屋代聡さんのツイートでまとめたブック・ガイドVol.1

折にふれ、初学者向けから専門書まで紹介されている屋代聡さん(@yashirosatoru)さんのツイートから書籍の紹介部分を抜き出してまとめてみました。会話の一部を使ったところもあるので、前後のつながりが不自然な部分のありますが、ご容赦の程を…。 版元さんの紹介ページ(一部アマゾン)のリンクを追記しました。 また、国立情報学研究所の情報サービス“Webcat Plus”で検索した著者のプロフィールページのリンクも付け加えました。リンク先ページ内の“この人物の本を検索”というボタンを押すと他の著作の検索結果が表示されます。
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屋代 聡 @yashirosatoru

太宰治の作品の1つに「畜犬談」というのがあります。思わず吹きだすところあり、ほろりとさせるところあり、太宰中期の傑作の1つです。 犬好きの方は是非。

2014-03-10 03:12:41
屋代 聡 @yashirosatoru

そのなかの主人公のセリフに、僕の好きなものがあります。artが本来技芸を指すことを思えば、次のセリフ中の芸術家を学者に言いかえていいようにも思われます。→

2014-03-10 03:12:57
屋代 聡 @yashirosatoru

”芸術家は、もともと弱いものの味方だったはずなんだ。弱者の友なんだ。芸術家にとって、これが出発で、また最高の目的なんだ。こんな単純なこと、僕は忘れていた。僕だけじゃない。みんなが、忘れているんだ。”   すべての学者のマニフェストとするべき。 僕はそう信じています。

2014-03-10 03:13:51
屋代 聡 @yashirosatoru

弱者の側に立たない学問なんて、何の価値がある? 息を引き取る時、”俺は弱者の正義を実現するために学び続けた。間違いはなかった” そう言って、逝きたい。

2014-03-10 03:15:56
屋代 聡 @yashirosatoru

ちょうど今、公刊中のプロジェクトがありますから、まずはこれなどどうですか?『東アジア海域に漕ぎだす』東大出版会(全6巻)。4巻まで出ていますけど、第1巻<海から見た歴史>だけでも楽しめるんじゃないかと思います。13世紀から幕末まで扱っていますし。@FlightHawks

2014-02-22 15:31:21
屋代 聡 @yashirosatoru

でも、今のは初学者にはややハードルが高いかもしれませんから、歴史は初めてというなら、網野先生の本から入る方がいいかもしれません。もう一つのご関心、日本語の変遷というのにも少なからず関係しますから。ちょっと待ってくださいね。@FlightHawks

2014-02-22 15:35:14
屋代 聡 @yashirosatoru

まぁ、それでも、先に基本文献を抑えておくと、読み進めるスピードも理解も違いますよ。網野先生の本だと、やっぱり、これかな。文体も平明ですし、驚きの連続ですよ。網野善彦『日本の歴史をよみなおす (全)』 ちくま学芸文庫。 @FlightHawks

2014-02-22 15:40:53
屋代 聡 @yashirosatoru

また網野先生の本で海の民を扱ったものとしては『海の国の中世』が読みやすいかと思います。彼の著作を読み進めると、国家とか国民の虚構性に気づきますし、鎖国とか百姓とか自明と思えるものでも、我われのイメージとは全く違うことがわかります。@FlightHawks

2014-02-22 15:54:24
屋代 聡 @yashirosatoru

例えば、百姓とは農民ではないとか笑。水呑百姓は貧乏じゃないとか笑。えーーっという新鮮な驚きと共に、歴史学の真髄に触れてください。色々失礼を申しましたが、学問に興味をもっていただけて嬉しく思います^^ @FlightHawks

2014-02-22 15:57:30
リンク www.chikumashobo.co.jp 筑摩書房 日本の歴史をよみなおす(全) / 網野 善彦 著 筑摩書房のウェブサイト。新刊案内、書籍検索、各種の連載エッセイ、主催イベントや文学賞の案内。
リンク www.heibonsha.co.jp 海の国の中世 - 株式会社 平凡社 海の国の中世詳細をご覧いただけます。

