ニンジャスレイヤー&艦隊これくしょん二次創作 【フォア・アウア・フリート・フー・ミート・サムデイ】 井２

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

◆NINJA VS FLEET DEITY▲ #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

【フォア・アウア・フリート・フー・ミート・サムデイ】 井２ #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

010111011101110101010001100001010101110111011101010100011000010101011101110111010101000110000101海。 1 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

海に0101110111011101向かって01010001が10000101歩む。一人。隣には誰もいない。右にも、左にも、前にも、後ろにも。 2 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

踵の潰れていない履き古した運動靴。それを身に着けた右足が前に出る。ついで左足。右足。左足。右。左。交互に。足取りは重い。顔を上げる。側にはやはり誰もいない。唯一人。波の音が聞こえる。 3 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

シャシン・ワクから無造作に取り出してきた写真を見る。家族が写っている。父がいる。母がいる。妹たちがいる。そこには居る。その顔は01011101110111010101000110000101大好きだった人たちなのだと、改めて解る。色々なものが重い。 4 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

海が見える。前方１８０度、遥か彼方まで水平線が広がる。足元を見れば、遥かに下まで広がる断崖絶壁。白く打ち寄せる波が見え、その合間に「必ず返す借金」と書かれたひび割れたネオン看板や、首のとれた大型コケシなどの違法廃棄物が幾つも垣間見える。 5 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

少し迷って、靴を脱ぐ。丁寧に。もう随分と昔にお父さんに買ってもらった靴を、そっと地面に置く。ついでに手に持っていた写真も靴の下に置いた。ここから先ではもう必要のない物だった。 6 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

足元を覗き込む。高い。高い。遥かに高い。身を乗り出す。死が、あんなにも遥か下に。遥か下に。下に。どんどん、近づいて0101110111011101サヨナラ0101000110000101 7 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

010111011101110101010001100001010101110111011101010100011000010101011101110111010101000110000101 8 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－ 9 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

ひどい不快感を伴って、センダイは目覚めた。頭が痛い。珍しく睡眠が足りていない感触を覚えた。普段ならごく短時間でもあっという間に眠ってすっきり目覚められるのに。はて、昨晩は何をしていたか。 10 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

（エット、帰還後に緊急警戒態勢が発令されて、確かイナヅマと一緒に夜通し巡回警備に出て、戻って、それから）そこでセンダイは自分の右手を包む暖かい感触にようやく気が付いた。顔を上げると、そこにはイカズチが座っていて、センダイの手をそっと握っていた。 11 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

「…エット」センダイは戸惑う。「ふふ、オハヨウゴザイマス」イカズチは笑ってカンムスの仲間に朝のアイサツをした。「オハヨウゴザイマス」センダイが返す。彼女が自分の隣を見ると、イナヅマはまだセンベイ・フートンに包まって安らかに眠っていた。 12 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

「二人を起こしに来たんだけど、センダイ＝サンが珍しくうなされていたから」イカズチはそう説明した。「そう。アリガト」センダイは左手でイカズチをそっと抱き寄せると、軽いハグをした。フートンから出ると、まだ安らかに眠っているイナヅマの頭を軽く撫でる。 13 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

ニューロンがざわつく。現と夢がビット反転し、『妹たち』と手を繋いで散歩するイメジがセンダイの脳裏に現れる。瞬きすると、そこにはイカズチとイナヅマが変わらずに居た。何度か目を瞬かせるが、ノイズじみた夢は収束しデフラグされ、もう現れてこなかった。 14 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

「…どうしたの？」イカズチが心配そうにセンダイの顔を下から覗き込んでくる。「ううん、何でもない。まだ寝ぼけているみたい」センダイはそう言って誤魔化した。そして自分にもそう言い聞かせた。直に平静が戻ってくる。そして思い出したのは、ニンジャであった。 15 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

センダイは目を閉じて集中する。イマジナリー・カラテの中で相対するは、忍殺メンポを着けたあの赤黒ニンジャである。砲撃。雷撃。カラテ。己の手札を研ぎ澄ませ、敵のカラテを打ち破る突破口を検索する。夜戦ならば、いや、たとえ真昼間であっても、次は負けぬために。 16 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－ 17 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

居住区画を出たセンダイは、イカズチ、イナヅマと別れ、階段を上がって甲板へと向かった。波の揺れを感じながら外に出ると、様々な汚染物質を孕んだ濃厚な潮風が鼻孔をくすぐる。昨晩の雨は過ぎ去り、雲の切れ間から差し込む太陽光が甲板に容赦なく焼き付けている。 18 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

そこは、洋上の只中に留まる一隻の大型工作艦であった。名をネオアカシという。かの艦が係留された先には、海面から海底を突き抜け地中深くまでを一直線に貫く鋼鉄の建造物がある。この海域で発見された海底資源のため数年前に極秘建造された採掘施設であった。 19 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

海底資源採掘施設とネオアカシの間を結ぶ桟橋を、項垂れた奴隷の集団がドラム缶を押して往復している。随所にアサルトライフルで武装したクローンヤクザが整然と巡回し、監視する。センダイが生まれる前より繰り返し行われ続けてきた当たり前の光景だった。 20 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

ドラム缶を押す一団がネオアカシ艦尾の方にも向かっている。遠征班のテンリュウたちが戻ってきているのだろう。センダイはそう判断した。艦橋より背の高い巨大オスモウ・ホログラフが回転し、奴隷集団を見張るように一瞬見下ろす。それからまた振り返って大きくシコを踏む。 21 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

両手を広げ大きく天に掲げるオスモウ・ホログラフ。その前にはネオアカシの誇るフローティング・ドックがサイドカーじみて佇み、そこには今も一隻の巡洋艦が入渠している。センダイたちとは異なる実サイズの艦。夜闇な暗色に彩られた異質なアトモスフィアを奏でる艦。 22 #ssi7nj

shisei＠なるべく諦めない @shisei_ssi

いつもと変わらぬ光景を眺めながら、ふと、センダイは物思いにふける。今朝の夢のこと。ニューロンの靄の中に隠れ、もはや詳細は思い出せない。それから昨日の夜のこと。警備に出る前に会った、カンムスの姉妹艦たるジンツウが見せた顔のこと。 23 #ssi7nj