#トラ泊神戸支部~司令官は何者編③

Twitter上で書いている、自分のところの鎮守府をモチーフにしたSSのまとめとなります。 10月18日更新。
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ですか @desuka_desuyo

「失礼します」 そう言って司令室に入ってきたのは任務娘だった。運営本部との連絡の為に来たのだろう。 「今日の任務状況についてかな」 俺の言葉に彼女は頷く。しかし、書類を取り出そうとした俺を制してさらに言葉を続けた。 「その前に。少しお話しませんか、提督?」 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 22:32:28
ですか @desuka_desuyo

「話?」 あまり私事を持ち込まない彼女らしくないと思い尋ねると、彼女は悪戯っぽい笑顔で答えた。 「はい。先ほど青葉さんたちと話されてたこと、私も気になりまして……」 「聞いていたのか」 俺は彼女のことを警戒しながら言葉を返す。 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 22:39:05
ですか @desuka_desuyo

彼女は運営本部と直接的なパイプを持っている。下手なことを言ってリークされればこの泊地は業務停止となるだろう。特に問題となるようなことは話していなかったように思えるが、警戒するに越したことはない。 そんな考えが表情に出ていたのだろうか、彼女は微笑みながら答えた。 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 22:43:18
ですか @desuka_desuyo

「あ、別に大したことじゃないんですよ。ただ、大学推薦枠なんて初めて聞いたなぁと思いまして」 彼女の言葉に俺は別の意味でドキリとする。そうだ、彼女は運営直属。提督となる人間の採用についても知っているはずなのだ。 「なんで嘘なんてついたんです?」 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 22:46:09
ですか @desuka_desuyo

問いかけてくる彼女は笑顔を浮かべているものの、その目は獲物を狩る肉食獣のように鋭かった。彼女もまた艦娘の一人ということだろうか。 そんなことはどうでもいい。折角先ほど切り抜けたピンチが再び舞い戻ってきたのだ。しかも、強力になって。 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 22:49:48
ですか @desuka_desuyo

「別に嘘ってわけじゃ……」 「調べようと思えばこちらで簡単に調べれますけど、提督は勝手に調べられる方が良いのですか?」 逃げの一手に出ようとした俺に、無慈悲な一撃を浴びせる彼女。頭の中には投了の二文字が浮かんだ。あぁ今日は厄日だ。 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 22:53:52
ですか @desuka_desuyo

「はいはい、話しますよ。話せばいいんでしょう。でも、他言無用ですよ」 「えぇ、もちろん」 彼女が満足気に答える。言いたくないが、結局知られてしまうのならば自分の口から言う方がマシだと思った。 ふぅと一息ついてから話し始める。 「俺が提督になった理由は……」 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 22:56:27
ですか @desuka_desuyo

一旦言葉を区切る。彼女の興味津々というような眼差しが胸に突き刺さった。俺は恥ずかしさに耐えきれず手で顔を覆いながら囁くように続きを言った。 「艦娘達が笑顔で過ごせる鎮守府を作りたかったんだ」 「ふぇ?」 予想もしない答えだったのだろうか、任務娘が変な声を上げる。 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 23:01:06
ですか @desuka_desuyo

「そ、そんな理由ですか?深海棲艦を撃滅したいとか、国民を守りたいとか、あとは提督になって有名になりたいとか……」 任務娘が慌てた素振りで言葉を紡ぐ。だが、それもすぐに諦めたようだった。 「詳しく!詳しく教えてください!」 彼女が机から身を乗り出して訪ねてくる。 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 23:07:37
ですか @desuka_desuyo

「そんな気持ちが無いとは言い切らないよ。でも、俺のような一般人から提督になったものがそれほどまでの大きな力を持つことは出来ない。それに艦娘だって国民の一人なんだろう。だったら、彼女たちのために働く提督がいても良いんじゃないかと思ってね」 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 23:09:54
ですか @desuka_desuyo

俺の言葉に任務娘は納得いかないという表情を浮かべた。たしかに、若造の戯言と言ってしまえばそれだけの理由ではあるだろう。だが、鎮守府が乱立する――いや、乱立せざるをえない現代においては、それなりの理由さえあれば提督になれてしまうのである。 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 23:14:12
ですか @desuka_desuyo

「ま、まぁ分かりました。たしかにこれは恥ずかしくて本当のことを言えませんねぇ」 任務娘が苦笑いを浮かべて言う。俺も似た様な表情を浮かべ、言葉を返した。 「だから言いたくなかったんだけどな」 「あはは、すいません。あ、折角ですし青葉さんに伝えちゃいましょうか」 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 23:19:11
ですか @desuka_desuyo

「それはダメだ!」 思わず声を荒げてしまう。だが青葉に伝われば、その日の内に号外として泊地中に知れ渡ってしまうことを考えると、仕方ないだろう。 任務娘はというと、新しいおもちゃを手に入れた子供のような笑みを浮かべていた。 「冗談ですよ、冗談~」 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 23:24:33
ですか @desuka_desuyo

ニヤニヤしながら言った任務娘が、ふと何かに気が付いたような表情を浮かべた。そして少し考える素振りをしてからこちらに向き直る。その目はまた先ほどの鋭いものへと変わっていた。 「そういえば提督――」 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 23:29:30
ですか @desuka_desuyo

「先ほど提督が青葉さんに言った言葉の真意って、何なのですかね?」 #トラ泊神戸支部

2014-10-18 23:31:29
ですか @desuka_desuyo

トラ泊神戸支部~2nd season 次回:予定は未定って言ったら本気で終わらなかったよ。司令官は何者編④(流石に完結すると思う) #トラ泊神戸支部

2014-10-18 23:33:18