惚れ薬を飲ませてみったー

Nicola @Nicola_nn

@sousakuTL 【惚れ薬をジュンコに飲ませてみようぜ】ジュンコはLWに出てくるジュンを勝手に女子化させたものです

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@sousakuTL 「ただいま」ジュンコが玄関先でローファーを脱いだところで、部屋の中に人の気配がないことに気づいて眉間に皺をよせる。あの馬鹿兄貴め、また鍵を締め忘れやがったな、と心の中で悪態をつきながら並んでいたスリッパを無視してそのまま家にあがる。

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@sousakuTL 短い廊下に沿うように並ぶトイレや風呂にも気配はない。キッチンにもない。小さなリビングにも、兄の自室にも。あまり広いアパートでもないので、捜索するほどでもない。 ジュンコは無言のまま自室の扉をスパーンと勢いよく開き、軽いスクールバッグをベッド脇に放る。

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@sousakuTL 鍵を締めていないってことは鍵を持ち出していない可能性が高いな、とジュンコは冷静に考える。ブレザーを脱ぐ前にまた玄関先に戻って、ガチャンと鍵をかけた。ついでにチェーンも。

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@sousakuTL 何度締め出せば懲りるのだろうか、とジュンコは呆れながらも自室へ戻る。しっかりしているんだかうっかりしているんだか分からない兄にため息しか出ない。防犯意識皆無である。

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@sousakuTL 胸元の大きなリボンをほどき、上着をベッド上にバサリと投げる。ぱちん、とシャツのボタンを外しかけた時、玄関からガチャガチャとノブを回す音が聞こえた。ジュンコは脱ぐ手を一旦止め、カバンの中から携帯を取り出す。そのまま履歴の一番上にそのままコール。

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@sousakuTL ワンコールで相手が出たので相手に何も言わさずに「うるさい」とだけきっぱりと伝えてそのままブチっと通話切った。携帯がすかさず着信を知らせるが、音もバイブも切っていることをいいことに無視してベッドへダイブさせる。もう一つシャツのボタンを外しながら部屋をでる。

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@sousakuTL 「ジュンコ！鍵開けろよ！」部屋を出ると玄関の向こう側から声が聞こえてくるが、彼女は気にしたそぶりもない。「あ、すみません…妹に閉め出されちゃって」と兄が謝る声も聞こえるがスルーする。 ジュンコは足取りも軽く冷蔵庫を開けて適当にペットボトルを取り出した。

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@sousakuTL 自分が買った覚えのないジュースのようだったが気にもとめず封をあけて口をつける。「…まず」と思わずこぼして顔をしかめる。一口で飲むのを止め、口直しに冷えたお茶を取り出した。コップにそれを注いだ時、鍵が開く音が聞こえた。いつも通り大家に開けてもらったに違いない。

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@sousakuTL 「うわっ、チェーンまでかけてやがる…」扉の隙間からより鮮明に声が聞こえるようになる。ジュンコはそれを聞いてからようやく動き出した。お茶の入ったコップを手に持ったまま玄関に向かう。 「あ！ジュンコ！チェーン外してくれよ！」兄が困ったように言う。

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@sousakuTL ジュンコはその声の方向を見もせず右手をあげて、何度か動かした。喋るのが面倒な時に彼女が使う手話だ。それを見た兄であるリュウは「本当に悪かったって」と両手を合わせて頭を下げた。ジュンコは目をあわせないまま廊下の途中で立ち止まった。

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@sousakuTL ジュンコはハイソックスをつま先を引っ張って脱ぎ、風呂場の隣にある洗濯機にそれを投げ入れる。裸足のまま廊下を引き返そうとするのでリュウが慌てて「待てって！なあ、ジュンコ！」と声をかける。 ジュンコが面倒くさそうにリュウを振り返った。目が合う。

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@sousakuTL リュウが目が合って即座に「ごめん！本当にごめん！ちょっと下のコンビニ行ってただけで…」と言い訳を始めるが、ジュンコは何も言わずに唾を飲み込んだ。そのまま言い訳をまくし立てているリュウにペタペタと裸足で近寄っていく。チェーン越しに背の高い兄を見上げる。

