開されているので、興味のあるかたは、ページをめくって問題を確認しながらツイートを読んでいただきたい。

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小A／P.3-4）「いつの間にか灰色の雲が広がり、公園はだんだんと暗くなってきました」という文が示すのが表情なのか、心の中の声なのか、風景なのか、行動なのかを選ばせるだけの問題。しかし、これが「書く力」を試す問いであり「情景描写の効果をとらえることができるかをみる」問いだと言う。

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まあ、100万人単位の子どもが受けるテストだから、多くを選択式にせざるを得ないのは認める。難易度のバランスも考えると、こういう平易な問いも盛り込むべきだというのはわかる。

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しかし、同じ平易な設問にするにしても、具体化させるのか抽象化させるのかは慎重に考えてほしかった。人物の心情を言葉で直接描写せず、風景を通して間接的に描写する力をみたいというのなら、やはり具体化設問にすべきだっただろう。

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「灰色の雲、暗くなってきた」を「風景」に変換させるのではなく、その逆を課すべきだった。風景を通して「さびしい」という心情を伝えているのはどれか、と。このほうが、難易度は平易なままで、問うべき能力に近づける。

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学力テストってのは、全体に、お説教めいてるんだよな。問題の中に、お説教が多い。もちろん、人物の会話などに変換されてはいるが、お説教はお説教。で、そのお説教の途中が空欄になっていたりする。

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子どもの能力の有無を調べる問いというよりも、「こういう能力を身につけろよ」とお説教している感じの問いが多いんだな。

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おっと、こんな調子じゃ何時間あっても終わらないぞ（笑）

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それぞれの問題の良し悪しを、ランク付けしたいと思う。D→C→B→Aの順に、質が高くなるようにする。B゜（Bマル）はBよりも少し良い。

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いまの小A／P.3-4は、「B」。まだ違和感が少ないほう。

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小A／P.5-6）捨て猫を見つけた体験を通して命を大切にしようと訴える投書を読ませ、その文章が、複数の情報を比べて書かれているか、ことわざや言い伝えを引用して書かれているか、反対意見を取り上げて書かれているか、自分の実体験をもとにして書かれているかを選択させる、あほらしい問題。

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これが「体験を通して」書かれているのは明白。しかし、その選択肢は4番目にある。1～3を読む中でそれらを消去する必要がある。体験を通して書かれていることに異存のない子でも、1～3を否定できないとミスする可能性が残る。

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たとえば、選択肢1にすぐさま登場する、「複数の情報を比べ、内容の違いに注目して書いている」という文そのものの意味をとらえる力がないと、ミスが誘発される。「情報って、なんだっけ」といった壁があることになる。

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このように、最も問いたい中核的な能力の周りに幾重にも「壁」があり、結局その壁が邪魔をして、中核的能力の有無を調べられないような設問が、学力テストには実に多い。

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この問題であれば、こう問うべきだった。「体験を通して述べていると言える投書は、次のうちどれか」。投書の文字数（約250字）を減らせば、このくらい容易。というより、「投書」という設定（脚色）をやめて、100字の（普通の）文章を4つ読ませるくらいにすればよかった。

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ということで、小A／P.5-6はC゜だな。

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小A／P.7-8）志賀直哉「かくれんぼう」の一節を読ませ、空所に人物名を入れさせる設問。これはまあ素直な良問だと思う。が、欠点もある。

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もともとの文章が、地の文において、ある人物は「さん」づけ、ある人物は「さん」なしになっているため、「（　　）さん」という空所の答えが、そういう形式的情報から推測できてしまう。これじゃあ、パズルだ。せっかくの良問に傷がついている。ということで、小A／P.7-8は「B゜」。

福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

そもそも本文の選択が間違ってる。なぜ志賀直哉「かくれんぼう」なのか。「ジョールさん」「オデットさん」などという耳慣れない人物名が出てくるような、しかも「まゆ根を寄せ」「後ろで」「不興気」と３つも注釈をつけなければならないような文章を選ぶ必然性はない。自作すればいいのだ。さぼるな。