不知火に落ち度はない その22

16
yamoto @yamoto

んじゃ落ちぬい書けそうなんではじめるよー。 今回は神通教官回ね。 #落ちぬい

2014-10-21 07:45:51
yamoto @yamoto

本日は雨天。 ピクニック日和とはとても言えない空模様で、遠征組の濡れ鼠化が予想される。 深海棲艦指数は14。連中も雨天はお休みしたいらしい。 こんな天気の中働きたい奴はそうそうおらんわな。 そんなわけで、絶賛俺も仕事エスケープなう。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:00:03
yamoto @yamoto

雨の日はスロが稼げるという法則もあるが、最近はそうでもない。 この程度の雨では締め付けてる事が多く、台風の日でもなきゃアツい設定は来ないのである。 台風の日は、わりと寝ず番になるんで行けないしな。 サラリーマンさんと違い提督は厳しいのである。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:04:21
yamoto @yamoto

ンなこと言ってると日本を支えるサラリーマンさん集団から袋だたきにされそうであるが、それはさておき。 目的地に行こうとしたとき、廊下に立つ人物を見かけた。 雨の日に外を見つめて佇むのが似合う度ランキングTOP3。 アジアンビューティー神通である。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:11:40
yamoto @yamoto

「よっす。雨をバックにサイドストーリー中か?」 「……提督? いえ違います」 静かに首を横に振られる。 多分こいつのことだから、遠征組の心配でもしてるのだろう。 ウイットに富んだ会話は、ウェットな神通には通じづらいようだった。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:15:46
yamoto @yamoto

「そっか。ところで暇?」 「暇……と言えば、暇ですが。何か……?」 よし、ならいいタイミングだ。 「ちょっとデートしねえ?」 「……!?」 あ、一気に耳赤くなった。 選択肢をミスった気がするぞ。 何度かすーはーすーはーって深呼吸してるぞ。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:19:01
yamoto @yamoto

「あー、違う違う。逢い引きってことじゃなくて付き合って欲しいってことで」 「つ……つきあ……っ!?」 びくーん、と肩が跳ねる。 もぢもぢもぢもぢとし始める。 あの、鬼教官殿。神通教官殿。 なんでそんな乙女チックルネッサンス反応なんですか。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:22:13
yamoto @yamoto

いかん、喋れば喋るほど泥沼に足を突っ込んでる気がする。 なるたけ誤解の少ない言い回しにせねばなるまい。 「えーと。あれだ。大人の会話のできるトコ行こう」 「……っ!? ……っ!?」 あたふたあたふた。 うん、なんかまた選択肢を間違えた気がする。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:27:10
yamoto @yamoto

神通の取り乱しっぷりは実にレアで、このままいっそ深まるところまで誤解を深めてみたい気もするが。 その後アイドルとスーパー忍者に囲まれ、事情聴取を受けたら詰むのでやめておきたいお年頃。 スーパー忍者単体なら、今すぐそこの窓からエントリーしそうでもあるし。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:29:30
yamoto @yamoto

と、思っていたところ、ひらひらと紙切れが落ちてくる。 空中で即キャッチ、広げてみると達筆な筆文字で書いてある。 『続けて、どうぞ』 その邪悪な明朝体に思わず顔を跳ね上げると、天井から顔を覗かせてる川内と目があった。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:34:41
yamoto @yamoto

──お前何でそこにいるわけ? 視線で会話を試みる。 ──ホテルはここがオススメ。 スマホで出してるホテル情報。 すげーなiPhone6。大画面でこの距離でもよく見えるわ。 いつ買ったのお前。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:37:50
yamoto @yamoto

神通には気づかれぬように、ポケットから出した500円玉を指に装填。 川内の顔面目がけて射出する。 ──失せろ、このアホ姉。 しかし川内はそれを難なくキャッチ、にっこり笑ってサムズアップ。 ──まいどあり。 うん、会話繋がってない。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:44:18
yamoto @yamoto

ともかく500円玉募金に満足したのか、天井裏の蓋が閉まり、ササササーっと移動していく気配。 川内避けに、500円玉を持ち歩こうと思った瞬間がそこにあった。 「じゃ、行くか?」 「……は、はい。喜んでお供します」 色気あるトコじゃねえけどな。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:46:59
yamoto @yamoto

