茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1261回「アナと雪の女王は、フローズン!」

脳科学者・茂木健一郎さんの6月9日の連続ツイート。 本日は、モノモウス!
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1261回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、モノモウス!

2014-06-09 07:19:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

あふ(1)『アナと雪の女王』の勢いが止まらない。これほど大ヒットすると、当然、アンチというか、文句を言う人も出てくる。ツイッターのTLを見ていると、いわゆる文化人/知識人の中で、『アナと雪の女王』に対してあれこれと異議申し立てをしている人もいらっしゃる。

2014-06-09 07:20:38
茂木健一郎 @kenichiromogi

あふ(2)私めも、「レリゴーいいね!」ばかり言っているとアホみたいなので(もともとアホだという話もありますが)、ここで、なんと、『アナと雪の女王』に、文句を言ってしまおう(バーンと机を叩く音)、あのね、『アナと雪の女王』よ、そのタイトル、どうなんじゃい。えっ、タイトルですか?!

2014-06-09 07:22:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

あふ(3)『アナと雪の女王』、いいタイトルじゃない、『アナ雪』って縮めやすいしぃ。とか、そういう話ではない。この映画、原題は、Frozen。短っ。そう、英語の原題は、とっても短い。それが、日本語になると、なぜか、『アナと雪の女王』となるその構造を、今朝はじっくり話し合ってみよ。

2014-06-09 07:23:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

あふ(4)なぜ、Frozenが、『アナと雪の女王』になるのか。ここには、日本語と、現代日本の文化の、二重の問題があると思う。まず、日本語は、英語に比べて、メタファーやアナロジーの余地が少ない(正確に言えば、現代日本人が、日本語の持つそんな力に十分に自覚的ではない)

2014-06-09 07:25:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

あふ(5)もう一つ、現代日本のマーケティングにおいて、つい、事前知識を低めに見積もって、説明過剰になりがちである。この二つのポイントが相まって、Frozenが『アナと雪の女王』になるという非一発変換の事象が生じるのである。これ、実は前からとても気になっていた問題なのです。

2014-06-09 07:26:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

あふ(6)たとえば、マルコム・グラッドウェルの名著Outliersが、日本語だとなぜか『天才! 成功する人々の法則』となる。同じくBlinkは、『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』に。いや、確かにそういう内容なんだけど、タイトルで説明しすぎでしょ!

2014-06-09 07:29:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

あふ(7)もちろん、英語タイトルと日本語タイトルがほぼ一致する場合もある。たとえば、名作映画The Graduateは、『卒業』に。もっと正確に言えば「卒業生」だけど、まあ、それはいいでしょ。とにかく、最近では、全般として、懇切丁寧、説明過剰なタイトルが目立つように思う。

2014-06-09 07:30:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

あふ(8)日本語の書籍を出す時は、主に営業の意見により、懇切丁寧説明過剰なタイトルがつくことが多い。私の気持ちを正直に言えば、別に私の本だからと言って、タイトルに「脳」つけなくてもいいんじゃないかと思うけど、なんとかする脳とか、そういうタイトルをつけさせられる。

2014-06-09 07:32:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

あふ(9)Frozenが『アナと雪の女王』に変換される問題は、以上でそのほんの一端に触れただけだが、非常に根深いものだと思っている。だから、私は脳天気に「レリゴー!」イイネ、と言いつつも、『アナと雪の女王』の内容ではなく、タイトルには、イイネと言いにくいものを感じるのである。

2014-06-09 07:33:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1261「アナと雪の女王は、フローズン!」でした。

2014-06-09 07:34:03