アメリカにおけるストリッパーのための労働法セミナー

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エミコヤマ @emigrl

今週参加した、ストリッパーのための労働法セミナーについてもちょっとまとめておこう。わたしがファシリテータを務めるセックスワーカーのためのサポートグループに、労働法を専門とする弁護士さんを呼んで、セミナーをやってもらったのね。→

2014-10-25 17:56:18
エミコヤマ @emigrl

→米国において、ストリッパーの権利が守られない最大の理由は、そもそも労働者として扱われていない点が大きい。個人事業主として扱われているために、労働法の保護を受けられていない。でも実際には彼女たちが個人事業主であるかどうかは、職場が彼女たちをそう呼んでいるだけでは決まらない。→

2014-10-25 17:58:35
エミコヤマ @emigrl

→ある人が被雇用者であるか個人事業主であるかは、いくつもの要素を総合的に見て個別に判断されるもの。たとえばどれだけ仕事の条件をコントロールしているかとか、そのビジネスに必須の要素か、どのようなビジネスモデルになっているか、など。→

2014-10-25 18:01:22
エミコヤマ @emigrl

→たとえば、クラブの排水管が詰まったときに呼ばれて排水管工事をしてくれる人は、被雇用者ではなく個人事業主となる。かれらはそのクラブと雇用契約を結んで支配を受けているのではなく、ほかの多数の顧客の一つとしてクラブにサービスを売っているのだから。→

2014-10-25 18:04:07
エミコヤマ @emigrl

→ストリッパーたちも、排水管工事をする業者のように、クラブに雇用されているのではなく、ストリップショーをするように呼ばれている業者だ、というのがクラブ経営者の立場。そのため、彼女たちになんら給料は払われないし、逆に彼女たちはお金を払ってクラブに「働かせてもらっている」。→

2014-10-25 18:05:33
エミコヤマ @emigrl

→でも実際には、ストリッパーたちは個人事業主として扱われるべきではない理由は多くある。彼女たちがいなければクラブのビジネス自体が成り立たず、したがってクラブは彼女たちを常に必要としているし、勤務時間やルールなどクラブの側が設定している。→

2014-10-25 18:07:10
エミコヤマ @emigrl

→また、配管工事のような「特別な技能」を必要とする仕事をする場合は個人事業主として認められる可能性が高まるが、判例上ストリップは「特別な技能は不要」とされている。これには異論があるストリッパーも多いけど、うまくできるかは別として、ストリップするだけなら確かに誰にでもできる。→

2014-10-25 18:09:18
エミコヤマ @emigrl

→また、ストリッパーとクラブとどちらがよりその事業に大きな投資をしており、利益を得ようとしているか、というのも個人事業主かどうか判断する基準になる。どのように見ても、ストリッパーは個人事業主というよりは、被雇用者としての側面のほうが大きい。→

2014-10-25 18:11:58
エミコヤマ @emigrl

→例外はある。たとえば著名なAV女優が各地のストリップクラブを巡回してヘッドライナーとして客を集める場合などは、彼女を個人事業主として扱うのは間違いではない。これは音楽のバンドや芸能人の営業と全く同じ。でもほとんどのストリッパーはそういう立場にはいない。→

2014-10-25 18:13:23
エミコヤマ @emigrl

→被雇用者ではなく個人事業主として扱われることで、どのように不利になっているか。リストアップしてみたらものすごく多くてだんだん怒りが大きくなってくるくらい。給料ゼロ(チップのみ)、働くためにお金を払わなければいけない、労災がない、失業保険がない、人種差別などが禁止されない、→

2014-10-25 18:15:35
エミコヤマ @emigrl

→セクハラなどを訴えられない、団結権・団体行動権がない、職場環境による健康被害を訴えられない、社会保障費の雇用者負担分を払ってもらえない(自分で払わなければいけない)、有給や出産休暇などがない、などなど。→

2014-10-25 18:18:08
エミコヤマ @emigrl

→いっぽう個人事業主である利点はほぼ1つしかない。それは、地下に潜りやすいこと、ただそれだけ。税金を払わなくてもバレにくいし、労働資格のない移民でも(雇用契約を結ばなくて良いので)働ける。でも、法を破っていることは違いないので、捕まらない保証はない。→

