例えば、宗教の問題。自分も最初聞いたときは、「ヘイトスピーチ」の規制対象に宗教を入れるのはまずいのではないか、って思ったけど、よくよく考えてみると「宗教」は逆に外すことはできないと思い直した。
2014-08-15 22:05:05なぜなら、宗教を外すということは、つまり「イラン人は出ていけ」だとヘイトスピーチになるが、「イスラム教徒は出ていけ」はヘイトスピーチにならない、ということになるからである。さすがにこれは規制法としてはまずいだろう。
2014-08-15 22:07:34だからと言って、例えば靖国批判などがヘイトスピーチとして規制される状況もまずい。この解決は、「宗教を外す」のではなく、「守られるべき宗教に対する批判」と「規制されるべき宗教に対するヘイト」をきちんと区別する、ということから始めていくほかないと思う。
2014-08-15 22:10:51てなことを考える上で、ラバトのパラ19にある「関連する国際的な法的諸基準に保護される宗教や信念の自由の権利、批判や嘲笑を一切免れた宗教や信念 を持つ権利を含んではいないのである。 」って部分は非常に重要。
2014-08-15 22:20:42さて、ここまで考えたところで、宗教についての「批判」と「ヘイトスピーチ」を区別するための基準が自分でもよくわかってないことに気付いた。ので、ぼちぼち考えていこうと思う。
2014-08-15 22:23:11今のところ区別に使えそうなものとしては、「扇動性」と「過度な一般化」かなあと思ってる。けど、他にもなんかありそうな気がする。
2014-08-15 22:25:17「ネトウヨ」というのは、属性につけられたラベルではなくて、「ネット上で差別的な発言を繰り返す」・「マイノリティに粘着して差別的なメンションを送る」などの行動につけられたラベルです。
2014-08-16 17:59:55そして、「ネトウヨ」というラベルがネガティブな含意を持つのは、それらの行動そのものがネガティブな評価を受けるからであって、当然これはヘイトには該当しません。
2014-08-16 18:01:38一応、根拠を書いておくと、ネットを使っている右翼の人が全員ネトウヨと呼ばれるわけではないし、ある個人がネトウヨかどうかを判断する基準はネット上の言動に依るしかないってとこですかね。
2014-08-16 18:33:54昨日の続きで宗教とヘイトスピーチについて考えてみる。批判とヘイトスピーチを分ける基準は、ラバトのパラ11に出ているので、以下全文引用する。
2014-08-16 20:09:26「 第二に、[表現の自由の] 制限は、その目的について次のことが明白であるような仕方でのみ行われなければならない。制限の唯一の目的は、民族的、国民的または宗教的集団に属し特定の信念や意見を有する個人や共同体を、敵意、差別または暴力から保護することにあり、
2014-08-16 20:10:31信念体系、宗教または制度をそれ自体として批判から保護することを目的とはしない。表現の自由への権利は、宗教的信念を含む信念体系、意見および制度を批判的に精査し、公然と論じ、批判することが、特定の個人や集団に対する暴力、敵意または差別を煽動する憎悪を唱導しない限りにおいて
2014-08-16 20:12:01まず、重要な点は、「民族的、国民的または宗教的集団に属し特定の信念や意見を有する個人や共同体」と「信念体系、宗教または制度それ自体」が明確に区別され、前者への攻撃がヘイトスピーチとなり得るのに対して、後者への批判は表現の自由の範囲内に置かれていることである。
2014-08-16 20:16:18やや話がずれるが、日本では、両者の区分が曖昧であることがいろんな面でヘイトスピーチを巡る議論を難しくさせていると思う。例えばよく言われる「韓国政府による日本人に対するヘイトスピーチ」なるもののほとんどは、「信念体系、宗教または制度それ自体」に当たるもので、ヘイトスピーチではない。
2014-08-16 20:20:38しかし、日本においては、ある人に対して、その人に関連するものを批判することは、その人に対する攻撃である、と見做すような規範があるように思う。だから、外国人が日本の政府や政策を批判した場合、それが個人に対する攻撃と受けとられるということが起こる。
2014-08-16 20:29:55話を宗教に戻すと、保護すべきは「信者もしくは信者の共同体」であって、「その宗教そのもの、教義、制度、その宗教にまつわる事件」等に対する批判はヘイトスピーチではない。したがって、靖国批判がヘイトスピーチにならないし、なり得るとしたらその矛先が信者に向いた時に限られる。
2014-08-16 20:43:48ここの所は「ヘイトスピーチは向けられた対象が傷付くから駄目である」と考えると間違うところである。何故なら、敬虔な信者であるほど、「その宗教そのもの、教義、制度」等に対する批判にも、ヘイトスピーチ同様(場合によってはそれ以上に)傷付くということは十分にあり得るからである。
2014-08-16 20:50:16つまり、どちらが深く傷付くか、のような基準で考えていくと、しばしば主観的なバイアスと相俟って、ヘイトスピーチではないものの方が、規制されるべきヘイトスピーチより悪質に見えるということは十分あり得ることである。ヘイトスピーチが問題なのはあくまで社会の公正さを阻害するからである。
2014-08-16 22:01:01次に重要なのは、「暴力、敵意または差別を煽動する」という部分である。ここでは、単なる差別意識の発露のような言明ではヘイトスピーチとして認定するには十分ではなく、扇動性という要素が含まれて初めてヘイトスピーチとして規制される、ということになっている。
2014-08-16 22:07:01