grossherzigkeitさん連続Tweet：「悪」というレッテル貼り／道徳心／南北戦争

OGAWA Kandai @grossherzigkeit

オモロイ記事だ。道徳的なレッテル張りは相手との闘争を実にややこしくする」という主張で、“人道的“”な急進的奴隷解放派をなだめるのに、南部との戦争以上に苦労したリンカーンの偉大さも分かる。 blogos.com/article/93246/ ISISに「悪」というレッテル貼りはやめておけ

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南北戦争前、米南部には「奴隷制は完全な善であり、全ての制度の基礎」と主張する人々が、まったく珍しくなくゴロゴロいた。それは虚勢でも偽悪でもなく心底そう信じられていた。また当時最高の科学者らは「生物学的に黒人は人間（白人）とは別種の生物で、劣った存在」と証明し、奴隷制を擁護してた。

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もちろん北部の奴隷解放派は、そんなことを言って奴隷制を正当化する南部人たちを完全否定し、「道徳心」に燃えて、南部の奴隷農園主たちは悪魔だとレッテルを張っていった。南部もまた彼らなりの「道徳心」で反論し、遂に話し合いの交渉が行われる余地がなくなり、米国史上最大の内乱が起こるわけだ。

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さきほど挙げた記事にある、「道徳的な言葉とは、それを使用した人間に物事の結末を見えにくくしてしまう効果がある」という趣旨の指摘は、何とも考えさせられる。そう考えると、そも世の道徳、倫理、宗教というものは、平和を招来するものではなく、戦の種としてこそ存在するという見方もできようか。

OGAWA Kandai @grossherzigkeit

しかしそれは必ずしも「悪いこと」とは思われない。道徳、倫理、宗教といった、具体的実利をともなわない観念によって他者と争いを展開できるというのは、ある意味において人間を万物の霊長たら占めている一つの特徴である。そういう理想主義こそが、ホモサピエンスに文明をもたらした面はある。

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南北戦争は北部の奴隷解放派が落とし所も考えず南部の奴隷制を「悪魔の所業」とヒステリックに叩き、南部もそれに一種挑発された形で感情的になってぶつかり、結果「話し合いの余地」を南北双方が自らで放棄するような流れで開戦に至った。「抗議をするにもパイプはいる」というのは重要な視点ですよ。

OGAWA Kandai @grossherzigkeit

北部の奴隷解放派がよくやった手法として、南部からの逃亡奴隷を町の集会所に連れて行き、そこで鞭打ちの傷痕などを民衆に見せるように言って、まるで逃亡奴隷を見世物のようにしながら「みなさん、ご覧なさい、この哀れな奴隷！　さあ南部をやっつけましょう！」と煽る、ってのがあったんだな。

OGAWA Kandai @grossherzigkeit

逃亡奴隷、F・ダグラスは同じように奴隷解放派に集会所に連れて行かれ、「南部のひどさを演説して」と求められて話していたら、「もっと教養のなさそうな言葉づかいで喋らないと同情を買えないぞ！」と解放派に注意を受けたと書き残している。これって本当に「善意の正義派」なのかね。

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南北戦争の時代を生きた作家のメルビルは、「南北が相手のおぞましさを激しく批判する様は、長い年月を経て遂に戦争を招くに至った。そのおぞましさは結局お互い様だったというのが、その戦争から得られた教訓である」と書き残している。おおよそすべての揉め事、対立とはそんなものなんだろうね。

OGAWA Kandai @grossherzigkeit

まあ、月並みな言い方だけれども、すべてはバランスだ。盲目的道徳主義にも、盲目的リアリズムにも陥らず、話し合うべきは話し合い、殴りあうべきは殴りあう。そして盲目的相対主義にも陥らず、最後のところでは自分をきちんと支える軸を持っていること。これもまた、人間だから持ちえる理性のはずで。

OGAWA Kandai @grossherzigkeit

そして人類史は、そのバランスをほぼパーフェクトに保って、自由と民主主義の精神を確固と世界に打ち立てた、最も神に近かった男、エイブラハム・リンカーンを持っているのである。