#完全ノープラン艦これ与太話 【リヴェンジェンス・フロム・ミッドナイト・アビス】 #1～#2

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#完全ノープラン艦これ与太話 【リヴェンジェンス・フロム・ミッドナイト・アビス】 #KZNPLN

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「アー、ハイ。ここ。遠因は色々ありますけど、主にここですね」入渠ドックのサイバー黒板に、飄々とした桃色髪の艦娘が映る。「機関部の中心に亀裂。元々傷んでいた箇所が、何らかの負荷がかかって広がったみたいですね。珍しい広がり方です。零戦に乗って宙返りでもしました？」 #KZNPLN

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「大丈夫ですよ。艦娘の致命傷の中では、比較的よく見られるケースですから、治療方法は確立されてます。なにせ、艦娘のドロップアウト原因の第一位ですからね、機関部裂傷は。ほら、貴女のセンセイも確か、これで。適切な処置をして一線を退けば、元気に……って、聞いてます？」 #KZNPLN

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「……応急処置は、できる？」黄色装束の空母は上の空で説明を聞き終え、返した。「アーハ、飛龍＝サン。私の話、聞いてました？応急処置とか、もうそういう次元じゃないですから。オタッシャ重点ですから。諦めてください。運が悪かったと思って。こういうのはもう、運です、運」 #KZNPLN

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飛龍の眼光は恐ろしく鋭く、工作艦の幻影を見据えた。「……アー、ハイハイ。言っても聞きませんか。たまにいるんですよね、貴女みたいな艦。じゃ、いいですよ。端的に言うんで、選んで下さい。引退して、退職金で長生きするか。保険外治療で高いカネ払って、戦場で死ぬか」 #KZNPLN

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「……どちらでもない」飛龍が返す。「ハア。ハテ」明石は素っ頓狂な声を上げた。「カネは出す。その間に、全部伝え切る。正確なタイムリミットを教えて。私のミーミーを、龍鳳に伝え切る。そのための、必要最低限の時間を頂戴」キャバァーン！明石の口座残高が大きく動いた。 #KZNPLN

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――太平洋中央部遠洋、旧ミッドウェイ島跡。 #KZNPLN

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帝国軍をはじめ、沿岸各国が深海棲艦に対し戦争を行っている原因は、彼等の領土確保手段に由来する。本来単なるオバケじみた第三次キメラ生物に過ぎない深海棲艦であるが、彼等のうち過激派と呼ばれる特定のハバツは、文字通り『領土を奪う』侵略行為を行う。 #KZNPLN

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深海棲艦は両生類めいて、海洋と陸上の双方で生活できる。ゆえに『過激派』はこう考えた。「陸地を海に沈めれば、我々だけがその地を自由にできる」と。今日にまで至る、『過激派』と既存人類との領土戦争の勃発である。 #KZNPLN

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人類は矮小化する領土に対応すべく、急ピッチで技術発展に努めた。海に囲まれた大日本帝国にとって、海路の封鎖と陸の減少は死活問題である。ゆえに最も革新的な技術でもってこれに相対した。「艦娘」と「妖精」だ。多くの人類は妖精へと進化し、軍艦は艦娘へと進化した。 #KZNPLN

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かくして大日本帝国は、ミクロ化しつつあった世界の戦争シーンに半ば強制的に適合する形で危機を脱し、同時に世界最強規模の軍事国家のひとつとなった。各国もこれに追随し、対『過激派』に軍を整備。領土を確保する戦力を整え、戦局はゴジュッポ・ヒャッポに落ち着いた。 #KZNPLN

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だが不運にも開戦初頭に軍の配備が追い付かず、海底に没した島々は確かに存在する。かつて大日本帝国が侵攻作戦で歴史的大敗を喫し、世界最強の機動部隊を喪失した因縁の地ミッドウェイ島もまた、現代地図から消失した島々のひとつだ。ここにはもう、何もない。 #KZNPLN

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だが、暗黒地帯と化したこの海域で、今まさに。かつての大戦争を見下すかのように、恐るべき威容を誇る超巨大航空母艦が航行していた！その天上世界じみた遥かな甲板上に、『冥王』とその眷属を伴って！ #KZNPLN

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「ミッドウェイ島。その跡地、か……」甲板の淵に座り、実寸海抜20mから海面を見下ろす1人の妖精あり。気だるい声が、霧の海に木霊する。「どうした。お前らしくもないセンチメントか？」ガシャガシャと音を立て、四肢を機械化した長髪の深海棲艦が歩み寄る。「やかましい女だ」 #KZNPLN

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「遥か昔。ここで大規模なイクサがおこった。我々大日本帝国が、この島を人質にとって仕掛けたイクサさ。ミッドウェイ海戦。僕の大好きなイクサだ」緑髪の妖精はヘラヘラと笑った。「日本が負けたのにか？」「お前にはわからんさ。出来損ないのメス豚が」 #KZNPLN

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「……あァ？」殺気を撒き散らす深海棲艦を意に介さず、妖精は続ける。「イクサはいい。僕はね、イクサがしたいんだよ。それも、こういうイクサが。ナグモ、か。良い名前を貰った。この名前は死ぬまで使い続けるとしよう。もう、僕のものだ」妖精ナグモはヒョイと立ち上がる。 #KZNPLN

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「ところでギニアピッグ＝サン。『お姫様』のご機嫌はどうかな？」ナグモは歩きながら、背後の深海棲艦に片手間で訊いた。「少々安定はしたが、相変わらずさ。今もブ厚いカラの中だ。そろそろ、限界か」「困るなァー。沈まれちゃ困るよ、『ナラクノアビス』は不沈艦でなくちゃ」 #KZNPLN

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「提督もお怒りのようだ。ピョンピョン跳ね回ってやがる」「ハ！いつものことだろ。冥王閣下が跳ね回ってるのは」「違いない」ナグモは己の母艦、深海棲艦ギニアピッグの肩に飛び乗る。ギニアピッグはガチャガチャと甲板の左舷側、艦橋へと向かう。 #KZNPLN

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「来るかね、『飛龍』は」「必ず来るね。たとえ死んでも奴は来る。僕は知能指数が高いからわかるんだ」甲板に描かれたヒノマルを踏み付け、ギニアピッグは歩く。陰鬱な暗黒海域を、『冥王の艦隊』旗艦、超空母ナラクノアビスは航行する。その舳先を、大日本帝国へ向けて！ #KZNPLN

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「ヘェーヘェーヘェー、始めようじゃあないか。あの夜の復讐を、もう一度」 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【リヴェンジェンス・フロム・ミッドナイト・アビス】#1終わり。#2に続く。 #KZNPLN

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