今回のクラウドファンディングの社会的側面について

今回無事成立したクラウドファンディング、「太陽フレアの機構と宇宙天気予報の研究」https://academist-cf.com/projects/4/shibata ご協力ありがとうございました。私も微力ながら応援した手前上、その社会的側面について私の「雑感」をまとめました。 ■関連まとめ:「太陽フレアの機構と宇宙天気予報の研究」(京大・飛騨天文台クラウドファンディングの試み)http://togetter.com/li/733095
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研究所・研究施設とはどういうものか

MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

今回のクラウドファンディング、よく成立したなと思います。なんでも、真正面から説明すれば、分かってもらえるということを改めて、思い起こさせてくれました。柴田先生の姿勢には見習わなくてはいけません(自分)。同時に、文科省もこの研究の社会的意義を理解して、予算措置で何か工夫してほしい。

2014-10-18 22:49:33

     今回のクラウドファンディング:「太陽フレアの機構と宇宙天気予報の研究」
     https://academist-cf.com/projects/4/shibata

MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

かつて国立大学には、大学附置研が相当数、設置されていた。だが何十年も経つうち、人の入れ替えもなく、人と組織が同時に硬直化するとの批判があり、新設を認めなくなり、その後統合して国立の研究機構にしていった。他方で大学レベルで中規模研究施設のニーズもあり、時限付きで認めることになった。

2014-10-18 22:58:05
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

国立大学法人の時限付きの大学附置研究センターが、ここ20年くらいの主流になっている。例えば東京大学でLHC共同研究の(日本側の)受け皿になっている素粒子物理国際研究センターがその一つ。今回話題の京都大学理学部附属飛騨天文台のSMARTは、大学附置ではないがその一環の設置だと思う。

2014-10-18 23:20:21
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

京都大学大学院 理学研究科 附属天文台 kwasan.kyoto-u.ac.jp

2014-10-18 17:28:37
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

京都大学大学院 理学研究科 附属天文台にある、太陽観察用望遠鏡、「太陽磁場活動望遠鏡」"SMART"、SMART (Solar Magnetic Activity Research Telescope)の紹介 kwasan.kyoto-u.ac.jp/general/facili…

2014-10-19 11:15:46
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

そういう大学規模あるいは学部規模の附置「研究所」(後者はより人員も少ないので法的には「研究施設」と呼ばれる。)で行われる研究というものはどういうもので、我々はいかにして、そういう研究を育てていくべきなのか。そういう課題を改めて、我々に考えさせる契機になっていけば、幸いだと思う。

2014-10-18 23:08:10
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

天文学や天体物理学、宇宙物理学、太陽物理学といった分野は、(こういう言い方は悪いけれど)その意義が非常に分かりやすいと思う。目に見えるし、綺麗だし、超新星始め爆発現象は凄い迫力だし。長期的には、その一部を民間で担うことができれば、それは新しい学問の姿を模索していけるのではないか。

2014-10-18 23:12:04
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

今回のクラウドファンディングacademist-cf.com/projects/4/shi…で対象になったのは、直接的には、京大・理学部・飛騨天文台に、10年の時限付きで設置されていた太陽観測用のSMART(太陽磁場活動望遠鏡)と呼ばれる望遠鏡だ。その時限延長を文科省が認めなかったのはとても残念。

2014-10-18 23:32:24
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

経緯は知らないが、一つには、太陽フレア研究の社会的重要性が認識され始めたのはごく最近なので、それも関係があったかもしれない。だが太陽スーパーフレアは低頻度大規模災害の予備軍の一つ。リスクは高いと思うし、一般の理解も非常に高いのだから、文科省は予算措置を工夫してもよいのではないか。

2014-10-19 01:44:44
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@jun_makino 失礼しました。飛騨天文台に10年の時限付きで設置されたSMART(太陽観測用、太陽磁場活動望遠鏡)のことを言ってます。

2014-10-18 23:15:06
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@jun_makino 花山全体の予算が減ったというの事実(のよう)ですが、それはまた別のことでは?SMARTは10年となってますが、違いますかね? academist-cf.com/projects/4/shi…

2014-10-18 23:40:39
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@jun_makino  この部分ですが。「SMARTは建設後10年が経過したため、国からの維持費のサポートが終了しました。」 academist-cf.com/projects/4/shi…

2014-10-18 23:41:43
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足)日本の大学の「附置研究所」、大学・学部の「研究施設」、解説。文科省ホームページ、科学技術・学術審議会>学術分科会>新たな国立大学法人制度における附置研究所及び研究施設の在り方について(報告)>1.附置研究所及び研究施設の現状等、mext.go.jp/b_menu/shingi/…

2014-10-19 02:03:53
第五列 @mafi__mushkila

附置研が創設されたのも1930年代なのだよなぁ。

2014-10-19 02:04:13

研究とはどういうものか

MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

今回のクラウドファンディングの社会的意味を考えるにあたって、もう一つ確認しておきたいことがある。それは研究というもの自体の特質に関することで、簡単に言えば、予測できる部分と出来ない部分のこと。例えば筑波の高エネルギー物理学研究所KEKがよい例で、1970年代にトリスタン計画(続く

2014-10-19 08:09:43
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)…が提案されたころ、チャームクォークが1974年に発見され、続いて5番目のクォーク、ボトムクォークが1977年に発見される。だから当時の勢いではトップクォーク発見が最大限の目標になった。それがトリスタン計画の目標となり、そのエネルギー(質量)も予測され新加速器が建設された。

2014-10-19 02:34:23
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)だが当時の最高の理論的予測をもってしても、トップクォークの質量予測は、残酷にも外れてしまった。KEKのトリスタン加速器では、トップクォークは発見されなかったのである。実際にトップクォークが発見されたのはその経験の10年以上も後、1994年のことだった。だがそれは後に、実は…

2014-10-19 02:38:14
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)…大きな成功に結び付いたのだった。トリスタン加速器は建設当時、世界最高エネルギーだったが、そうこうするうちに、1983年、W粒子とZ粒子がCERN-SPP|Sで発見され、さらにCERNではトリスタン加速器と同じ型でエネルギーが上回るLEP加速器が1000億円の予算で完成…

2014-10-19 02:42:47
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)…それで分かったことは何とトリスタン加速器は最も「何もない」、何の共鳴も、何の新現象もない場所を探すことになっていたということだ。だがその事実こそ、後にトリスタン加速器を改造し、低エネルギーでB-クォークを含むB中間子を大量に生成、非対称衝突型でぶっ飛ばし、その崩壊を観測…

2014-10-19 02:47:06
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)するのに最適な加速器として再生させ、そして最終的には、小林益川理論を実験的に証明し、それが日本のノーベル物理学賞に直結したのであった。こうしてみると、研究に対する投資というのは実に難しいことがよく分かると思う。こんな例は、どんな分野にもいやというほどころがっていると思う。…

2014-10-19 02:50:44
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

承前)これが研究における予測できることと予測できないことの、身近で分かりやす例。ノーベル賞の裏話。でも私は今でもよく覚えている。院生だった1970年代、大先生たちが、予測できるような研究は大した研究ではないと言っていたこと。その先生たちが予測して、分かっていて作ったのがトリスタン

2014-10-19 02:54:06