《比較のワナ》について

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

誰かと比べることが悲劇を生む。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

誰かと比べることが大きな悲劇を生む。と、つねづね思っています。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

結城は20年近くネットで暮らしていて、たくさんの方からメールやフィードバックをいただいています。その中で非常に多いのが「誰かと比較して不幸になる」というケース。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

もっとも典型的なのが「兄弟・姉妹で比較して不幸になる」というケース。「お兄ちゃんは頭が良くて言い大学に入った」「お姉ちゃんは綺麗で誰からもちやほや」というメールがたくさん届いています。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

（結城はいま、月曜日のライターズ・ハイ状態になっていて、いつもよりも率直にツイートしています）

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

比較して劣等感を覚える。比較して自分に幻滅する。比較して自分はダメだと思う。比較して自分は落第だと思う……すべて《比較》が登場します。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

比較、比較、比較。「あの人はすごいなあ……《それに比べて》自分はダメだ！」これが比較です。比べている。具体的な誰か、特に自分よりもある指標について優れているだれかと比較している。比べる。今日の連ツイのテーマはこれらしいです（←自分でわからんのか）。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

自分よりも、何かの指標に関して優れた人がいる確率は100%です。「自分よりも記憶力が優れている」「自分よりも持久力が優れている」「自分よりも交渉力が優れている」……いくらでも考えられます。ある人（地球上の任意の一人）をピックアップして、自分よりも優れた指標を探すのは難しくない。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

会社で。同期のプログラマが自分よりもイケてるコードを書いてる！自分よりもOSSに貢献してる！自分よりもブログのPV多い!自分よりも自分よりも自分よりも自分よりも！……どんだけ自分と《比較》したいんですか？

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

結城の最近の活動は数学＆文章オリテンティドなので、そちらの例を出します。自分がある定理を理解すること。他の人との比較は無意味です。数学ガールのどこかでたぶんでてきたと思うけど、世界中のすべての人がその定理を理解したとしても、自分が理解しなかったら、自分にとっては無意味です。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

この感覚を理解できれば、かなり自由になれます。《世界中のすべての人が理解できたとしても、自分が理解できてなかったら無意味》というポイント。これを今日はなんとか「あなた」に伝えたい。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

比較したがる人は結局は相対評価の世界に生きているのです。あいつはオレよりデキが悪い。あいつはオレよりデキが良い。あなたの絶対的な能力とは関係なく、あなたのせせこましい近傍との比較だけ。あいつより良ければ、あいつより優れていれば、あいつより……これは《比較のワナ》です。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

数学を（そして技術を）心から愛している人の特徴は、相対評価ではなく絶対評価です。表現の仕方によってはすごく独善的にも聞こえるけど。「私はこの定理を理解していると言えるか」「証明を一人で書き起こせるか」「私はこのフレームワークを理解していると言えるか」

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

「JavaScriptの初心者にこのフレームワークのメリットを簡潔に説明できるか」……そういう《絶対的な基準》を自分で作り、自分をテストする。結城はそういう方こそ本物だと思う。たまたま会社の隣にいる小賢しい同僚と比較するのではなく、たまたま上司と呼ばれる人と比較するのではなく、

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

もっとおおらかな視点で、もっと雄大な視点で、自分の理解力や、自分の説明する力を試す心がけ。結城はそれこそが大事だと思うのです。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

もちろん、そのような活動の中で、誰かとの《比較》を余儀なくされることはあるでしょう。好むと好まざるとに関わらずね。「あんた、あの○○さんからしたら大したことないよね」みたいに言われることもあるでしょう。そこで器が問われるわけだ。「ナニ言ってんだよう！○○なんてねえ……」と、

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

相対評価のワナに陥るか。それとも「ああ、○○さんね。あの方は、ここはわかっているけれど、ここはまだわかってないみたいですね」のように絶対評価に立つか。そのような心の余裕があるかどうか。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

繰り返し書きますが、比較はワナです。これを読んでいるあなたが何歳か結城は知りませんが、死ぬまで、一生、《誰かとの比較》や、《何かとの比較》がつきまとうはずです。それはしょうがありません。でも、それにうろたえないことが大事です。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

比較はときには必要です。でもそれは、世間一般に対して、自分の位置を知るというくらいの意味合いしかありません。あなたが一週間のスパンで勝ちたいとか、半径100kmの範囲で勝ちたいとかいうならば《比較》は重要です。でも、

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

でも、たとえばあなたが300年のスパンで自分の大事な仕事を伝えたいとか、銀河系くらいの単位で活躍したいと思うなら、比較は重要じゃない。比較に振り回される自分を捨てよう。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

《相対的価値》ではなく、《絶対的価値》に目を向けよう。自分の現在位置を知るのに北極星を見つけるように、自分の《位置》を知るようにしよう。ねえ、あなたは、いま、どこにいる？何を考えている？《これが大事》《これを基準にしよう》というものを持っている？

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

信仰も、人生訓も、生きる指針も、誰かから強制されるものではない。だから結城も特にキリスト教がどうこうという話を書かない。みな、不安なんですよ。どんな偉い先生も、どんなブイブイ言ってる人も。だって、

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

だって、みんな死ぬもん。そのうち。近いうちに、みんな死ぬもん。100年もしないうちに、結城を含めてみんな死にますから。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

100年前の人…だと例外あるから150年前の人。現在生きている人は誰もいません。誰か人を頼りにしたとする。でもその人は150年後にはこの世にいない。責任もってくれません。

結城浩 / Hiroshi Yuki @hyuki

結城は以前、連続ツイートで、若者よ自分で……というまとめを書きました。《責任》って、だれもとってくれないんですよ（そのかわり干渉もできない）。