女神の番犬【テドイア】

大崎巧実（裏） @mboxtw2

ＢＧＭは前回に引き続き今回もクラウドライダー（nicovideo.jp/watch/13602348…） ……出が良い。とても出が良い。 完全パラレルで、イアとテッドさんが人で言う神様みたいな存在という設定。 神じゃないけどね。ただ、人とは違ったイキモノってだけ。

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物語の始まりですでにテッドさんとイアたんは一緒になってる。 気の遠くなるほどの時間を二人一緒に過ごしてきた。そしてこれからも一緒に過ごしていくはずだった。 人がまだそんなにいなくて、二人を邪魔するものさえも存在していなかったから。

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だから毎日二人でいちゃいちゃしながらのーんびり暮らしてた。 そんな二人の時間を崩したのが、増え始めた人間。 人が増え、集まり、国となり。そして争い始めた時代。でも二人にとってはそんなもの別世界の話だったけれど。

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二人が住んでいた森の近くにも人は住んでいたけれど、まだ未開の土地が多く人の手が余り入っていない。だから平和にいちゃいちゃできたんだけど、ある時。少しずつテッドさん達の噂が人の間に流れ始める。 人の姿をした人ではないイキモノ。神様、と人は呼んで崇め始めたわけです。

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テッドさんは二つの身体を持っていて、一つは人と同じ身体。もう一つは赤毛の狼。 獣の姿で居る事も多くて、人は女神様に寄り添う番犬だって思うわけだ。 事実、テッドさんは必ずイアを後ろに庇っていたから。優しくて警戒心のないイアと違い、テッドさんは近寄る人にあまり優しくはなかった。

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森の奥には女神様が住んでいる。そんなお伽噺が人の間で語り継がれていく。 イアたんはテッドさんを凄く凄く大事にしていたし、テッドさんも絶対イアたんの傍から離れない。 仲睦まじいね、ってそんな風に思われていたけれど、でも。それで終わらない人間も出始めるのです。

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戦の繰り返される人の国。勝利の為に王様は『力』を求めた。そうして噂として聞いたそのお伽噺に出てくる獣を欲しがったんです。 炎を操る赤い狼。『番犬』と称されるそれが国を守ってくれたなら、と。 そうして二人の平穏は崩されていく。

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人は『女神』か『番犬』のどちらかが手に入れば良かった。 捕獲に向かった人間は大人しそうなイアを狙うのだけれど、当然テッドさんが邪魔をする。 力尽くで連れて行こうとする人間に牙を剥いて襲いかかるテッドさんを当然人は抵抗するわけだ。

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ただテッドさんはイアが取られるって思って反抗してるだけ。イアに危害を加えない人や、二人が一緒にいる事を邪魔されなければテッドさんは牙を剥いたりしない。 けれどそれを知らない人間達は争いにまで発展してしまうわけだ。 王の命令でどちらかを連れ帰らねばならない。

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イアも必死にテッドさんを庇いつつ、争う人間を留めようとするけれどどちらも引こうとしない。 そんな中、人間の手にテッドさんが落ちてしまうわけです。 そうして、この物語が幕を開ける。

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テッドさんが連れて行かれ、たった一人取り残されてしまったイアは彼を取り戻そうと森を出て行くんです。 どこかに消えてしまったテッドさんを探して、人の国を渡り歩く。 争いの起こっている所にきっと彼はいるから、と危ないと知っていて足を踏み入れていく。

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イアも『女神』と称される存在だからそれなりに強いわけです。 白い弓矢を武器に、放たれる光の矢は必ず目標を打ち抜く。その技術に目をつけられて、とある組織に身を寄せる事になってしまう。 テッドさんの情報と引き替えに、その組織の為に弓を引いた。

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テッドさんを探し、戦場を渡るイアがやっと見付けた手がかり。それはテッドさんの紋章が描かれたコインのようなもの。 これは彼にとって物凄く大事な物で、これを奪われたせいでテッドさんが人間に連れ去られてしまう事になってしまったわけです。