「……ところで、そ、その。身支度の時間は……」 とか聞こえた気がするが、それはさておこう。 色気のあるトコじゃないわけだしな。 ここで、さらに墓穴を掘るわけにはいかないのである。 何言っても今は、誤解のタネを撒く気がしてならないのだ。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 08:56:50
yamoto @yamoto

入渠ドックに隣接して建てられる工廠課。 普段艦娘達が足繁く通ってる所の一つである。 基本彼らは、自分たちが手がけた装備を託す艦娘達への友好度が高く、無茶な作戦を強いたりする提督には大変冷たいのがセオリーである。 現場組と制服組の関係だな。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 09:04:05
yamoto @yamoto

しかしこの俺は、当然違う。 ここにも足繁く通っており、連携を深めたおかげで見るがいい。 工廠課の連中が一糸乱れぬ動きで、中指を押っ立てて大歓迎だ。 ──あれー? お前ら今日そういうドッキリなの? なお、神通は先程から入口でフリーズしてた。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 09:08:28
yamoto @yamoto

耳を澄ませると、我らのマドンナがとか、何人に手ぇ出してんだあの下半身野郎とか口々に聞こえる。 ちょっとまって。 寂しいクリスマス夜勤にもってったケンタチキンとか、エロ本とかで繋がった俺との友情はどこいったの。 リア充消し飛べって、夜空に叫んだじゃん。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 09:12:35
yamoto @yamoto

クリスマスにシャンパンとビールで、真冬のぶっかけ会をしてた光景がよぎる中、ふと思い出した。 神通はここの連中に、すんげえ人気だったんだよな。 密かなFCができてて、写真が通貨になるレベルなんだとか。 そりゃこの反応もうなずける。うなずきたくないけど。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 09:17:11
yamoto @yamoto

「んじゃ、奥に行くか。神通」 「……え。 は、はい……すみません」 俺へのヘイトが秒ごとに蓄積する中、放心してた神通を正気に戻し奥へと進む。 神通に見えないよう、足下に釘が置かれたり、後ろからスパナが飛んできたりととってもアスレチック状態だ。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 09:22:58
yamoto @yamoto

そうして、奥にある厳重ロックされたドアをくぐると、そこは兵器開発局。 ここでは熟練の技師達が今日も開発に勤しんでいる。 理系出身半分、現場組出身半分。 それが割合であり、ここのボスはあの奥にいる鉄鋼焼けした赤い肌の気難しいツラの爺さんである。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 09:27:25
yamoto @yamoto

「どもおやっさん。例の奴どうなってる?」 「あん? 完成したら連絡入れるつってんだろ。邪魔しに来たなら帰れ」 提督に対してこの言いようである。 実に技術屋だ。 「あと喫煙所は外だ。ここで吸いやがったらぶん殴るぞ」 「わかってますって。で、あれは?」 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 09:30:51
yamoto @yamoto

「こっちだ。で、そっちの別嬪紹介しねえのか?」 「おやっさんも知ってるだろ。神通の事くらい」 「ここまで入ってくる艦娘つったら2人しかいねえだろが」 「あ、わり、そだったな」 一人はもちろん不知火である。 秘書艦権限でもないと、ここには入れないのだ。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 09:38:02
yamoto @yamoto

「神通です。工廠課にはいつもお世話になっています」 「大庭です。この基地の兵器開発主任をやってます」 俺の時とは口調全然違うじゃん。 なお、主任っつーけど、力関係で言うとこの工廠課の課長より上だったりする。 いろいろ複雑なんだわ、ここの基地は。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 09:43:27
yamoto @yamoto

「こんな爺さんだけど、一応国立出てるから」 「ンなん言うこっちゃねえだろ。茶々入れンな」 この扱いの差である。 ちょっと悲しくなってくる。 「その……お名前はかねがね。若輩者ですがよろしくお願いします」 「こちらこそ。艤装の扱いが丁寧と聞いています」 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 09:48:39
yamoto @yamoto

うん。なんかこう。延々紹介話が続きそうだと思ったので割り込むか。 「で、おやっさん。アレを神通に見せたいんだが」 「急くなっつの。こっちだ」 不機嫌そうになって、奥の作業台へと向かっていく。 「すげえ差だろ?」 「親しいんですね…」 まあね。 #不知火に落ち度はない

2014-10-21 09:52:44