ジャーナリストは吟遊詩人とか瓦版屋に近いほうがいい(福島香織)
- kinbricksnow
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朝日の吉田調書の特ダネは、全文の抜きじゃなかったんじゃないかな。意図的に抜き出された調書の一部分を、全文抜いたとして、報じたんじゃないかな。全文読んでいたら、普通の記者の読解力では、やはりああいう見出しにはならない。
2014-09-11 20:44:20金庫(?)に管理されている調書の全文コピーなんて、普通、抜けないからな。他社には絶対抜けないと思って、一部抜きを全文入手って、いったんじゃないかな。でないと、納得できる説明がつかないなあ、と思いながら。
2014-09-11 20:49:33調書全文を入手していたら、週刊誌や産経新聞が「捏造」だと騒ぎ始めたときに、もう一度全文を読み返して社内検証するだろう。でも、政府の全文公開まで、黙っていたのは、検証する手段がなかったのかもしれないなあ。
2014-09-11 20:56:428月おわりに、中国の記者とも報道の在り方についていろいろ議論したんだが、「メディアの使命」とか「記者としての使命感」というのは、なかなか危ういもんだな、と最近とくに思うようになった。東電の悪を裁く、とか、誤った政治を糺すとか、社会をよくするとか、記者がそういう使命感にたぎると、
2014-09-12 00:47:20なんか、ろくなことないのな。純粋に、人が知らない情報とったった!秘密の文書のコピー400P全文とったったで!と、いうところでとどめておくと、超すごい特ダネなのだが、これに妙な正義感とか使命感が付随すると、事実が蔑ろにされるという残念な状況がおきるよな。
2014-09-12 00:52:23私も現役の記者のときに、国益にかなった報道を、とか上司に言われたりしたんだが、よくよく考えてみると、国益の定義って微妙でな。中国の報道なんて、国益のために、報道の自由を制限するのは是としているんだが、それは何が国益かを考える権利を読者からとりあげてしまうことでもあるしな
2014-09-12 00:56:49中国の記者からよくきかれるのは、日中関係をよくするためにどういう報道をすべきか、というテーマなのだが、日中関係をよくするために、山のようにあるネガティブな情報の中から少ないポジティブネタを報道するのは、それは政治的に恣意的な報道ではないか、そんな報道姿勢は記者として是か非か、と
2014-09-12 01:03:50報道の第一義はやはり、事実の客観報道なんだな、とぐるっと一回りして、思うのだった。もちろん100%の主観排除などありえないというのが前提で、どんな記事でも記者の主観が混じるし、メディアとしての立場・社論というのがある。だから多様な記者が多用なメディアで、多用な読者のために、
2014-09-12 01:06:42報道の使命とか責任というのは、突き詰めて言えば、読者(自分たちの)のために、事象をできるだけ客観的に(といっても100%主観を脱することは不可能だという前提で)、自分と異にする見方や意見と戦っても封殺しない言論の自由を守るということにつきるんだと思うようになったよ。
2014-09-12 01:19:11朝日には朝日の読者に通用する正義とか国益観があるんだろう。社会の木鐸としての矜持もな。東電の罪を裁くのも、原発を全面廃止するのも、慰安婦問題を真摯に反省するのも、その方が国益にかなうと本気で思っているのかもしれない。それはそれで、いいんだが、朝日を批判したノンフィクション作家や
2014-09-12 01:27:42週刊誌に「法的措置を講じる」とか、メディアらしからぬケンカの仕方で対応しようとするのがいかんよな。批判的なコラムを掲載しないとかいってみたりな。
2014-09-12 01:29:51その朝日の正義のために、事実を捻じ曲げるとかになると、もうそれは中国の報道を批判できなくなるよな。
2014-09-12 01:31:37中国の記者たちと意見交換したあとに、香港大学のジャーナリズム学の先生とも、いろいろ話したんだが、とある事実を報道するときに暴動が起きる可能性がある場合、とある事実を報道すべきか否か、というテーマに対して、
2014-09-12 01:32:48その先生の「答え」は、事実報道によって、暴動が起きたという結果が生じても、それは報道の責任ではない。報道の責任とは事実を客観的に伝えることにつきる、ということだった。実は欧米とかでは、この先生の「答え」を言う人が多くて、中国とか東南アジアとかは、
2014-09-12 01:35:52暴動が起きないように、報道を控えるべきだという答えが多いんだと。 日本はどうかな。報道によって、混乱が起きた、こんなことが起きた、といって批判する人も多いからな。私は著しく人命にかかわる場合(誘拐事件とか)、報道協定ありだと思っているけど、この報道協定も学者によっては、報道の自由
2014-09-12 01:39:26を阻害するものとして、批判する人もいるそうだ。センセーショナルな報道によって、混乱や偏見が起きる、だからメディアは報道を謹め、という意見は日本にはよくあるが、香港大学の先生によると、それは受けて側のメディアリテラシーの問題ではないか、という意見だった。
2014-09-12 01:44:18今のジャーナリズム学では、ジャーナリスト志望者への教育よりは、読者・視聴者向けの講義、たとえば中高生相手のメディアリテラシー教育の出張講義とかの要請が多いそうだよ。
2014-09-12 01:47:36中国記者との意見交換のときも、私が「読者の知りたいという要請にこたえるのが商業ジャーナリズムの正しい姿勢」といったら、じゃあ、報道によって大衆が煽られる問題はどうする、という話が出たのだが、とりあえず、私たちの読者は私たちより聡明であると信じる、と言っておいた。
2014-09-12 01:51:41それは希望的観測かもしれないけれど、報道がセンセーショナルな方向に加熱したときに、こういう加熱報道はいかがなものか、という世論が現れて、その世論を代表する加熱報道を批判する報道が出てくるものだ、と思っている。
2014-09-12 01:55:11無知蒙昧な大衆を正しい方向に導くのが報道の使命とかいっちゃう人いるけどね。それ世論誘導だから、と私は思う。
2014-09-12 01:58:07前にも言ったことあるが、使命感とかイデオロギーとか背負っている人は、たぶんジャーナリストとか記者には向いてないんだよ。そういう人は運動家とか活動家に向いているよ。あるいは政治家かな。
2014-09-12 02:05:20ジャーナリストとか記者は、吟遊詩人とか瓦版屋とか、今もそっちの方にちかい方がいいんじゃないか。社会をよき方向に導くだの、社会の木鐸たれとか、ちょっと傲慢じゃないか、というのが、最近いろいろ考えた末の私の記者・メディア観だな。
2014-09-12 02:07:25まあ、多様な読者のために多様なメディアと多様な記者があればよいと思うので、高説たれるメディアも、政権打倒に燃えるフィクサーみたいな記者も、そういう役割をメディアに臨む読者もある現状でそれでよいとも思うのだ。リベラル左派のイデオロギーから脱した朝日新聞なんて、たぶん面白くないしな。
2014-09-12 02:12:58