ラバウル少佐日誌:AL/MI作戦編其ノ参

艦これ二次創作小説です。 空母艦娘及び航巡艦娘のキャラ崩壊、あと若干のグロ注意です。
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檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

御前9時のラバウル基地、その一角にて甲高い声の怒号が飛んだ。 「拠点制圧しておめおめ全員揃って帰ってくるアホが何処にいる!?」 「ここにいまーす!」 「鈴谷は黙ってろ!」 「へーい」#ラバウル少佐日誌(2)

2014-09-15 22:14:37
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

何故か執務机の前、板間の上で胡坐をかいているのは、眼鏡を掛けた目つきの悪いデブの男。身に纏った白服から、海軍の指揮官相当者である事が分かる。 対して、この男の前に正座している茶色いブレザーを着た二人は、どちらも10代後半程度の外見をしている。#ラバウル少佐日誌(3)

2014-09-15 22:21:57
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「私(わたくし)は言われた通り、敵をぶち殺したまで、ですけれど……あ、そうですわ!」 熊野は思い出したかのように、後ろに置いていた漆塗りの櫃を、ドカリと少佐の前に置いた。 「……何となく分かるが、一応訊こう。最中であったりしないのか?」 「敵将の首ですわ」#ラバウル少佐日誌(4)

2014-09-15 22:28:31
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「要らない。持って帰って」 「まあまあ、折角ですから」「おいやめろ!」 だが熊野は少佐の制止を無視し、 「それ、首実検ですわー!」「うっげ……」 その中身を、素手で掴み取り出した。#ラバウル少佐日誌(5)

2014-09-15 22:33:07
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

その中身は……北方棲姫の首の塩漬けは酷く痛ましい。 上手く漬かりきっていなかったのか目玉や顔の皮膚の一部が崩れ落ち、眼孔の闇は深く歯が剥き出しになっていた。 何より、 総じて肉が腐って尚激烈な悲愴の表情で死後硬直した幼い顔は、筆舌に尽くし難いものだった。 #ラバウル少佐日誌(6)

2014-09-15 22:45:06
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

少佐は、言葉が出ない。 嘔吐する気にもならなかった。 敵が幼女の姿をしているという話は聞いていたが、こうしてその可憐な命を踏み躙った跡を目の前にした今、流石に非情にはなりきれなかった。 「もう少し上手く漬かっていれば、昨晩の内に酒の肴として……少佐殿?」#ラバウル少佐日誌(7)

2014-09-15 22:49:34
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「気味が悪い。それ以上見せるな。次の出撃で敵にでも投げつけて、捨ててこい」 一方的に言葉を投げつけて、少佐はその場を去った。 「あら……少佐殿は、言動に似合わずお優しい方なのかもしれませんわね、鈴谷」 「ま、でも長ムダ説教は上手く躱せたってカンジ?」#ラバウル少佐日誌(8)

2014-09-15 22:57:34
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

『少佐殿お断り』と書かれた紙を額に貼り付けられた北方棲姫の腐った首が、間宮食堂の入口に置かれていた。 「さあ、皆さん!今宵は私の奢りで間宮さん貸切ですわ!」 その間宮食堂の中で、熊野が軽快な声を上げた。 ここにAL作戦参加艦娘一同が集まっていたのだ。#ラバウル少佐日誌(10)

2014-09-15 23:06:09
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「ちょっと熊野、いいの?こんなゴールデンタイムに少佐どころか他の艦隊の奴等まで締め出しちゃってさ」 「文句があるなら面と向かって言えばよろしくてよ」 「熊野さん!これも頼んでいいっぽい?」 「ええ。今日限りは、何をどれだけ注文しても構いませんのよ?」#ラバウル少佐日誌(11)

2014-09-15 23:11:19
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

何時もは基地内の元帥連中が座る椅子の真中に、脚を組んで座る熊野。 その隣で鈴谷は、生きた心地がしていないような表情を見せる。 「それにつきましても龍驤さん」 「ん、何や?」 タラバガニと格闘する背の低い女へ、熊野は些か邪悪な面持ちで声を掛けた。#ラバウル少佐日誌(12)

2014-09-15 23:15:47
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「今回の戦闘、駆逐艦のガキ共も、そしてあなた達もまるで役立たずでしたわね」 ……龍驤は、熊野の言の意味が汲み取れなかった。 「はあ?」 「ちょ待って熊野」 「お黙り鈴谷。龍驤さん、あなた達は役立たずね、と私は言いましたの。日本語お分かりになりまして?」#ラバウル少佐日誌(13)

