「戦時中の朝鮮人強制連行はただの大日本帝国臣民としての義務」という主張は妥当か?

山田昭次、古庄正、樋口雄一共著「朝鮮人戦時労働動員」(岩波書店)で取り上げられていた、戦時労働動員での朝鮮人に対する差別についてまとめてみました。
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大神 @ppsh41_1945

【朝鮮人戦時労働動員に見られる民族差別について】 「朝鮮人戦時労働動員」(山田昭次、古庄正、樋口雄一共著)読了。 この本に記述されていた戦時中の労働動員(俗に言う朝鮮人強制連行)に関する民族差別について纏めます。

2014-05-21 23:12:24
大神 @ppsh41_1945

1939年の国家総動員法に基づく労務動員は日本人と外地の朝鮮人とでは扱いにかなりの差があった。 まず第一に炭鉱等の3Kな職場へ優先的に配置されており、朝鮮人の坑内就業率は平均84.6%、坑内労働者比率は57.4%と極めて高い。

2014-05-21 23:12:46
大神 @ppsh41_1945

更に稼働率までもが高く「昭和十六年度募集関係各鉱山往復・労務」によれば日本人の84%に対して朝鮮人は94.5%にも達していた。 採炭夫は通常21日出勤すれば良い程と言われているので、この稼働率は極めて高いと言わざるを得ない。休みなんてほとんど無かったと思われる。

2014-05-21 23:13:03
大神 @ppsh41_1945

石炭統制会勤労部「雇入解雇及就業率調」では日本人と朝鮮人の稼働率の格差は3%程度しか無いが、この日本人は坑外労働者を含んでいる。(ちなみに日本人の坑外労働率は60%)

2014-05-21 23:13:21
大神 @ppsh41_1945

第二に医療面における民族差別がある。貝島大之浦第二、第三、第五、第六の各坑被保険者傷病手当支給状況によれば、傷病手当支給件数は 100人当たり朝鮮人18件、日本人5件であったが、一人当たりの傷病手当支給日数が日本人14.3人、朝鮮人は9.6人となっていた。

2014-05-21 23:13:35
大神 @ppsh41_1945

傷病手当支給日数が少ないという事はそれだけ満足な医療を受けられないという事であり、ここでも民族差別が表面化している。 更に朝鮮人は怪我や病気で休むと食事も与えられず、三菱鉱業瑞島炭鉱に動員された尹椿基は「病気になって休む人は一日一食だったと証言している。

2014-05-21 23:14:04
大神 @ppsh41_1945

第三に賃金の強制的な貯金。朝鮮人の貯金は愛国貯金・強制貯金・普通貯金とあったが実態は全て強制貯金であり、 貯蓄額30円を超過する金額の貯金については本人の随意とされていた普通貯金でさえ「右は本人に於いて止むを得ず引き出すの実情あり

2014-05-21 23:14:21
大神 @ppsh41_1945

と認めたる時は随時これを払い戻すものとす。」の付帯条項があった。(日本人に対する強制貯金は朝鮮人の22.1%に対して1.5%~2%程度) 朝鮮勤労挺身隊の朴小得は故郷から持ってきたお小遣いすら強制的に貯金されたと証言しており、また戦後これらの強制貯金は返還されない事が多かった。

2014-05-21 23:15:00
大神 @ppsh41_1945

何故日本の企業が強制的な貯金を行ったかについては逃亡防止が最大の理由として挙げられる。 1943年度の逃亡率について示した石炭統制会勤労部「主要炭鉱勤労者事由別解雇調」によれば、朝鮮人の逃亡率は日本人の6.3%に対して

2014-05-21 23:15:21
大神 @ppsh41_1945

29.1%に達しており、重工業の三菱重工広島造船所では逃亡率が63%に達している。(ただし募集広告で動員した大阪日鉄製作所等は0.5%と低い数値となっている) 3Kの職場への配置と高い稼働率に示される差別的な待遇がこのような高い逃亡率を出したと言えるだろう。

2014-05-21 23:15:41
大神 @ppsh41_1945

また業者間の引き抜きや労働者ブローカーの存在も逃亡者数増加の原因となっている。

2014-05-21 23:15:57
大神 @ppsh41_1945

第四に食事面における民族差別。1941年の住友鉱業鴻之舞鉱業所「半島労務員統理綱要」によれば、「朝鮮人は米の他に麦や大豆などを 混入する風習があるので日本人よりも容易に節米出来るはず」と書き、元大正鉱業所中鶴炭鉱朝鮮人寮舎監助手の趙永熙は「朝鮮人には

2014-05-21 23:16:18
大神 @ppsh41_1945

大豆かすや麦を与えて米を食べさせない。米は寮の労務係が横流しするので、その不正を私は追及した。」と証言している。

2014-05-21 23:16:41
大神 @ppsh41_1945

朝鮮人用の食料の横流しについては特高月報でも取り上げられており、1943年11月7日、事務係が朝鮮人用の非常米が腐食しているとして、米5俵を自宅に搬出しようとして集団暴行事件にまで発展している。

2014-05-21 23:16:56
大神 @ppsh41_1945

この本ではこれら以外にも戦時労働動員における朝鮮人への民族差別が紹介されており、「徴用は国民の義務であって強制連行ではない」 とするリビジョニストの主張が外地の朝鮮人の扱いと日本人の扱いの相違を無視した暴論である事が分かる。(外村大の「朝鮮人強制連行」

2014-05-21 23:17:12
大神 @ppsh41_1945

では寧ろ1944年まで徴用されなかった事が差別と書かれている。徴用されると国からの援助がされるため) また官斡旋の自由契約論についても反論しているので、そちらについては後日書こうと思う。

2014-05-21 23:17:30