続・JARS真夏の研究会のまとめ
- mk_sekibang
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1つめの豊岡さんのボッティチェッリ「春」についての発表は、絵画を新プラトン主義の思想をキーとして解釈しようというもの。フィチーノの影響という仮説から、徳や神性としての「光」の存在を見出し、「メディチの永遠の繁栄」を描く意図へと結びつける話だったと思う。
2014-08-26 13:26:46全体として面白く聞けた。引っかかったというか、ピンとこなかったのは、ヴィーナスの位置を、肺と心臓という解剖学的な臓器の配列のアナロジーと捉える説のところ。直接的な論証は難しくとも、もう少し傍証を挙げる必要があるようにも思った。
2014-08-26 13:31:01原さんがダヴィンチを挙げて、「見てないのに見たように描く」ことを仰っていたけれど、同時に、実際に見たままを描くこと自体は文化や社会の限定を受けないものなのか。現代の解剖図と同じように描くのか。
2014-08-26 13:36:08描くとして、心臓の位置を肺(のみ)によって措定する例が同時代にあるのか。その際、人体を真正面から捉えたかたち描くのが一般的なのか。なんてことが、今、思い返しながら浮かんだ。
2014-08-26 13:38:01少し後のヴェサリウスの『ファブリカ』では、解剖された人物や骨格はポーズとってるんだけど、ああいう方が解剖図のスタンダードだったのかしらん。個人的興味。
2014-08-26 13:39:522つめの村瀬さんのパラケルスス主義についての発表を聞くのが、個人的に今回の参加目的のひとつだった。主義者と週末論の関係について、パラケルススを「道具化」していくところまで。
2014-08-26 13:43:37各人の持ち時間の都合もあって、概略図を示すことに限定されたのだと思うけれど、何人か具体的な主義者の事例を挙げて貰えたら良かったかなとは思った。でもでも、個人的にはとても楽しめた。
2014-08-26 13:46:59パラケルスス主義は、16世紀の医療関係を調べていると、ど真ん中ではなくとも、必ず考えないとならない。質問もしたけれど、そのあと飲み会の席で村瀬さんとお話しさせて貰ったのも、とても有益だった。
2014-08-26 13:49:253つめの田邊さんの近世スペインの詩人ゴンゴラについての発表は、文献学的に詩人の知識のソースを考えるもの。古典古代には存在しない、方位磁針に関する知見をどのように得ていたのか。
2014-08-26 13:54:25「偏差」現象は、緯度の低いスペイン語圏ではあまり話題にならなかったようなので、北部ヨーロッパ圏の学術書に、知識のソースを求められないか、というものだったと思う。
2014-08-26 14:01:53田邊さんご自身も口頭ルートの可能性を仰っていたし、(近世の)知識の流通には正規の書物以外にもさまざまなルートが考えられるので、他の史料でもないと完全な同定は難しそうではある。
2014-08-26 14:06:31私がコメントしたのは、いわゆる「かわら版」的な、学術書以外の流通印刷物の可能性。スペイン語圏のそういうものって全然知らないので、ドイツ語圏からの連想での思いつきだったけれど。
2014-08-26 14:10:53ヒライさんが仰ったように、同時代・同地域で磁石について論じている人物を傍証の可能性として探るとか、逸見先生が仰ったように好みのソースから広げてみるとか。質疑からも学ぶことが多かった。
2014-08-26 14:10:59ヒライさんのガファレル『前代未聞の驚異』についての発表は、古代の民の「魔術」をガファレルがどう擁護しようとしていたのかというもの。
2014-08-26 14:12:38ここでキーとなる「自然か否か」というのは、この時代において(中世からそうだろうけど)とても重要なイシューなので、とても面白く聴いた。「自然」概念は、病気観や性の「逸脱」観、魔女観にも関わるので、もっと勉強せねば。
2014-08-26 14:18:47デッラ・ポルタの例が引かれていたけれど、形状・形相が薬効を持つという考え方。連想したのは、翻って人体部位が薬効を持つという考え方はどこに根拠を求められていたんだろうかということ。研究会とは関係ない、死刑執行人の話。
2014-08-26 14:25:24人体部位の治癒力については、ハリントン(日暮雅通訳)『死刑執行人』(柏書房、2014年 bit.ly/1nvmeH3 )、272ページ以下で。という宣伝。
2014-08-26 14:29:28訂正:「好みのソース」→「その書き手が好んで使うソース」の意 RT @narrenstein: ヒライさんが仰ったように、同時代・同地域で磁石について論じている人物を傍証の可能性として探るとか、逸見先生が仰ったように好みのソースから広げてみるとか。質疑からも学ぶことが多かった。
2014-08-26 15:41:56最後の加藤さんのスピノザの神についての発表は、ネーデルラント・デカルト主義者と対比することで、スピノザの思想における神について考えるもの。オランダのカルヴァン派的なデカルト受容と、スピノザの「絶対無限」としての神観念。
2014-08-26 15:52:50結構難しい議論だったはずだけれど、きちんと整理されていて分かり易かったと思う。あとでヒライさんが指摘されていた、論争という文脈での理解を最初に掲げた割には、争いの側面があまり出て来なかったというのは確かにその通りかもしれないけれど。
2014-08-26 15:57:14ちなみに、ここでも「神、つまり自然」と、「自然」が重要なイシューになっている。アウグスティヌス的な「自然、すなわち神」とどう違うんだろか。
2014-08-26 16:02:06とりあえず、研究会本体についてはこんなところだろか。質疑応答もとても刺激的だった。他人様がどういう質問・コメントをするのかを聞くことも、研究家に出る楽しみのひとつ。同じ材料でもいろいろな切り口があるということを、直截的に学べる機会。
2014-08-26 16:15:47レセプションを経て、飲み会でもいろいろと話をすることができて、濃密な時間でした。私はほぼ席を移動しないのが常なので、きちんとお話できなかった方もいらっしゃいますが、今後もこういった機会に加われればと思います。
2014-08-26 16:17:29