2014-09-15 23:19:45
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「だから、どしたん?」 「いえ……そんなザマで生きていて恥ずかしくないのかしら?と、私純粋に疑問を抱きましたの」 「やめなよ熊野」 「何なん君?ウチに喧嘩売ってんの?」 龍驤は立ち上がる。そしてつかつかと熊野に近寄り、 「あら」 熊野の襟首を掴んだ。#ラバウル少佐日誌(14)

2014-09-15 23:23:04
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「わざわざウチ等呼んだんはおちょくる為か。ええ趣味しとるで君」 「おお、怖いこわい……下賤の阿婆擦れ雌豚の事なんて興味が無いのでよく分かりませんけれど、大阪の人間はあなたのような、凄めば何とかなると考えてらっしゃる方ばかりですわね。恥を知りなさい?」#ラバウル少佐日誌(15)

2014-09-15 23:29:07
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「しばくぞコラ!」 龍驤の怒鳴り声が響いた直後、間宮食堂は時間が止まった様に静まり返った。 そこにいる全ての人の目が、二人へ向いた。 「ほら……あなたの下品な物言いが、ご飯を不味くさせましてよ」 「ちょっちウチ等出し抜いて鬼の首取った位で、イキがんなや」#ラバウル少佐日誌(16)

2014-09-15 23:35:48
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「それなら私も、いいかしら?」 熊野は龍驤の睨みつけてくる目を無視してそっぽを向きながら、彼女の頼んだタラバガニを指差した。 「それのお代、あなたが払いなさい」 ……暫しの沈黙があった。 後、 龍驤は言葉になっていない叫びを上げた。 #ラバウル少佐日誌(17)

2014-09-15 23:41:11
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「その様な態度で私が許すとでもお思いなのかしら」 「ぐ……う!」 拳を握り締め、熊野の眼前に立つ龍驤。 「御自分で払えない程のモノを頼んでおいて相手のご機嫌取りすら出来ないなんて、背丈や胸周りどころか、器も小さくてよ龍驤さん」 熊野は指で地面を示す。#ラバウル少佐日誌(18)

2014-09-15 23:46:59
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「土下座でもなさってみては、如何かしら?」 「……!」 龍驤は静かに震えながら、ゆっくりと周りを見回した。 夕立も、島風も、千歳すらも、二人に手出し出来ない。 皆、今夜は気が大きくなり過ぎていたのだ。 「ふふ、それでよろしくてよ、龍驤」「熊野……!?」#ラバウル少佐日誌(19)

2014-09-15 23:50:37
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

次の瞬間、 「がっ!?」 土下座をする龍驤の左手を、熊野は踵で踏みつけた。 「あら、狙いが外れましたわ。私ったら」 平然と言い放ち、 「ぐぶっ……」 今度は龍驤の後頭部を、思いきり踏みつける。 「ちょ、いい加減ヤバいって熊野」 鈴谷も狼狽えを露わにする。#ラバウル少佐日誌(20)

2014-09-15 23:56:01
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「意気地無しが過ぎてくどいですわよ、鈴谷!」 キッ、と熊野は鈴谷を軽く睨む。そしてその表情を一瞬で解くと、彼女は周りを見回し不敵な笑みを再び湛えた。 「いいですこと?私が今はっきりとしておきたいのは唯一つ。あなた達が役立たずである、それだけでしてよ」 #ラバウル少佐日誌(21)

2014-09-15 23:59:22
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

熊野は不遜な態度で、尚も続ける。 「駆逐艦は夜戦以外に於いてまるでお荷物、空母はその逆。然し私達航空巡洋艦は昼も夜も敵を一撃で沈め、しかも艦載機も操れる。つまり」 熊野は千歳へ目を合わせた。 「あなた方空母艦娘は存在自体が無駄無価値という事ですわ」#ラバウル少佐日誌(22)

2014-09-16 00:04:28
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

その場にいる誰しもが、最早熊野に異を唱える事は無かった。 「皆さん何も言われない……という事は、これから私が言う事もお認めになられる、という事ですわね?」 「ぐへえっ!」 踏みつけにしていた龍驤の頭を蹴飛ばすと、熊野は肘を顎に当て、微笑しながら言を紡ぐ。#ラバウル少佐日誌(23)

2014-09-16 00:09:45
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「航巡に非ずんば、艦娘に非ず。ですわ」#ラバウル少佐日誌(24)

2014-09-16 00:11:32