2014-10-25 18:20:37
エミコヤマ @emigrl

→書類上収入がない人が、銀行口座にお金をためこんでいたり、車や家を買ったら、その時点で税務署は追いかけてくるかもしれない。移民の問題は別に考えるとして、ただ税金を払わないためにそこまでする価値があるのか、わからない。→

2014-10-25 18:22:09
エミコヤマ @emigrl

→税金を払ったとしても、労働者としてクラブから払ってもらうべきものをもらえば、結局得するのでは、とも考えられる。でも多くのストリッパーたちがこの話を聞いてすぐ思うのは、「そんなことになったら、多くのストリッパーが仕事にありつけなくなるのではないか」ということ。→

2014-10-25 18:24:18
エミコヤマ @emigrl

→いま現在、クラブはストリッパーに一切給料を払わず、むしろストリッパーからお金をむしり取っているので、客が入っていようがいまいがいくらでもストリッパーを置いておくことができる。→

2014-10-25 18:25:57
エミコヤマ @emigrl

→でも彼女たちに時給を払うことになったら、必要以上に置いておこうとはせず、できるだけ少ない人数で回そうとするだろう。すると、多くの女性が仕事を失ってしまうのではないか、という懸念がある。→

2014-10-25 18:27:40
エミコヤマ @emigrl

→逆に言えば、いま現在のストリップクラブのあり方は、労働者をあの手この手で搾取しまくることで成り立っているということになる。でも、搾取されていても仕事があるほうがいいので、そのあたりが難しいところ。→

2014-10-25 18:29:59
エミコヤマ @emigrl

→現実的な話には、仮に被雇用者として扱えという法律なり判例なりができたとしても、全てのクラブで一気にあらゆる労働法が遵守されるはずがないので、そんなに大きな変化は起きないのでは、とは思う。徐々に労働署や裁判に訴える人が出てきて、少しずつ改善されていくのでは、と思う。→

2014-10-25 18:33:17
エミコヤマ @emigrl

→これはたぶん、労働運動とか労働法とかできるまえに、ほかの産業でもあった話だと思うのよね。労働者保護は大切だが、そんな法律を作ったら自分たちみんな職を失ってしまうんじゃないか、みたいなことを恐れた人は、どこにもいたはず。長期的には労働者保護があったほうがいいに決まってる。→

2014-10-25 18:35:46
エミコヤマ @emigrl

→だから問題は、変化の弊害を短期的に受ける人をどう支援するか、なんだよね。これまで不法な搾取によって被害を受けた人たちの裁判を支援する組織を作って、勝ち取ったお金の一定の割合をそういう人たちに分配する仕組みとかできたらいいな。→

2014-10-25 18:37:05
エミコヤマ @emigrl

→ちなみにいま、ストリッパーのひとたちが、いつから毎週どれだけ働いて、どれだけ稼ぎ、どれだけお金をクラブにむしり取られたか、みたいな数字を入力したら、合計でどれだけ損をしているか計算してくれるサイトを設計中。税金を払っていない場合、払わなければいけない税金も計算するみたいな。→

2014-10-25 18:38:57
エミコヤマ @emigrl

→何年もストリッパーをしている人なら、その数字を見たら多分怒りでブチ切れるよ。なんでこんなに自分は損しているんだって。そういうサイトを作ろうとしている。

2014-10-25 18:40:02
エミコヤマ @emigrl

税務署は、ストリップでも売春でも麻薬販売でも、とにかく収入を報告して納税すれば、それで満足なんだよね。ちゃんと確定申告している人はけっこういるよ。そうしないと家とか買えないから。

2014-10-25 18:48:50
エミコヤマ @emigrl

セックスワーカーが必要経費として申告できるのは?という話でも盛り上がったけど、その弁護士さんは、自分は税務じゃなくて労働法専門だから、詳しくは別の人に聞いてね!って言ってた。こんどそっち系の人を呼んで、セックスワーカーのための確定申告講座やってもらおうかな。

2014-10-25 18:50:24
エミコヤマ @emigrl

たとえばストリッパーの衣装。普通の女性が着るようなものは経費にならないけど、ストリッパーしか着ないような衣装は経費になる。普通のハイヒールはダメだけど、ヒールがある程度以上高くなったらいけるみたいなw SMグッズとかだと、仕事以外で使えても、わりと楽に経費にしてもらえるらしい。

2014-10-25 18:52:37