ストレイトロード:ルート140(6周目)
- Rista_Bakeya
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ルート140。現代ベースに少し余計な要素を加えて変化させた未来。人類は謎の巨大生物の台頭で数を減らしたけど、今はある程度慣れてきて棲み分けを試みている段階。相手の大多数が飛行する上他の飛行物体に容赦しないのが空路封鎖の理由。 #RTされただけ自分の創作の世界観と登場人物をまとめる
2014-06-15 21:29:03ルート140その2。子供たちの極一部に不思議な能力の発現がみられる。既存の科学技術を完全に無視した奇跡の数々。侵略者出現後の世代だけという統計から関連性が疑われるも未だ推測の域を出ない。能力を隠す子が多く、藍は例外中の例外。 #RTされただけ自分の創作の世界観と登場人物をまとめる
2014-06-15 21:31:44地図を頼りに長い石段を登っていた私達の前に一匹の猫が現れた。藍が一段進むと少しだけ上へ逃げ、振り返る。案内するかのような動きが退屈を忘れさせたのか、藍は猫の歩く速さで突き進み始めた。置いて行かれた私が無理のないペースを守って石段を踏破すると、その先に藍が猫を抱えて座り込んでいた。
2014-05-29 19:35:33草の上に伏していた怪物が不意に頭を私達の方へ向け、耳らしき大きな皮膜を左右に広げた。私達は茂みに潜った。「警戒されていますね」「威嚇してるつもりかしら」全然恐くないけど、と藍は鼻で笑う。「どうせならもっと違う理由だといいわね。わたしが知ってる生き物と同じ仕草で同じ意味じゃ退屈よ」
2014-05-30 20:11:54藍の指示に従い車を走らせていたら、工事中を示す看板が行く手を阻んだ。「迂回します」「ダメ」ハンドルを切ろうとした右手を横から掴まれた。まさしく塞がれた範囲に訪ねる場所があるという。「きっとわたしが動いたって知って邪魔しに来たのよ」藍は勝手に決めつけてから、私に看板の撤去を命じた。
2014-05-31 21:39:36「今からあなた、わたしのこと知らないから」藍がそう言って突然駆け出し、人で溢れる大通りに飛び込んだ。行動の意味を掴めないまま同じ方向へ歩いていると、背後から男が声をかけてきた。「今、風の魔女と一緒にいただろう」演技しろと言われた理由は察しがついた。「声をかけたら逃げられましたよ」
2014-06-01 22:47:37かつて街だったその場所の片隅には鉄道が通っていたらしい。レールも枕木も持ち去られ、盛り土だけを残した地形の上に、横転した車両が放置されていた。藍は装飾を剥ぎ取られた残骸を調べ、割れた窓から中を覗き込んだ。「外せるものは全部取られ…あら」中に何かあったのか。「人が住んでた跡がある」
2014-06-02 19:29:31藍が窓を開け放った。屋根裏部屋に封じられていた空気は解放されたことをまだ知らず、私の首筋にまとわりついている。「どうして誰も気づかなかったのかしら」藍の視線を追って振り返る。白く照らされた空間の片隅で、金色の額縁が輝いた。雑に掛けられた古い布の下では時間が止まっているに違いない。
2014-06-03 19:41:55「明日の朝、絶対この時間に起こしてちょうだい」藍は就寝前、携帯端末のアラーム画面を私に突きつけて命じた。しかし朝を迎えてみると、当の彼女が何度呼び掛けても反応しない。「この役立たず!」30分後、藍は危惧したことを私が現実にしたかのように文句をつけながら、どこかに電話をかけていた。
2014-06-04 20:39:50一度追い払った怪物が再び城壁の外に迫っていると連絡があった。藍は対処に向かうと決め、私が表情で異議を表したのに気づいて不満そうにした。「何なの?」「一度苦戦した相手です。何か対策があるんですか」「あるわけないでしょ。あっちが同じことしてくるわけないんだから」当然のように言われた。
2014-06-05 19:38:34藍は自分達を追ってくる黒服の集団について何も教えないまま、桟橋に係留された小型の船に駆け寄った。「乗って」誰の物かも分からないのに。ためらった直後に突き飛ばされ、甲板へ跳び移る。振り返ると藍が桟橋の先端へと突進していた。追いついた黒服達が突風に殴られ、次々と海に飛び込んでいった。
2014-06-06 20:27:56私は運転席に深く座り、合図となる音を待っていた。目の前の建物から絶えずざわめきが聞こえる。中にいる人々の興奮した様子が伝わってくる。藍は無事中に入れたのか、目的の相手には会えたのか。それはただの面会なのか。「聞こえたらすぐ逃げて」そんなことを言い残されると不穏な想像しかできない。
2014-06-07 21:16:49藍がネット経由で届いた問題集に解答する。私が採点して正しい解き方を教え、結果を報告する。学校に行く代わりとして試行錯誤の末に落ち着いた方法に藍は大人しく従っていたが、今日は私の方に問題が生じた。誤答の原因が見つからない。「見て分からないの?」遂に私が藍に解き方を聞く羽目になった。
2014-06-08 21:48:42「お前は最初から事件現場にいたか、計画を知っていた。でなければあんな出来過ぎたタイミングで来られるか」「わたしの居場所ならゼファールと防犯カメラが証明するから、調べたら?」警官の前で藍は断言した。大気を通した覗き見など誰も証明できない。それに気づいた私は藍の顔を直視できなかった。
2014-06-09 19:57:42