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彼が持つコインは二つ。その一つはイアが持っていた。 これもテッドさんと一緒になった時、彼がイアにくれたもの。ずっと一緒だよってその約束代わりにくれた物だったんです。 そして奪われたコインのうちの一つをイアは手に入れるわけです。

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テッドさんの持つコインが二つあるのは。テッドさんの本性が二つあるから。 イアが手に入れたのは『人』のテッドさんを封じたコイン。 そうして『人』のテッドさんと出会えた訳なんだけど、『獣』が奪われたままなので、バランスを失った彼は意識をなくしてる。

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眠り続けるテッドさんに出会えてイアは嬉しかった。「お帰りなさい」って口付けて。 そして残る『獣』のコインを探す訳なんだけど、これが中々手に入らない。 と言うのも、まあ場所は見付けたけれどすんなり手に入る場所にないという事。 『獣』のテッドさんは戦争の道具になってた。

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『女神の番犬』を手に入れたと触れ回り、神が味方したと宣言した王は圧倒的なテッドさんの力を盾に近隣を侵略していった。 炎を操るテッドさんが戦場に出れば、圧倒的な力で制圧されてしまう。 テッドさんがそこにいるのに、イアは手を出せない。

大崎巧実（裏） @mboxtw2

勿論、テッドさんもそう簡単に操られてる訳じゃない。人間も何とかしてテッドさんに言う事聞かせてるような状態。それでもたまに制御不能に陥って、自国の兵士にも損害が出る時もあったりする訳なんだけど。 だからそうほいほいとは戦場に繰り出さない。

大崎巧実（裏） @mboxtw2

獣のテッドさんも普段は大人しく眠ってる。寝てる間は何もしないし、害もない。けれど戦場に出す為に起こしてしまった後は、気が済むまで暴れて疲れて帰ってきてまた眠るまで放置。 まあ結局、人間も制御出来なくて本当に決戦兵器としか使えていないのだけれど。

大崎巧実（裏） @mboxtw2

テッドさんが帰ってくるのは、その場所に自分を宿すコインがあるから。 『人』の化身を持たない今のテッドさんは完全に獣でしかなく、本能で暴れ回ってるだけ。けれど人間はその圧倒的な力を手放せず、なんとか使いこなそうと試行錯誤の毎日。 とりあえずコインを持った人間は襲わない、くらい。

大崎巧実（裏） @mboxtw2

なんとかしてテッドさんを取り戻す為にイアも頑張る。そして戦場でテッドさんと対峙してしまった事もある。 暴走してるテッドさんにイアが何を言ってもわからない。けれど、イアの事はわかっているように、絶対イアだけは襲わない。 だから嬉しくて、そして物凄く悲しい。

大崎巧実（裏） @mboxtw2

テッドさんを目の前にして、弓をつがえてもそれを放てない。彼を傷付ける事をどうしても躊躇ってしまって、中々やれないでいる。 でもそうしてる間にもテッドさんは本能のままに人を襲い、傷付けていく。そんな姿を見ているのも悲しい。 一緒にいた時は森の動物を傷付けるなんて事しなかったのに。

大崎巧実（裏） @mboxtw2

そうやって悩んでいる時、声が聞こえるんですね。「大丈夫」って。 誰の声かと思えば、テッドさんの声。『人』の身体は眠ったままだけど、コインに封じられたままの『心』がイアの傍にいる。つまり魂だけの状態。だから傍にいて、ずっとイアを守ってくれてた。

大崎巧実（裏） @mboxtw2

肉体は動かないから、守るといっても対して事は出来ない。ただイアがうけるダメージを減らす事くらいが精一杯。 そのテッドさんが言うんです。そのまま弓を引け、って。大丈夫、俺は死なないから、って。 躊躇いつつ、でもテッドさんを信じてイアは矢を放つんです。テッドさんに。

大崎巧実（裏） @mboxtw2

イアの放つ矢は真っ直ぐにテッドさんに突き刺さる。一本や二本でテッドさんが止まるわけがなく、悲鳴を上げつつ暴走は止まらない。 痛がるテッドさんの姿にイアはまた躊躇うんですよ。矢が刺さればそこから血が出る。彼が傷付いていく。それは物凄く辛い事。