【艦これ連載SS】秋雲さんと東方小説書き提督 その2
- asagihara_s
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【これまでのあらすじ】
横須賀鎮守府に着任した秋雲は、小説書きの提督から、夏コミの新刊の表紙と挿絵を依頼される。この横須賀鎮守府は、図書室には東方の薄い本が山と溢れる東方鎮守府であり、艦娘同士の百合交際が推奨される百合鎮守府であった。
原稿作業の中、ふとしたことから菊月と交際することになった秋雲は、鎮守府の裏側に徐々に首を突っ込んでいくことになる。横須賀鎮守府が極秘裏に進めている計画――それは、深海棲艦に東方を布教することで人類への敵意を削ごうという壮大な計画だった!
そして夏コミとMI作戦を前に、秋雲は港湾棲姫から、北方棲姫を預けられることになる……。
第31話
#秋雲さんと東方小説書き提督 第31回(第二部第11回) 実況・感想等は #秋雲東方提督 タグでどうぞ ログ→togetter.com/li/702739
2014-10-16 21:37:05さて、ほっぽちゃんが来た日の話からだっけ? そう、北方棲姫を預かって教育してくれっていうワンコちゃんの頼みが、その場で提督からの命令って扱いになってさあ、断れないじゃんそんなの。 で、後で連れて来るっていうからてっきり数日後だろうと思ったのよぉ。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 21:40:27で、ワンコちゃんとリッカちゃんとの顔合わせが終わったあと、秋雲、10駆の部屋に戻って寝てたのよぉ。 え、菊月ちゃんと一緒じゃなかったのって? い、いや、そう毎晩毎晩そのなんだ、えっちしてるわけじゃ……ごにょごにょ…… と、ともかくよぉ。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 21:43:25翌朝、秋雲、気持ち良く寝てたところを、むにーと頬を引っ張られて目が覚めたのよぉ。 ぼんやり目を開けると白い髪。あれ、ゆうべ菊月ちゃんとえっちしたんだっけ……? って思いながら、寝ぼけたままその髪に手をのばしたの。 「ううーん、菊月ちゃん……」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 21:46:01さらさらの髪を撫でても、頬を引っ張る手が止まらない。 「や、やめへよ、菊月ちゃ……」 そう言いかけて、目の前にいるのが菊月ちゃんじゃないことにようやく気付いた。 秋雲の横にちょこんと座って、頬を引っ張ってるのは。 あの零戦大好き幼女だった。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 21:48:37「ファッ!?」 思わず飛び起きた秋雲に、幼女――ほっぽちゃんはびくっと身を竦めた。 秋雲の声に、夕雲たちももぞもぞと起き出してきた。時計見たらまだ6時前。 「なんですか、秋雲さん……あら? あらあらあら」 「はうあう、秋雲が浮気してます!」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 21:52:11「秋雲ぉ、菊月と付き合い始めたばっかりでそいつは感心しないぞ」 「秋雲さん、やっぱりロリコンでしたか」 秋雲のベッドに座ったほっぽちゃんを見やって、三人は好き勝手なことを言う。 ていうか、なんで秋雲のベッドにほっぽちゃんがいるのよ! いつの間に! #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 21:54:39「ていうか、この子誰?」 「見ない顔だな」 「あきつ丸さんみたいに色白ですね。陸軍の方かしら?」 三人に取り囲まれて、ほっぽちゃんは怯えたように身を竦める。 そうか、今鎮守府でほっぽちゃんの正体知ってるのは秋雲と提督と木曾さんだけだよ。どうしよう。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 21:58:33「あ、え、えーとさ、この子はちょっとワケ有りで。詳しいことは提督から聞いて! ほっぽちゃん、ちょっと行くよ!」 秋雲、慌ててそう叫んで、ほっぽちゃんを小脇に抱えてベッドから飛び降りた。そのまま、呆気にとられる三人を置いて部屋を飛び出す。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:01:17どうやって周囲に説明するかとか全然打ち合わせてない状態で押しつけられても困るわけで。とにかくまず提督と話つけないと、と秋雲、ほっぽちゃんを抱えて執務室へ全力疾走。 ほっぽちゃんは楽しいのか、両手を広げて「ブーン」ってはしゃいでた。ブーンじゃねえよ! #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:02:52「提督ー! って、ありゃ」 執務室のドアを蹴破ろうとしたけれど、鍵が掛かってて入れない。