茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1329回「おんぶバッタたちは、どこかに行ってしまった」

脳科学者・茂木健一郎さんの9月22日の連続ツイート。 本日は、きのう、ぼんやり思っていたこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1329回をお届けします。本日は、きのう、ぼんやりと思っていたこと。

2014-09-22 08:34:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

ぼくが走るコースの中に、急な坂道がある。そこを登り切ったところで、自分へのご褒美みたいな感じで、立ち止まって、まわりの景色を見る。そこには、草が生えていて、ある時期から、「おんぶバッタ」が目立つようになった。メスの上にオスが乗っているので、おんぶするように見えるやつ。

2014-09-22 08:35:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

もっとも、おんぶバッタは、さいしょからおんぶしているわけではなく、小さい。それが、だんだん大きくなっていく。数は減っていく。初夏のあたりから、おんぶバッタが、そのあたりの草の上にいて、それらが次第に数が減りつつ、一つひとつの個体は大きくなる、その様子をたのしみに見ていた。

2014-09-22 08:36:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

最近は、おんぶバッタも大きくなって、メスの上にオスが乗る、おんぶの様子も見るようになった。バッタの人生だな、と思った。こいつら、だんだん大きくなって、そして、おんぶすると、もう人生も終わりに近い。いろいろあったのだろうけれども、とにかく、ここまで生き延びて、よかった。

2014-09-22 08:38:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

昨日、走っていて、その坂を登り切ったら、びっくりした。公園の整備のひとたちが入ったらしく、おんぶバッタが乗っていた葉っぱのあたりが、すっかり刈り取られて、あとかたもなくなっていた。おんぶバッタたちは、どこに行ってしまったのだろう。自分たちが乗っていた草が刈られて、びっくりしたろう

2014-09-22 08:39:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

人の手が入ることは、自然にとって必ずしも悪いことではない。下草刈りをすることで、かえって保たれる自然環境もあり、そのような場所にしか生息しない昆虫もある。ただ、影響というのは間違いなくあって、気になったのはタイミングだった。あのタイミングで刈られて、おんぶバッタは大丈夫だったか。

2014-09-22 08:40:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

最近は、人間たちもだいぶ自然についての理解を深めて、たとえば、先日のデング熱の流行の際も、蚊の駆除はするが、生態系にも配慮して、できるだけ影響がないように、蚊だけをなくすようにしたと報道されていた。公園整備の担当者は、生態系にどれくらい配慮して、下草刈りをしているのか。

2014-09-22 08:41:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

刈られた草に産卵していた昆虫たちは、全滅に近い影響を受けるだろう。ただ、毎年刈られて、それでも次の年にはまた草が生えてきて、昆虫も出るのだから、なんとか生き延びて、命をつないでいるのだろうとは思う。そのあたりの知識/モデルを、公園整備の担当者はどれくらい把握しているのだろうか。

2014-09-22 08:42:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

いずれにせよ、坂を登り切ったところで、ひととき立ち止まって、ぼくが楽しみにみていたおんぶバッタたちは、どこかに行ってしまった。人間も少しずつ賢くなって自分たちの行為がさまざまな影響を与えるということに自覚的になり始めたが、まだまだ考えるべきことは多いと思う。

2014-09-22 08:44:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1329回、「おんぶバッタたちは、どこかに行ってしまった」のテーマで、8つのツイートをお届けしました。

2014-09-22 08:44:44