荒谷大輔さんによるラカン読書会

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荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

えど、どのくらいの人が参加してくれるかわかりませんが、一応ご案内した時間になりましたので、はじめます。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:01:23

セミネール11巻の位置づけ

荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

まず、一応簡単にセミネール11巻の位置づけだけ説明しておきます。どんな方が参加者か顔が見えない状態ですので。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:02:41
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

ラカンにとって、この年は、国際精神分析協会(IPA)を破門になって、サンタンヌでセミネールをすることを禁じられ、アルチュセールを頼って、エコール・ノルマルの講堂で再開した年になります。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:04:35
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

仲間うちの雰囲気が強かったそれまでのサンタンヌでのセミネールから、精神分析の実践を前提としない理論家が多数参加するものに変わりました。ラカン自身が「基本概念」からあらためて説明し直すセミネールになっているため、しばしばこの巻が入門用に用いられます。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:05:41
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

ちなみに、アルチュセールの門下だったジャック=アラン・ミレール(後の娘婿でスイユ版の編集者)が参加したのもこのときからになります。次の第3課ですでにラカンに気に入られているのがわかると思います。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:07:19

無意識と反復

Ⅱフロイトの無意識と我々の無意識 1

荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

冒頭アラゴンからの引用ではじまります。『エルザの狂人』からですね。この詩は、この課の主題(無意識)との関連というよりも、対象a(と不安)を主題にした前年度のセミネールに捧げられています。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:12:38
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

「対旋律」というタイトルからしてすでに、対象との「鏡像関係」をにおわすものになっていますが、しかし、ここで問題になっているのは、いわゆる「鏡像関係」ではありません。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:13:43

「鏡像段階」

荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

「鏡像関係」は前提にしてもよいでしょうか?初期のラカンの鍵概念で、自己の身体イメージを他者を媒介にして獲得するという話です。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:15:03
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

一応説明しておくと、ロックやカントなどの近代哲学が自己意識をある程度前提にして話を展開するのに対して、精神分析では「自己」の意識をいかに確保するかということを問題にします。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:16:29
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

初期のラカンは、「寸断された身体」(つまり、「自己」が「自己」として成立していない状態)から、主体が「自己」を確立するための段階として、他者のイメージを媒介にするという理論を展開したのでした。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:17:40
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

鏡像段階における対象(初期にはこれがaと書かれていました)との関係は、「双数=闘争関係」といわれ、「自己」のイメージを他者に預けるがゆえに、不安定さが際立つものになっていたわけですが、アラゴンにおける対象は「自己」の中に進入してきません。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:19:46
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

ここでの対象は、作者の外に、欲望の対象として現れ、作者と重なり合わないままになっています。「私の中に入ろうとするが、私はただお前のイマージュを映すだけ」 #ラカン読書会

2014-08-21 20:23:00
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

このことは、少し後のアン・ナディの台詞(=偶像崇拝の禁止=割礼)と符合しています。割礼とは、フロイトによれば、去勢の痕跡を示すものとされていました。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:23:59
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

つまり、ここでの「対象」は「去勢」の後に問題になるものなわけです。「鏡像段階」はエディプス・コンプレックスの過程で主体が去勢される手前の状態をしめしているので。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:25:36
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

この勢いで、「去勢」とか「エディプス・コンプレックス」とかを説明するのは、ちょっと大変すぎるので控えますが、簡単にいうと、エディプス・コンプレックスを経ることで、幼児は安定した「自己」の意識を獲得するに至る(カントの統覚みたいなもの)という位置づけです。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:27:25
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

ここで「お前」といわれ、作者に「眼差し」を差し向けるエルザが、つまり対象aですが、この概念が、セミネール4巻からこの前の年までラカンが練り上げ、後期の重要概念となっていくものです。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:30:19

「対象a」と「-φ」

荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

対象aというのは、つまり、精神分析における「対象関係論」(クラインとかウィニコットとか)との関係で練り上げられたもので、セミネール4巻は、対象関係の変遷によってエディプス・コンプレックスを説明する試みになっています。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:32:25
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

なので、ここで対象aと「-φ」(「モワン・フィー」と読みます)が関係づけられているのは、これまでのセミネールの参加者であればすごく馴染のある話であると思われます。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:34:02
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

「対象aのさまざまな形」というのは、ふつう「乳房・糞便・眼差し・声」といわれますが、これらは特定の対象というよりも、さまざまな形で主体の欲望を喚起するものの総体とです。 #ラカン読書会

2014-08-21 20:35:35
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

それと「-φ」の関係をひと言で説明するのは難しいのですが、引用すると、「ここで問題になっている対象、ファルス的対象は、大他者の充溢性が失墜したところにおかれる想像的な対象aとは異なります。・・・ #ラカン読書会

2014-08-21 20:36:56
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

・・・ファルスは大他者が大他者としてもっている地位から差し引かれた対象なのです。いいかえるならば、去勢期の性器的な欲望の水準において、対象aは、 A マイナス φ なのです」[S.VIII,264] #ラカン読書会

2014-08-21 20:37:16
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