rsbs日誌#23

﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌　ハヂマリ。

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#rsbs日誌　ひっそりとした夜の島に海風が吹く。涼しく、だけども潮混じりのどこかしっとりとした、風…風は草木を揺らし、音を奏で、一人の少女を撫でていった。少女は独り、島唯一の泉の傍に腰掛けていた。何かをするでも無く、蟲の歌声に耳を傾けるでも無く、ただぼんやりと…空を見上げる…

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#rsbs日誌　何かに憂いているのでもなく、その瞳はぼんやりと空を眺めていた。明かりは鎮守府の方にしか無く、大三角形も、星座も見えなくなる程の星の大海が広がっていた。その中を、一際濃く明るく、ミルキーウェイが流れていた。風がまた、少女の長く美しい黒髪を撫でていった。

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#rsbs日誌　ここには喧騒も何もない。泉の僅かなせせらぎの音。蟲の歌声。草木のざわめき…自然の息遣い。ただ其れだけしかない。そう。僅かに少し前までは…不意に、少女が視線を水平に落とす。風に乗って、小さな足音が聞こえて来たから。その足音はどこか、さ迷い勝ちな足運びだった。

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#rsbs日誌　少女は気にする事なく、そのまま待っていた。足音の主が自分を探しているのは明白だった。何故か？少女には気配で分かったからだ。これは人を探す気配だと。そして今、そうして自分を探そうとして居るであろう存在はごく僅かだと言うことも。足音が大きくなる。もう僅かだ。

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#rsbs日誌　さく、さく…と土草を踏みつける足音はもうすぐ傍にまで近付いて来た。「…ハァイ。リトルシスタ…榛名」柔らかく、暖かい声。其れは聖母の様にも思えたし、不思議と母親の其れの様にも、少女…榛名には思えた。「こんなサイレントなスプリングで、何を黄昏て居るんデス？」

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#rsbs日誌　榛名はゆっくりと視線を、自分を探していたモノ…姉妹艦であり、姉と言う区切りに属する彼女…金剛と絡め、微笑むとまた、満点の星の大海を見上げた。「私達、艦娘と…深海棲艦の事を、考えていたのです…」「それはまた、ディフィカルトな事をシンキングしてたネ」

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#rsbs日誌　金剛は静かに榛名の隣に腰を下ろした。「お姉様。お召し物が汚れますよ」「Don’t worry.But…榛名は何時、私の名前を呼んでくれるのカシラ？」金剛は悪戯っぽい様な、どこか意地悪な様な表情で話した。「…なま、え…」キョトン、とばかりに言葉を返す。

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#rsbs日誌　「YES.榛名は、私達と過ごす様になってから結構過ぎたのに、今でも何処かハートの壁を感じるヨ…」Well,Well,とばかりに金剛はため息を漏らす。「…そんなに、私達を受け入れラレナイ？」「違うんです。お姉様。」「ホラ、また」「あっ…すみません…」

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#rsbs日誌　「Don't mind,ねぇ、榛名…金剛オネーチャンと、お話シマショ？」「お話、ですか…？」金剛の提案に榛名は生返事を返した。「Ya.何事も対話から始まりマス。…モシカシタラ私達姉妹は、この戦争の中で、死ぬかもシレマセン」淡々と、しかし真面目に金剛は語る。

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#rsbs日誌　「それに…ワタシはモシカシタラ、榛名の最初の金剛オネーチャンでも無いかもシレマセン。But！それでもワタシは、例え流れ星の瞬き程の時間であっても、イミテーションでしか無くても、榛名達と姉妹で居たいのデス。血の繋がりが無くても、此処で強く、繋がり合いたいネ」

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#rsbs日誌　金剛は力強く語り、そして己の胸を指し示した。そして…「…榛名は、こんなワタシは、イヤですか…？」今度は弱く、心配そうに、金剛は呟く。燦々と輝く太陽が、まるで雨雲に覆い隠された様に勢いを無くして。榛名は、ゆっくりと噛み締める様に金剛の言葉に耳を傾けて居た。

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#rsbs日誌　「お姉様…いえ、金剛お姉様。お気持ちは確りと榛名に届きました。そして…榛名の事を話させて貰っても良いですか？」妹の言葉に、金剛は頷く。「先ず最初に…何故、お名前を呼ばなかったか…お話ししましょうか」「階段も、最初の一段目からと言いますデスネ」

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#rsbs日誌　「私は…ずっとずっと、一人だったんです。ぁ…これは艦娘になってから、と言う意味なんですけどね…」「榛名は、艦娘に成る前はシスタやブラザは居たの？」「……」榛名は強く悩む様に思い出し、呟く。「いえ、一人っ子だったと思います。ちょっと思い出し辛くて…」

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#rsbs日誌　「ノープロブレム。そう言う娘は何人も見てきたヨ。榛名も、何か有りマシタカ？」「はい…色々な事がありまして、榛名は艦娘になってから…人だった頃の事を思いだし辛いんです」「hardな事があったのネ…」榛名はそっと頷いた。

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#rsbs日誌　「榛名は、ずっと独りぼっちでした。他の艦娘と会う事も余り無く、ただただずっと独りでした。姉妹艦の、金剛お姉様とも、比叡お姉様とも、そして霧島とも…出会ったのは、海に出てからでした。其れまでは知る事も有りませんでした。」「Why?」「学ばせて貰えなかったんです」

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#rsbs日誌　「学ばせて貰えない…そんな事が、アッタノ？」「えぇ…今から、話します。榛名に起こったことを」ひとつ、深く深呼吸をしてから榛名は切り出した。「榛名は、海に出るまでの間、ただの肉で出来た機械でしか…在りませんでした。あの人に出会うまでは…ただの憎悪でした…」

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#rsbs日誌　…――Ｘ年前――…

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#rsbs日誌　榛名は…私は…静かな町の神社に生まれた、一人娘…でした…海辺の、町で…安全や…豊作とか…豊漁を祈って居ました。そして榛名には少しだけ、本当に本の少しだけ…他と違う力が在りました。邪を払う力で…お守りとか破魔矢がよく、売れていきました…

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#rsbs日誌　其れから暫くして…軍の偉い人がやってきて…榛名に艦娘に成る様に一杯お願いして行きました…何度もお願いされて…拝み倒されて、お父さんもお母さんも…そして榛名も漸く、折れました…私、まだあの時…14歳位だった、と思いますけど…其れ位だったんですよ…？

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#rsbs日誌　それから…何処か遠くに連れて行かれて…艦娘に成りました。うぅん…させられた。が正しいのかしら…そして榛名は…実験材料にされたんです。

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#rsbs日誌　毎日毎日、来る日も来る日も体を弄られて、痛い注射を受けて、苦いお薬を何度も何度も飲まされて、お腹を開かれたり、よく分からない…だけども怖い機械に繋がれたり、繋いだりさせられて榛名は凄く辛かった。とってもとっても辛かった。安心出来たのは、眠る前のまどろみだけ…

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#rsbs日誌　榛名の体を無茶苦茶にした人達は皆、脂ぎってて死んだ様な嫌な眼をしていました。誰も彼もが狂っていました。彼らは…深海棲艦の力を艦娘に取り込もうとしていました。エリートとか…フラッグシップとか…改フラッグシップとか…そう。あの怖い力です。

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#rsbs日誌　そこの研究所で働いて、艦娘をまるで実験動物みたいに扱っていた人達はそう言う『危ない物』の研究をしていました。人が触っちゃいけないモノ…若しくは触るにしても慎重に取り扱わなくてはいけないモノ…なのにあの人達は土足でズカズカと、人智の外に踏み込んで居ました。