茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1293回【子どもは一人ひとり違う】連続ツイート

2014.7/30 茂木健一郎氏 【子どもは一人ひとり違う】連続ツイート …教育において、陥りやすい間違いの一つが、一つの「規範」を子どもたちに(繰り返し)伝えることで、足りると思い込むことだろう。命を大切にしましょう。友だちと仲良くしましょう。宿題をやりましょう。学校には毎日登校しましょう。そのような規範を伝えるだけでは、実は足りない…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1293回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、痛ましい事件で思ったこと。

2014-07-30 07:42:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

また、痛ましい事件が起こった。教育委員会が開かれ、教育長が、「命を大切にする教育を」と発言している場面が、テレビで流されていた。あの状況で、あの立場ならば、「命を大切にする教育」のような表現しかできないのかもしれない。その一方で、そのアプローチでは足りないことも事実だ。

2014-07-30 07:44:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

教育において、陥りやすい間違いの一つが、一つの「規範」を子どもたちに(繰り返し)伝えることで、足りると思い込むことだろう。命を大切にしましょう。友だちと仲良くしましょう。宿題をやりましょう。学校には毎日登校しましょう。そのような規範を伝えるだけでは、実は足りない。

2014-07-30 07:45:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

教育において一番大切なことは、「非典型」の子どもにどのように向き合うかということだと思う。友だちと仲良くしましょうと言っても、いじめる子は出てくる。宿題をやらない子や、学校に来ない子が出てくる。そのような子が出てきた時、「規範」を繰り返すことには、あまり意味がない。

2014-07-30 07:46:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

今回の事件において、加害者は今学期はあまり登校していなかったというし、小学校の時から、非典型なふるまいが見られたという。そのような時に、「規範」を壊れたテープのように繰り返しても、余り意味がない。一人ひとりにまさに寄り添った、専門家の助言、ガイダンスが必要になる。

2014-07-30 07:47:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

「規範」は、「典型的」な、あるいは「平均的」な子どもを前提にしがちである。そのような子供観に、そもそも限界がある。むしろ、子どもたちを、非典型の集まりと見るくらいの方がいい。それで、初めて、一人ひとりの生身の姿が見えてくる。

2014-07-30 07:48:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

不登校の子が、学校に行きたくないというならば、行かなくても学習ができるような環境を整えてあげるのが、非典型に対する向き合い方である。それでは「社会性」が育まれないという人は、「社会性」を狭く考えすぎている。「規範」という鋳型に子どもを当てはめようというアプローチは、もはや古い。

2014-07-30 07:50:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

今回の加害者について、家庭環境、自身の性格など、さまざまな「要素」が伝えられている。しかし、それらの要素と今回の犯罪の間に、因果関係があるわけではない。それらの要素の一部、ないしは全部がそろっていたとしても、今回のような犯行に及ぶわけではない。それが、「非典型」というものである。

2014-07-30 07:51:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

「命を大切にする教育」を子どもたちに伝えたり、伝えられる「要素」を除去、ないしはケアすれば、今回のような悲劇を防止できると考えるのは、結局は「典型」の思考の罠に陥っていることになる。子どもは一人ひとり違う。その姿が見えない教育は、根本的に間違っている。

2014-07-30 07:53:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1293回「子どもは一人ひとり違う」をテーマに、8つのツイートをお届けしました。

2014-07-30 07:53:43