- akinosora_
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石川博品『四人制姉妹百合物帳』読了。やや古めかしい文体から繰り出されるのは、あんなの本物の女子校じゃない現実はこうだいやこれこそがと言い張り合うのが阿呆らしくなる、可笑しくはしたなくもしっとりして切ない女子校剃毛小説だった。 pic.twitter.com/Jg0yapFpLZ
2014-08-20 20:22:41著者が公言している谷崎の「細雪」リスペクト要素は、分かりやすいところでは主要登場人物の名前をあの四人から取ってるんだけど、それとは別にあれもシモいトピックを結構露骨に扱っているのに上品さを失わない小説だったなと。ただ向こうはカラッとしてて、同じ博品でも『後宮楽園球場』に近いかな
2014-08-20 20:29:59「百合種つるつるなのはだ〜れだクイズ」を描いた第2章「百合種の顰」は校内賭博小説として「蓬莱学園の犯罪!」を連想した。犯罪!のようにエントロピー増大していかないのがポイント。大きな物語から外れたところにしかサロンの親密さは存在しえない!双六ネルリといい博品のゲーム小説、好きです
2014-08-20 20:44:19第3章「閖村三十人剃毛」はタイトル通り津山三十人殺しのパロディで、まあタイトル通りひどいです。 「閖村」は舞台になってる女子校の名前なんですが、「閖」の意味を調べたらンマーっ!てなりました jitenfeti6.jugem.jp/?eid=55
2014-08-20 20:46:37トリちゃんがミカコお姉ちゃまの悪戯に幻滅したのって、奔放なサっちゃんが百合種をそういう場にしてしまうかも、という恐れもあったのかな。そしてその時、自分は?サッちゃんはあくまで白雪姫を守る森番であって王子様ではなく、自分を大事に思うが故に手を出してくれないんじゃないか、という
2014-08-20 21:36:45『四人制姉妹百合物帳』作中に登場した書籍 マヌエル・プイグ『蜘蛛女のキス』 セルバンテス『模範小説集』 カルペンティエル『光の世紀』 アーヴィング『アルハンブラ物語』 バルガス・リョサ『都会と犬ども』 安野光雅『旅の絵本』 オルテガ・イ・ガセト『狩猟の哲学』
2014-08-20 22:04:40あとは「ナショナルジオグラフィックの写真集」とか、校歌の、しぼめる花の色なくて〜は古今和歌集 仮名序の引用だったりタエちゃんが自分を煤だらけのカマ猫と評したのは宮沢賢治だったり、あと、ユリシーズ。サッちゃんの「ムルクルニャオ」は丸谷才一訳版の同作の猫の鳴き声だとか
2014-08-20 22:17:21上品な文体に古典/名作文学への目配せ!これは大人の本読みの人たちに受けて本屋大賞待ったなし!からの逆転商業化! ……いやどっちかというと大学生読書人大賞向けかな。ほら青年のための読書クラブとかもみんな面白がってたし。あれほどマジックリアリズム寄りではないけどさ
2014-08-20 22:22:25しかし「萎れて腐るまぎわの薔薇に似た色のリボン」なんてきゅんきゅん来る比喩がどうしてアンダーヘアに対する「出涸らしの綿菓子機」だの「春の息吹」だのといった語彙と同じ頭に入ってるのか……
2014-08-20 23:46:18博品の小説って百花繚乱の表現が登場するんだけど、中でも今回あっこの人真性だ、と確信したのは、「ひざこぞうに無数のスティッチが暴れまわる柄の絆創膏」です。文学的な香りは皆無。すごい卑近そうでいて普段から色々観察(宮崎駿的な意味で)してないと出てこないよこんなの!
2014-08-21 10:09:072章で無毛(モーマオ)になって3章でサロンに入り浸って4章でキスして5章で失恋?いや最後のは、タツヤが告白した後の場面だから、お前には見えてないけどこの恋望みねーよだって……ってことなのか?
2014-08-21 21:22:58