フランス極右台頭と日本

フランスの極右政党、国民戦線(Front National)台頭についての分析、日本と重ね合わせて考える。 野洲さんのツイートをまとめました。
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Farid Yasu @yamashita_socio

父親からフロンナショナル(フランスの極右政党・国民戦線)に関するいろんなニュースを日本語訳したものを無言でドバっと渡された。

2014-07-28 23:09:18
Farid Yasu @yamashita_socio

というわけなのでせっかくやからこれらのニュースや、俺のフロンナショナルへの思いを少し呟いてみよう・・・。日本の極右化や排外主義について考えるうえでも役立つこともあるかもしれんし

2014-07-28 23:16:38
Farid Yasu @yamashita_socio

フランスの国民戦線と言えば極右、ごく一部の熱狂的愛国者からのみ支持されている。そんな風にずっと語られてきた。しかし3月の地方選挙での躍進に続き、先日の欧州議会選挙では25%という得票を得て24議席を獲得、フランスの第一党となった。

2014-07-28 23:22:14
Farid Yasu @yamashita_socio

欧州議会選挙で国民戦線が歴史的勝利を飾った夜、党首のマリーヌルペンはこう語った。「私たちはフランス国民の初めての歴史的目覚めに立ち会っている。フランス人は奴隷人種ではない」。力強い、人を熱狂させるスピーチだと思う。

2014-07-28 23:25:39
Farid Yasu @yamashita_socio

マリーヌルペンは自身をまるでジャンヌダルクのように思っているだろう。EU主義者という妖怪と、イスラムの脅威。それの危険にさらされるフランスのために立ち上がるヒーロー。

2014-07-28 23:27:21
Farid Yasu @yamashita_socio

党を立ち上げた実父ジャン=マリールペンが掲げた移民排斥という政策に、彼女は反ヨーロッパ(反EU)主義を結び付けた。その他に何か画期的な提案を彼女はしているわけではない。グローバル化の脅威から暮らしを守る盾となるはずだった「一つのヨーロッパ」は、失敗だったということだ。

2014-07-28 23:36:55
Farid Yasu @yamashita_socio

国民戦線に投票する人々が多いのはどのような地域だろうか。典型的な例である一つの町をあげよう。そこはパリに隣接する県にある小さな町だ。住民は1万人程度。空気はきれいで静か、犯罪もほとんど起こらない。しかし人々は静かな不安を感じている。「パリの郊外に取り込まれるのではないか?」

2014-07-28 23:41:25
Farid Yasu @yamashita_socio

「最近この静かな町に、社会党の市長が家賃の安い集合住宅を作るつもりらしいぞ。移民が来るんじゃないか」。そのような噂は急速に広まり、人種的偏見や移民へのステレオタイプにもとづいた不安が拡大する。

2014-07-28 23:47:45
Farid Yasu @yamashita_socio

日本でもどこでも、この種の移民へのぼんやりとした不安ののパターンは同じだ。だがフランスの場合はもっと具体的に噂される。「パリから失業者や外国人がやってきて、自治体が彼らに住宅を与え、福祉手当を支給する。昼間からアラブ人がカフェでたまり、その子供たちが薬の密売を始める」。

2014-07-28 23:51:32
Farid Yasu @yamashita_socio

周辺地域にあるこうした小さな町は、未来に不安を抱いている。国民戦線が狙うのはこういう場所だ。以上の噂話はすべてインタビューで実際に語られた内容であり、そしてこの町で国民戦線は確かに大勝した。

2014-07-28 23:54:10
Farid Yasu @yamashita_socio

欧州議会選挙で国民戦線がトップとなった県は101県中71県であり、行政地域22地方のうち16地方である。極右政党が全国規模の選挙でトップとなったのはフランスの歴史上初である。しかし・・・第一党となったいま、もはや極右と呼ぶことさえできないのではないだろうか。

2014-07-28 23:58:04
Farid Yasu @yamashita_socio

国民戦線の支持者を細かく見てみよう。生産労働者の43%、事務労働者の37%、失業者の37%から国民戦線は支持を得ている。それに対して現政権を担っている左派である社会党は、生産労働者の8%、事務労働者の16%、失業者の14%から支持を受けている。