そういやよく考えたらまだ早朝だよ。どうしよう、と視線を彷徨わせると、小脇に抱えたほっぽちゃんが秋雲を見上げてた。 「ブーン、オシマイ?」 「おしまいだよ!」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:11:14「おう、どうした秋雲」 と、そこへ救世主。木曾さんがやってきてくれた。 「あ、木曾さん、提督いない?」 「アイツならさっき起きてきたところだが……」 そこで木曾さんが、秋雲の抱えたほっぽちゃんに気付いた。 「ああ、そいつが例の」 「あ、うん……」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:12:53ほっぽちゃんも木曾さんを見上げて、きょとんと目をしばたたかせたあと、びしっと木曾さんを指さして言った。 「ムラサ!」 「違う!木曾だ!」 もう知ってるのかよ! って、そういや提督の『星屑ミルキーウェイ』読んでるんだから、キャラぐらいは知ってるか……。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:14:32「ふぁあ……おお、秋雲、どうした」 そこへ提督が眠そうな顔をして登場。提督もほっぽちゃんに目を留めて、「なんだ北方棲姫、もう来てたのか」と言った。もうちょっと驚いてよぉ。 提督がかがんで覗きこもうとすると、ほっぽちゃんはさっと秋雲の背後に隠れる。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:18:28「ありゃ、嫌われたか」 頭を掻く提督に、木曾さんが肩を竦める。 「そ、そんなことより提督。この子、どういう扱いにすればいいわけ? 対外的にさぁ」 「ん? ああ、そうだな……私の隠し子ってことにするか」 「いやそれはいくらなんでも無茶でしょ」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:21:32だいたい民間人は艦娘寮に入れないわけで。 「陸軍からの出向組にしちまえばいいんじゃないか? あきつ丸みたいに白いしな」 「あきつ丸とまるゆを誤魔化せないだろう」 「それもそうだな……」 そのへん考えてなかったのかよ提督ってば! #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:26:22ほっぽちゃんが深海棲艦だってことは、なるべく秘密にしておかないといけなかったわけよぉ。全員に事情話して協力してもらうのが一番楽なんだろうけど、情報をオープンにしすぎると、どこから漏れるかわからないからねえ。特に今は陸軍組がいるわけだし。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:28:08「仕方ない。某国のやんごとなき御方ということにするか」 「なにそれ?」 「某国のお姫様が日本の艦娘の活躍にいたく感激され、どうしても艦娘に会いたいと。某国の資源をタテに要求されたので軍部も断れずお忍びで来日したということにするんだ」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:32:37「微妙に嘘でもない説明だねえ……まあ、そうするしかないかあ」 艦娘の活躍(夕張さんの絵)に某国(深海棲艦)のお姫様(港湾棲姫)がいたく感激したってのは事実だしね……。 「じゃあ、そういうことで。秋雲、世話は任せたぞ」 「マジで秋雲なのぉ……」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:35:08まあ、とりあえず対外的な説明の目処は立ったわけだけど。さて、この子どうしよう? ワンコちゃんからは東方を教えてやってと言われたわけだけど、木曾さん見てムラサって言う程度の知識はあるようだし……。 と、ほっぽちゃんが秋雲のスカートを引っ張った。 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:38:21「ん、な、なに? ほっぽちゃん」 「ブーン」 「え?」 「ブーン、シテ、ブーン」 両手を広げてほっぽちゃんはそんなことを言う。なに、気に入ったの? 「わ、わかったわかったよぉ。あ、提督」 「ん?」 「ほっぽちゃんの正体、誰まで明かしていい?」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:40:48「教育に必要な面々には明かしていい。お前の裁量に任せる」 「りょーかい。じゃあほっぽちゃん、とりあえず図書室行こうか」 「トショシツ?」 「本がいっぱいあるところ」 「ホン? ゼロノホン?」 「そりゃ零戦の本もあるだろうけど」 「ゼロ!」 #秋雲さんと東方小説書き提督
2014-10-16 22:43:02