茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1289回【毛づくろいの相手は多ければいいというものでもないし、少なければやはり寂しい】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート１２８９回をお届けします。文章は、毎朝、その場で書いています。本日は、このところの所感。

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先日、堀江貴文さん（@takapon_jp ）のホリエモンチャンネルの公開収録があって、そこに行ったのだった。ぼくはよく理解していなかったのだが、質問に対して答える、というフォーマットの「番組」。その会場からの質問の中で、ある男性が問いかけてきたことが、印象に残った。

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その男性は、「ぼくは家で妻といるとまったりして満足で、友だちは必要ないような気がする。堀江さんみたいに、友人がたくさんいる必要はないような気がする」みたいなことを言われた。それで、「いらっしゃい！」とよびかけると、その人は壇上に出ていらした。

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そこから、堀江さんの回答が始まったのだが、ぼくは、ううむと考える時間帯に入ってしまった。なにが、気になっているんだろう、と探っているうちに、二つのことに思い当たった。一つは、自分自身がこのところ感じていたこと。

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オックスフォード大学のダンバーによれば、猿のけづくろいのかわりに人間のおしゃべりが進化してきたのであり、大脳新皮質の大きさから推定されるけづくろいの相手の数は、約１５０名である。人間関係の処理は複雑な計算で、これくらいが、脳の大きさから見た「容量」となる。

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けづくろいする仲間の数が多いのは結構なことのようだが、実際には、たいへん、というか疲れる場合もある。ひとりひとりの友人に、もっとじっくり、深く向き合いたい、という思いが募ることもあるような気がする。

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先日、オーストラリアの田舎町のパブに入ったら、地元の人ばかりで、たまたま日曜日だったのだが、この人たちはきっと毎週こうやって顔なじみで飲んでいるんだろうな、と思った。そのようなコミュニティ、関係性もいいな、と思うときがある。

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ある人が、ある質問をする時、その質問の字面だけを追ってもダメで、実際にはなぜそのような質問をするのかという動機付けまで含めて理解しなければならないことがある。堀江さんに「そんなに友だちは必要なんですかね」と聞いたその男性にも、なんか深層心理があるように感じていた。

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それで、いろいろ探っているうちに、はっと気付いた。本当は、その方は、堀江さんのようにたくさんの交友関係がある生活にあこがれているし、自分はできると思っているのではないかと。そんな風に水を向けたら、なんだか表情が変化したような気がした。そこで、収録の時間は終わってしまった。

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毛づくろいの相手は多ければいいというものでもないし、少なければやはり寂しい。交友関係をうまく維持、発展させるというのは、脳にとってはとても大切な課題で、その「計算問題」のむずかしさに改めて思い至った夜であった。

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以上、連続ツイート１２８９回、「毛づくろいの相手は多ければいいというものでもないし、少なければやはり寂しい」をテーマに、９つのツイートをお届けしました。