原作を補完する原作ゲームを作る方法論:「涼宮ハルヒの追想」「とらドラ・ポータブル!」の裏話

 ゲームデザイナーである小林信行さん(現Unity Technologies Japan)が、ガイズウェア時代に企画&監督されたADV『涼宮ハルヒの追想』『涼宮ハルヒの約束』『とらドラ・ポータブル!』についての思い出話を通して、「原作ゲームを作るという事」について話されていました。  また、「涼宮ハルヒの約束(PSP)」では、原作では明かされていない「学園祭の映像を完成させたのは誰か」という問題について一定の解答を示しており、それを描くに至った経緯をお聞きしました。
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「涼宮ハルヒの追想(PSP/PS3)」を再プレイした方に反応

涼宮ハルヒの追想-Wikipedia

「涼宮ハルヒの追想」(通常版)

バンダイナムコゲームス

涼宮ハルヒの追想 公式ファンブック

角川書店(角川グループパブリッシング)

れおん @leon_7

ふと涼宮ハルヒの追想をやり直したくなって半日で振り返ったけど、原作を消失まで見た人にとっては本当にいいゲームだと思います。100点

2014-09-15 15:47:19
れおん @leon_7

むしろ追想やらないと消失は完結しないと言えるレベルで原作展開に絡ませてて驚いたものです

2014-09-15 15:54:16
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

リリースして随分たったゲームですが、相変わらずプレイしてくれるファンの方がいらっしゃるのは、嬉しいことです。

2014-09-15 17:56:22

原作小説を補完する存在としての原作ゲームを企画する手段について

土屋つかさ @t_tutiya

土屋も年明けに「涼宮ハルヒの追想」を再プレイしました。もう一度遊びたいと思い、実際再プレイするADVは土屋の中では数本しかありませんが、追想は何年か経ったらもう一度やるかも。本当によく出来た原作ゲームです。

2014-09-15 18:57:04
土屋つかさ @t_tutiya

流石に時間が経ってるからネタバレも良いかと思うけど(とはいえしないけど)、原作のあるキャラについての救済物語にもなっていて、(あくまで個人的な認識という前置きをさせてもらった上で)土屋は正史に含めたいと思ってます>涼宮ハルヒの追想

2014-09-15 18:59:09
吉田 尚幹 @yoshimiki0519

RTを受けて。とらドラ・ポータブル!、追想のディレクターである小林さんのゲームはいつだってそうだ。原作で救済できなかったキャラ、関係を補完する。必ずある一点において原作以上のシチュエーションを作る。それこそが原作ゲームの本来求められる事だと思う。

2014-09-16 01:31:41
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

ゲーム制作にあたるスタッフが、原作サイドでかつある程度決定権を持っている人と直接会える機会ってまず1、2回しかないから、その機会を捕まえて、やって欲しいこと/欲しくないことを聞き出し、さらにどこまでやってしまっていいかその場で内諾を取れれば、この手のものは作れると思う。

2014-09-17 11:17:31
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

それに必要なのは、最初から落ちまで決まってるプロットを出せることと、プロットに修正要望があった時にはその場で変更点の影響をシミュレーションして、修正できること。要するに、自分できちんと落ちの付いたストーリーを作れる人なら、さほど難しいことではないです。

2014-09-17 11:20:05
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

一番ダメなのは、多くの意見を取り入れてプロットを修正すること。今まで、そんなやり方でまともなシナリオが出来た試しがない。シナリオ作りに関しては、合議制なんていうのはクソで、どこまでも一人の考えを徹底させるしかない。そういう意味では、とても嫌われやすい仕事ともいえるかも(^^;)。

2014-09-17 11:23:17

「涼宮ハルヒの追想」での例

Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

例えば『ハルヒの追想』の場合、一番最初の落ちは、『約束』の長門バッドエンドにつなげることだった。で、『約束』世界の一時フリーズ中の長門と眼鏡長門を入れ替えて整合性をつけるという、ある意味ゲーム内でのifで処理しようと思ったんだけど、最終的にここだけ修正して欲しいという要望が来た。

2014-09-17 11:34:27
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

ここの修正って大オチの修正に当たるんで、結構修正は大変なんだけど、ひとまず1日預からせてもらって、友達と酒呑みに行って、ブツブツ話を言っている間によいアイディアが生まれたので、今の形になった。

2014-09-17 11:36:32
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

正直、今のオチのほうがかなり原作に踏み込んでいるので、どうかなーとは思ったんだけど、幸いにも皆さん気に入ってくれたので今の方向でFIXしたという次第です。面白いものをきちんとぶつければ、結構受け入れてもらえるということがわかった、楽しい経験でしたね。

2014-09-17 11:38:56

「とらドラ・ポータブル!(PSP)」での例

とらドラ・ポータブル!-Wikipedia

とらドラ・ポータブル!PSP the Best

バンダイナムコゲームス

Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

一方、『とらドラ!』のほうは最初もうちょっと無難だった記憶がある。そこに原作者から「亜美ちゃんを幸せにして欲しい」という要望が入ったところで、しばらく揉んでいたんだけど、そこに原作の8巻が発売になった。大体あらすじは聞いていたんだけど、実際に読んでみると…あることがカチンときた。

2014-09-17 11:41:43
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

このカチンと来た部分は、男性と女性の感性の違いの部分なのは理解できたけど、心情的にはかなり受け入れがたかったので、「じゃ、男だったらどう決着づける?」という発想から、トゥルーエンドの実乃梨/大河ルートは出来ている。これもプロットを出す前に、相当ライターさんから反対された。

2014-09-17 11:44:44
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

要はそこまでやらんでも…ということだったんだけど、「このゲームの監督は僕だ」で押し切った。最終的には、ゲームがそこまでやってるんだからということで、アニメも原作も突っ走ったところがあると感じているんで、『とらドラ!』というタイトル的にはよかったんじゃないかと個人的には思ってる。

2014-09-17 11:46:23
Nobuyuki Kobayashi @nyaa_toraneko

ゲームのシナリオは、原作よりもアニメよりも先にFIXしなければいけないから、ここが日和ってるようじゃメディア展開なんてダメになるだろ、という本音だけで作ったものだから面白くなったんだろうなと思います。どんなものでも、本当のことが入っていないと、絶対に面白くはならんですよ。

2014-09-17 11:48:17

原作に対し絵によって「深く踏み込む」方法について