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@sousakuTL 「ジュンコ、開けてくれるか…？」リュウがそっとたずねた瞬間、ジュンコは細い足を上げて扉をガンっと蹴っていた。リュウが突然のことに驚いて扉から離れるとジュンコは扉を引っ張って閉めた。そのまま淡々とチェーンを外す。外した音が聞こえたのか、リュウがノブを回した。

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@sousakuTL 「ジュンコごめん、そんなに怒らないでくれよーーっ！？」リュウが玄関に踏み入れた瞬間、がっとジュンコが手をつかんで思い切り引っ張った。一瞬すぎてクロックスが上手く脱げず、土足のまま一歩室内に踏み込む。 「何、どうしたんだーー」 「兄さん…」

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@sousakuTL そのままぎゅっと抱きつかれてリュウは硬直した。自分の妹は殴り飛ばしてはくるものの、こんな風に抱きついてくることはほぼ皆無だ。何があったんだ、と目を白黒させている間にジュンコは腕に力をこめてくる。一方的な熱い包容だ。

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@sousakuTL 普段なら絶対ないことに嬉しさと怖さが湧きあがるのを感じながらリュウは慌ててジュンコの肩を掴んで引っ剥がそうと力をこめる。ただ、ジュンコもなかなか力は強い。むぎゅ、と腕に力をこめて離れまいとする。 「なんなんだ…」

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@sousakuTL それでもリュウはなんとか引き剥がし、彼女の手からこぼれそうだったコップを奪い取る。 「ジュンコどうしか、熱でもあるんじゃ…」「熱い…」「ほらみろ。風邪でも引いたんだろ。熱計ってみろ」「違う…」「違うってなんだ…」 リュウが靴を脱いでジュンコの背を押しやる。

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@sousakuTL ジュンコはぽーっとしたままリュウに押されて椅子に座らされる。リュウは妹がやけに自分を見てくるのを感じながら「水と薬だすから。ちょっと待って」と背中をむけた。冷蔵庫をあけ、水の入ったペットボトルに手を伸ばして、あることに気づく。

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@sousakuTL 「ジュンコ…もしかして、これ飲んだのか」一口分なくなったペットボトルジュースに、リュウは顔をしかめる。バカなネタが好きな友人がよこした得体のしれない液体だ。自分は飲んでいないので、この家に居るジュンコが飲んだ可能性が高い。「…まずかった」「飲んだのか…」

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@sousakuTL 友人がくれたとき何だと言っていたかな、とリュウは記憶を辿っていると背中側に暖かいものがのしかかってきた。「ジュンコ…座ってろ」「…」妹の細い腕が後ろから回ってくる。一体何のご褒美だ、とリュウは額に手を当てた。先程電話をぶつ切りした妹とは思えない。

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@sousakuTL この妹は確実におかしい、とリュウは妹の手を引き剥がしてとりあえず冷蔵庫を閉める。妹の方を向いて「本当にどうしたんだ」と覗き込んだ。しかしジュンコはじっとリュウを見返してくるだけだった。何となく顔が赤いような気がして「風邪じゃないのか？」と彼女に手を伸ばす。

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@sousakuTL その手をジュンコががしっと掴んだ。「…兄さん」「なんだ。お前ちょっとおかしいぞ」リュウが目を逸らすと、ジュンコが手を伸ばして兄の頬に触れる。リュウがドキッとした時、ジュンコは手に力を込めてぐいっと兄の顔を自分に向けた。首が痛い。

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@sousakuTL 「もうちょっと力加減考えてくれよ…オレの首をもぐ気か…」リュウが思わずぼやいてジュンコを見ると、ぐぐっとジュンコの顔が近づいてきていた。「っ！？」すんでのところで顔を逸らしたリュウは突然のことにバクバクと脈打つ胸に手をあてる。本当にこれは一体何のご褒美だ。