2014-07-29 00:02:01
Farid Yasu @yamashita_socio

驚くべき数値だ。労働者は左派政党を支持する。まして失業者ならなおさら。そんなイメージがあったのではないだろうか。極右と聞くと、移民排斥を望むフランス民族主義の金持ち白人、資産家、そんなイメージがあったのではないだろうか。し

2014-07-29 00:06:08
Farid Yasu @yamashita_socio

しかしそれらのイメージは全く間違いなのだ。いま、国民戦線は、ポピュリズムの政党なのである。彼らの支持基盤は「大衆」だ。左派対右派という古典的な二極構造だったフランスの図式は、今、ナショナリズム=ポピュリズムという第三勢力があらわれ、三極構造となった。

2014-07-29 00:08:19
Farid Yasu @yamashita_socio

庶民層、失業者からさえ国民戦線は支持を得ている。それだけで十分衝撃的だ。だがより衝撃なのは、大都市郊外の移民地区の中でも、国民戦線が第一党に選ばれている地域が普通にあるということだ。

2014-07-29 00:13:06
Farid Yasu @yamashita_socio

移民排斥を訴えてきた党が、移民とその子孫らが多数を占める地域で、第一党になるのが今のフランスなのだ。

2014-07-29 00:16:15
Farid Yasu @yamashita_socio

はっきり言って、フランスのポピュリズムは合理性を失うレベルで今、暴走している。ナショナリズムへの熱狂だ。そしてそれは逃避だ。国民戦線は脱EUを明白に打ち出しているが、明らかに脱EUした後の具体的策をまともに提示していないのだから。

2014-07-29 00:23:27
Farid Yasu @yamashita_socio

ナショナリズムへの閉じこもりがここまで人々にとって魅力的に映るというのは、フランスという国がグローバル化に全く対応できていない証拠であり、EUが超国家的な次元に移っていることにも対応できていない証拠である。

2014-07-29 00:24:47
Farid Yasu @yamashita_socio

国民戦線の勝利は、フランスが陥っている三重の苦しみの表明である。第一に、6年に及ぶほぼゼロに近い経済成長率。第二に、解消されない高い失業率。第三に、希望を与える地平と言われながら現実には加盟国の危機を処理する場と化したEU。

2014-07-29 00:27:00
Farid Yasu @yamashita_socio

フランスの有名な言い回しに、「心臓は左に、財布は右に」というものがある。ちなみにこのフレーズを日本で有名にしたのは、若くしてフランスの第一線で研究者として活躍し、超一流の国際政治学者であったが今や見る影もないかどうかの判断は皆さんにお任せする舛添要一都知事である。

2014-07-29 00:34:29
Farid Yasu @yamashita_socio

フランスはこれまでずっと心臓は左にあった。実はこれはあまり深い意味があるのではなく、ただ漠然と、左翼であることはカッコいいという無根拠なプライドがフランスにはずっと根付いてきただけのことだ。しかしそれは完全に失われたようだ。

2014-07-29 00:45:39
Farid Yasu @yamashita_socio

国民戦線が掲げる「愛国経済政策」は経済音痴の俺が見ても、馬鹿げている。ユーロの離脱とフランの復活(通貨)。海外企業からのフランス企業の買収の禁止。「不正な競争をしてくる」中国に対する関税障壁。なんだかネトウヨが経済政策考えてみました的な内容だ。実際多くの経済学者が嘲笑している。

2014-07-29 00:48:53
Farid Yasu @yamashita_socio

とにかく、フランスの大衆は暴走している。世界で最も左翼としてのプライドを強く持っていたこの国でさえ、いとも簡単に暴走するのだ。こんなにも合理性を失うのだ。日本はこうなってはならない。

2014-07-29 00:59:49
Farid Yasu @yamashita_socio

フランスがこうなった要因は、先に挙げた3つ、失業率、経済停滞、EUのダメさが大きい。しかしもう一つの大事な要因として「極右をなめていた」という点を忘れてはならない。

2014-07-29 01:05:02
Farid Yasu @yamashita_socio

いや、「極右をなめていた」というの正確には間違いだ。フランスは今でも「極右をなめている」。国民戦線が大勝した今なお、フランスでは、「今回のが欧州選挙だから躍進しただけだ」「大統領選ならこうはいかない」といった無根拠な声が聞かれる。左派のプライドが悪い方に効いているのだ。

2014-07-29 01:07:48