中国の資本分配率が高まったわけ~グローバルな資本主義の連動から読まないと「中国不動産バブル」はわけわからない @梶谷懐さん

中国の資本分配率が高まったわけ~グローバルな資本主義の連動から読まないと「中国不動産バブル」はわけわからない @梶谷懐さん
9
uncorrelated @uncorrelated

経済教室 - 視界不良の中国経済、上、中、下を拝読。梶谷氏の国有企業の給与が不当に高いと言う議論、日本でも同業種で大手さんの方が給与が高いのは普通だし、本当に不当に高給だとしても国有企業が賃金水準を引き上げている理由が説明されていない。効率賃金仮説などの線はどうであろうか。

2014-05-16 20:56:08
梶谷懐 KAJITANI Kai @kaikaji

ありがとうございます。国有/非国有の賃金差別は比較的単純な話で、投資が前者に集中したため資本労働比率に大きな格差が生じたことで大部分が説明出来ると思います。単純に言えば前者では賃金>限界生産性となっているのに後者では逆になっているという訳です、@uncorrelated

2014-05-16 23:07:43
梶谷懐 KAJITANI Kai @kaikaji

このツイートの最後の一文は少しミスリーディングだった。正しくは「部門毎に資本労働比率と労働の限界生産性に有意な差が生じているのに労働市場に障壁があるのと資本市場にゆがみがある(国有部門には人為的な低金利が適用)のでその差が裁定されない」といった感じかな。@kaikaji

2014-05-17 10:50:12
uncorrelated @uncorrelated

@kaikaji 国有企業が過剰投資で資本収益率が落ちる一方、労働生産性が過度に上昇したと言うのは理解できますが、賃金が労働生産性と一致するのは完全競争の仮定が置かれた上なので、国有企業の経営陣が利潤最大化を目指していれば、自社の賃金を労働市場のそれと同程度に留めるはずです。

2014-05-16 23:15:19
梶谷懐 KAJITANI Kai @kaikaji

@uncorrelated おっしゃるとおりで、資本市場だけでなく労働市場も不完全である(一部は戸籍などの制度的なもの)ために差別的な賃金体系が持続したと考えるのが自然だと思います。ブラインダー=ワハカ分解は完全ではないですが、格差が人的資本で説明できないことの根拠にはなるかと。

2014-05-16 23:23:04
uncorrelated @uncorrelated

@kaikaji 国有企業の従業員にある種の結託があって、会社利益が従業員に流入していると言う事でしょうか。橋口(2009)で国有企業が労働報酬を高く維持する一方で、雇用拡大に意欲が無いと指摘していたのを思い出しました。どのような非効率性があるのかも何だか見えてきますね。

2014-05-16 23:29:48
梶谷懐 KAJITANI Kai @kaikaji

@uncorrelated >会社利益が従業員に流入している そうですね、国有部門の従業員は半ば政治的理由で特権が認められているという要素も大きいと思います。この論文(http://t.co/dmRyTI7Ni8)の後ろの図表だけを眺めてもその辺の事情は分っていただけるかと。

2014-05-16 23:38:11
梶谷懐 KAJITANI Kai @kaikaji

ピケティの議論。資本が国際的に自由に移動するようになった1980年代以降は、一国内で労働分配率を高める政策がとれなくなり(資本逃避が生じるの で)、そのため世界各国で資本分配率が高まり格差が拡大した、というのが一つのポイントだと思う。

2014-05-17 10:56:13
梶谷懐 KAJITANI Kai @kaikaji

(承前)中国でもリーマンショックまではほぼ彼の議論 のとおり、労働分配率の趨勢的な低下と所得格差の拡大が同時進行した。しかし、リーマンショック後は労働分配率が上昇し格差も若干だが減少をみせた。これは、よく言われるように「ルイスの転換点」を迎えたという文脈よりも、@kaikaji

2014-05-17 10:56:55
梶谷懐 KAJITANI Kai @kaikaji

(承前)大規模な公共事業の持続によって労働需要が増加し賃金が上昇するという一種の労働分配政策だと理解した方が実態に近い。問題はそういった分配政策がなぜリーマンショック後可能になったのかということだ。リーマンショック後中国が特に資本規制を強化したという事実はない。@kaikaji

2014-05-17 10:58:31
梶谷懐 KAJITANI Kai @kaikaji

(承前)仮説だが、ショック後の米国がQEを持続し新興国からの資本逃避が生じにくい状況だからこそ、中国一国での分配政策が可能になったということではないか。これは、投資による分配政策が、QEの終焉と同時に持続可能ではなくなる、ということを示唆するものである。 @kaikaji

2014-05-17 11:00:36
梶谷懐 KAJITANI Kai @kaikaji

昨年の「影の銀行」をめぐる騒ぎ以降繰り返されてきた「不動産バブルの崩壊」への懸念 http://t.co/QjNQ6YXyJz の問題も、本来はそういったグローバルな資本主義の連動という観点から理解すべきだと思う。@kaikaji

2014-05-17 11:05:04