茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1277回【誰が、賛成し反対しているのか】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート１２７７回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、さいきん思ったこと。

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ださ（１）最近、あるところのレクチャーである若者に会った。彼は、髪の毛を染めていて、ピアスたくさんしてた。聞くと、京大で何かやったあと、哲学やっているという。ヴィトゲンシュタインの生涯のある事実について、最近ある資料が出てきて、今その論文を書いている人がいると教えてもらった。

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ださ（２）彼は、最近、雑誌『現代思想』に翻訳を載せることができた、と喜んでいた。ベルクソンやデリダの思想にも、詳しそうだった。MOOCの話をしたら、それは、知というものが大学という閉ざされた場ではなくて開かれるべきだ、という思想の現代的展開であると、コメントした。

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ださ（３）たいへん興味深い会話を重ねたわけだが、desirable difficulitiesの話をした時、彼の母親はピアニストで、海外公演が多かったから、子どもの頃母親不在のことが多かったと教えてくれた。父の愛情でさびしくはなかったという。そして、母親はフィリピン出身だという。

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ださ（４）その彼と、selective inattentionの話をしていて、最近いやな体験はなかったか、と聞くと、あった、先日、京都で集団的自衛権反対のデモをしていて、石を投げられてそれが腹部にあたって、落ち込んだ、という。何人くらいいたデモ、と聞いたら、８００人くらいとか。

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ださ（５）ねらわれたのか、と聞いたら、いや、特に、ぼくをねらって投げた石ではないと思う、だけど落ち込んだ、でも、今はだいじょうぶ、と言っていた。今は圏論の勉強もしていると言っていた。この流れからもわかるように、郡司ペギオ幸夫の仕事には関心を持っている。

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ださ（６）さて、ある案件があった時、当然、それに賛成の人も、反対の人もいる。ぼくは思うのだが、一体、どのような人が賛成し、どのような人が反対しているのか、ということは、その案件についての自分自身の判断に加えて、重要な状況証拠、というか、認識材料になると思う。

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ださ（７）いとうせいこうさんは、日本におけるラッパーの先駆けであるが、最近の文学の成果はめざましく、『想像ラジオ』もとても良かったし、『鼻に挟み撃ち』も実に素晴らしかった。ベランダで植物を育てるという、その趣味の雰囲気も、実に共感できる。

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ださ（８）いとうせいこうさんを一つの例として取り上げているわけだけれども、いとうさんも、集団的自衛権（特に、そこに至る政権のやり口）には、マイルドながら毅然としたノー！　の声を上げている。いとうさんは一つの例で、ノー！　の声を上げている人は、みな、素敵で尊敬できる人たちだ。

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ださ（９）集団的自衛権がもし必要だとしても、憲法解釈を今回のように姑息な方法で変更するやり方に、それに賛同する人たちの資質が表れているようで、ぼくはやはりそういう文化は推奨できない。ある案件自体の賛否に加え、それにどのような人が賛成し、反対しているのかは重要な資料である。

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以上、連続ツイート１２７７回「誰が、賛成し反対しているのか」でした。