判決の判断枠組は、 1)妊娠中の軽易業務への転換を契機にした降格は、原則として、均等法違反 2)もっとも、以下の2つの例外の場合には均等法違反ではない 例外① 労働者の承諾がある場合 または 例外② 均等法の趣旨・目的に違反しないと認められる特段の事情がある場合
2014-10-23 21:56:53①承諾、②特段の事情のいずれかが認められば例外にあたり、違法ではない。この点で、「妊娠で降格、明確な同意ない限り違法」という朝日新聞の見出しは、②特段の事情の例外を無視していて、明らかな間違い。
2014-10-23 21:57:17妊娠で降格、明確な同意ない限り違法 最高裁が初判断(朝日新聞デジタル) - Y!ニュース headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141023-…
2014-10-23 20:12:08この時事通信の見出しも間違い。 妊娠降格、明確な同意必要=均等法規定で初判断―女性敗訴破棄、差し戻し・最高裁(時事通信) - Y!ニュース headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141023-… …
2014-10-23 22:03:51これも見出しが根本的に間違っている。 「妊娠・産休で降格させることはできない」マタハラ訴訟で最高裁(フジテレビ系(FNN)) - Y!ニュース headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?…
2014-10-23 22:19:14例外①の承諾については、「自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する」ことが求められていて、ハードルが高い。
2014-10-23 21:58:49これは、賃金からの損害賠償等の控除が全額払い原則に違反しないためには、労働者の自由な意思に基づいて承諾がされたと認めるに足りる合理的・客観的理由を要する、という判例の判断枠組に似ている。
2014-10-23 21:59:26例外②は少し複雑。まず、降格させずに軽易業務への転換を行うことについて、「円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合」であることが必要とされている。
2014-10-23 21:59:48そのうえで、 ア)業務上の必要性 イ)軽易業務への転換及び降格措置による労働者への有利な影響 ウ)降格措置による労働者への不利な影響 の内容・程度を考慮して、降格措置が均等法の趣旨・目的に違反しないと認められる「特段の事情」があれば、例外②が認められる。
2014-10-23 22:00:41妊娠降格に関する最高裁判決。 均等法9条3項は、均等法の目的・基本理念を実現するための強行規定と解するのが相当。女性労働者が妊娠出産、産前休業の請求、産前産後の休業又は軽易業務の転換等を理由として解雇その他不利益な取り扱いをすることは、同項に違反するものとして無効である。
2014-10-23 22:08:05一般に、降格は労働者に不利な影響をもたらす処遇であるところ、均等法の目的及び基本理念に照らせば、女性労働者につき妊娠中の軽易業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は、原則として法9条3項の禁止する取り扱いに当たるものと解される。
2014-10-23 22:49:12妊娠出産にかかわる事由を契機とした不利益取り扱いでありながら、9条3項違反に当たらない場合(例外)は、①労働者の自由な意思に基づく承諾が認められること(これを認めるに足る合理的理由が客観的に存在する)②9条3項の趣旨目的に実質的に反しないと認められる特段の事情があるとき。
2014-10-23 22:55:52降格についての自由な意思に基づく承諾があると認めるに足る合理的な理由の客観的存在の判断材料は、 ① 軽易業務転換及び降格により受ける有利な事情 ② 降格により受ける不利な影響の内容や程度 ③ 降格に係る事業主の説明内容その他の経緯 ④ 労働者の意向
2014-10-23 23:02:509条3項の趣旨目的に実質的に反しないと認められる特段の事情が認められる場合の考慮要素 降格をしないで維持したまま軽易業務転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保等の業務上の必要性がある場合の ①業務上の必要性の内容や程度 ②上記の有利又は不利な影響の内容や程度
2014-10-23 23:21:03