茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1306回「派手な空振りのあとに場外ホームラン」
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もうそろそろ、iPhoneの新しいモデルが発表になるらしい。スクリーンが大きいいわゆる「ファブレット」が出るらしく、それをたのしみにしているのだが、ふと思い出したことがあって、ぼくは、かなり前から、ガジェット好きで、いろいろなものを試していたのだった。
2014-08-23 09:11:26アップルの社名に「コンピュータ」がついていた頃発売されていた「ニュートン」もさっそく買って試した人だった。あのころは、ハンドヘルドとかいって、手書き認識ができるというんでわくわくして買ったのだが、正直、使い勝手はあまり良いとは言えなかった。
2014-08-23 09:12:39シャープの「ザウルス」にも、ずいぶんお世話になった。数モデルくらい試したのではないか。今ではなつかしいが、キーボードがついていて、それがスライドして出て来たり、文章をちょこちょこっと打って、作家気分になっていたりしていた。
2014-08-23 09:13:28今や、ひとびとの生活になくてはならないものになった「スマホ」だが、考えてみると、ニュートンといい、ザウルスといい、今の「スマホ」の形態に至る商品はずいぶんあって、ただ、通信速度とか、タッチスクリーンの精度とか、アプリとか、いろいろなものが足りなかったからブレークしなかった。
2014-08-23 09:14:32先駆的な商品群が、条件が少し足りないがために「届かない」で、メガヒットに至らず、やがて登場した、「定番」となる商品が、それ以前の「トライアル」の果実、失敗の学習から洗練度のしきい値を超えて人々の心をとらえる、ということは何度も繰り返されているように思う。
2014-08-23 09:16:02つまり、空振りしてでも、ファウルチップでも、とにかくバットをぶんぶん振り回している。ボールの真芯をとらえていないけれども、実は惜しい軌道を描いている。あきらめずに振り回しているうちに、やがて、バットがボールをとらえて、カキーンと場外ホームランが出る。
2014-08-23 09:17:04ひとりの人生でも、同じようなことがあるんじゃないかと思う。何かが足りない。届かない。しかし、空振りだと思っていても、本当は真芯の軌道からほんの少しパラメータがずれているだけで、あきらめずに振り回しているうちに、自分でもびっくりの場外ホームランがくるかもしれない。
2014-08-23 09:18:07進化論に言う「希望に満ちた怪物たち」(hopeful monster)はこの世にあふれていて、スマートウォッチにせよ、音声認識のエージェントにせよ、メガヒットに至っていないものは、きっと、何かが少し足りないのだ。派手な空振りのあとに場外ホームラン。それは、次の打席かもしれない。
2014-08-23 09:19:32