網野 善彦(1928~2004:日本中世史)
他に
『蒙古襲来』小学館
『日本中世の非農業民と天皇』岩波書店
『無縁・公界・楽』平凡社ライブラリー
『異形の王権』平凡社ライブラリー
『日本社会の歴史(上・中・下)』岩波新書
『「日本」とは何か』講談社学術文庫
『日本中世都市の世界』講談社学術文庫
共著
『中世の再発見――対談 市・贈与・宴会』平凡社ライブラリー
『日本王権論』春秋社
『馬・船・常民――東西交流の日本列島史』講談社学術文庫
他多数。
筑摩書房=http://www.chikumashobo.co.jp/author/002419/
平凡社=http://www.heibonsha.co.jp/author/a67705.html
WebcatPlus
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/creator/1744.html

屋代 聡 @yashirosatoru

歴史学の名著について少し話をしていましたが、こんな本があります。 山内昌之『歴史学の名著30』ちくま新書 。 ただこの本は現代の歴史家の名著というより、歴史の教科書に載るようなヘロドトス『歴史』、司馬遷『史記』のようなものを中心にあげているので、むしろ古典案内の趣です。

2014-05-16 02:48:03
リンク www.chikumashobo.co.jp 筑摩書房 歴史学の名著30 / 山内 昌之 著 筑摩書房のウェブサイト。新刊案内、書籍検索、各種の連載エッセイ、主催イベントや文学賞の案内。

山内 昌之(1947~:イスラーム地域研究・国際関係史)
他に
『歴史の作法』文春新書
『帝国と国民』岩波書店
『嫉妬の世界史』新潮新書
『歴史と外交』中央公論新社
共著
『岩波イスラーム辞典』岩波書店
など。
オフィシャルホームページ
http://yamauchi-masayuki.com/
Webcat Plus
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/creator/144781.html

屋代 聡 @yashirosatoru

阿部謹也『自分のなかに歴史をよむ』ちくま文庫。 ごぞんじ阿部謹也による歴史学へのいざない。前半の学問的来歴は一級の小説を読むようで、また学問を修める上での鋭い一言が各所に現れる。後半は中世ヨーロッパのイメージを一変させる珠玉のエッセイ集。童話に関する指摘は当然ながら流石。

2014-04-02 04:05:14
屋代 聡 @yashirosatoru

この中で、若き日の阿部謹也が卒論のテーマ選びに苦慮して、指導教官上原専祿に相談するシーンが出てきます。この時の上原のこたえが実にいいのです。

2014-04-02 04:07:23
屋代 聡 @yashirosatoru

宗教騎士団か、十字軍か、はたまた別のテーマか…阿部は思い悩むのですが、相談された上原のこたえは「何でも構いません」。ただ、一言、こう付け加えたのです。 「どんなテーマを選んでも良いが、それをやらなければ生きてゆけないと思われるようなテーマを選ぶべきでしょうね」。 

2014-04-02 04:11:52
屋代 聡 @yashirosatoru

僕はこの一言にやられました。 請け売りで同じことを学生諸君に言っています。大学で学ぶことはそれくらいの価値あるものなのです。

2014-04-02 04:15:28
屋代 聡 @yashirosatoru

さて阿部謹也は何を選び、どんな研究をしたのでしょう? 気になる方はぜひ、お読みください^^/

2014-04-02 04:15:56
リンク www.chikumashobo.co.jp 筑摩書房 自分のなかに歴史をよむ / 阿部 謹也 著 筑摩書房のウェブサイト。新刊案内、書籍検索、各種の連載エッセイ、主催イベントや文学賞の案内。
屋代 聡 @yashirosatoru

童話の意味を本当に読み解きたいと思うなら歴史家の著作を読みましょう。特に西洋ものに興味がある方は阿部謹也の次がお勧め。 『ハーメルンの笛吹き男』『社会史とは何か』『歴史のなかに自分を読む』 また『全集』の1巻は、彼のグリム童話研究が集中的に収められている。 目から鱗、間違いなし。

2014-04-02 03:55:53
リンク www.chikumashobo.co.jp 筑摩書房 ハーメルンの笛吹き男 ─伝説とその世界 / 阿部 謹也 著 筑摩書房のウェブサイト。新刊案内、書籍検索、各種の連載エッセイ、主催イベントや文学賞の案内。
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