- Thatsright_CM
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●一年半前に会社が派遣先から撤退し、一緒に働いてた面々は今、バラバラの職場にいるわけですが。1つ年下だけど大先輩のニコリさん(仮)は、いつの間にか管理職に出世しとりました。おお……。
2014-11-08 11:41:33ニコリさんはその仮名どおり、いつも「ニコリ…(´_ゝ`)」と静かな笑みを浮かべている色白和風美人さんです。冷静沈着に穏やかにアドバイスをくれたり助け舟を出してくれるタイプ。とはいえ、そう気取ったタイプでもなく、人望を集めていたので、納得。
2014-11-08 11:42:19私、以前に「仕事でイライラしない方法を募集したら、『悟りを開く』という答が返ってきた」と呟いたことあると思うんですが、そう答えたのがニコリさんですw
2014-11-08 11:42:35で、彼女から電話受けて、急に査察の手伝いへ行くことになりまして。管理職のニコリさんは、派遣先で社員が真面目に仕事をしているかを抜き打ちで見に行くことがあります。それが「査察」。
2014-11-08 11:43:45私がやることは、まぁ、ミステリーショッパーみたいな感じでお客さんになりきって、あれこれお話をしたり聴いたりすることだそうで。で、その様子をニコリさんがさりげなく見て派遣先の子の対応を評価すると。
2014-11-08 11:44:34※「派遣先の子の対応」=「その派遣先で働いてる子の対応(働きぶり)」という意味です。
なんかいろいろ難しい会社さんで、うちから派遣された人がもりもりいなくなるらしい? うーん、客層がひどいのかな。それとも派遣先の人が意地悪な人なのかな。行きたくないなー。でも1日だけのことだしなぁ。ま、いっかー。(てか、断れないよな。仕事だもんな)
2014-11-08 11:45:21「◇さん(派遣先での上司)には、明日ソノちゃんを借りること言ってあるし。この仕事をやること、ソノちゃんは誰にも言っちゃダメだよ」だそうで。オーケーオーケー。
2014-11-08 11:45:54で、当日、現地集合っちゅうことで、バスの中でツムツムやパズドラなどをやりながら最寄の停留所まで行きました。私が昔働いてた会社の近くだー。えーと、病院の横の道を入ってにょろにょろと進んだ先ですな、と。
2014-11-08 11:46:38大通り沿いの病院の脇の道をにょろにょろと入っていきました。が、私らが派遣されるような会社らしき建物はなく、1分も進まないうちに、なんか袋小路に。
2014-11-08 11:47:06左側と正面が林。右側はちょっとした小道なんだけど住宅が二・三軒あってその先が大きな農家の玄関で、明らかに行き止まり。OH…迷った…? てか、このあたりって住宅街で、林なんてあったかね…?
2014-11-08 11:47:43なんて思ってたら、農家から肌着に作業ズボンのおっちゃんが現れて「おー」と手招きされまして。「は? まさかここ? ここって、誰かのお家でないの?」と首を傾げながら「人違いやろ。まあいいや、おっちゃんに道聞こう~っと」と、道を右に進みました。
2014-11-08 11:48:07アスファルトから土の道に変わったところで「ニコリちゃんからの紹介の人やねー」と言われ、「ん? 紹介?」とまた首を傾げながら、まぁ、ニコリさんのこと知ってるし、やっぱりここなのかなー。
2014-11-08 11:48:35近づくと、玄関先にいるおっちゃんの他に、中の三和土の奥のひっろい和室に別のおっちゃんやおじいちゃんが三人ほど円座になっておやつ食べてるのが見えます。んー???
2014-11-08 11:49:12「やーやー、来た来た。よかったー。さあ、入って。これでカミさん、今日は退屈せんやろー」と、おっちゃんが促す。カミさん? 奥さんのこと? そしたら、円座になってるおじいちゃんの一人がこんなことを言いました。
2014-11-08 11:49:44「おー。昨日の人はツンケンした感じで話がすぐ終わって気に入らんかったみたいですぐ食われてダメんなってしもたけど、あんたみたいなまるまるした感じやったら、一晩会話続きそうやな」 は? 「食われた」? 「ダメんなった」? なんだそれ? ちょっと待て、なんだそれ?
2014-11-08 11:50:34「…あの、ニコリさんはまだ来てないんですか?」「来んよー」……マジか。「あの、◎◎社(うちの派遣会社)の仕事では……」「◎◎社? なんやそれ?」 なんやそれって、それ、こっちの台詞……って、いうか、マジか、うそやろ、おい。
2014-11-08 11:51:00「ちょっと失礼します」逃げなきゃ。「うん、いいけど。帰れんよー。あんた、もうこっち来てもうとるさけ」「あ!? あ、いや、で、電話を」「うん、してみたら?」 「通じんけどなー」と続けたいような感じで、おっちゃんはニコニコ。中のおじいちゃんたちもニコニコ。
2014-11-08 11:51:48アスファルトの道を逆戻りしたけど、私が歩いてきたはずの大通りにつながる道へ曲がろうとしたら、道が林になってる。……わあ…! うわぁ…! 農家の方を見やると、やっぱりこちらを見てニコニコ。とりあえず、彼らの視界から逃れたくて、バッグからスマホ取り出しながら少し林へ入りました。
2014-11-08 11:52:20スマホは電池残り僅少。バスの中でゲームしてたからか――って、いうか圏外……。うああ…ってなってたら、「あ、ニコリさんが、そこの足許掘れって言うとったよ」と、スマホからさっきのおっちゃんの声が聞こえて、もう、うわあああああああああってなって、スマホ投げた。
2014-11-08 11:52:45だって、呼び出し音もバイブも鳴らずに、しかも電波に乗ってるとは思えないような明瞭な声が、通常の電話から聞こえないような音量レベルでいきなり待ち受け画面のままのスマホから聞こえてきて、どういうことねんてうわああああ!
2014-11-08 11:53:08で、なんかもう膝ガクガクで立ってられんくなって、そういえば足許掘れって言われたから掘ってみたら、包装紙はがした後みたいなくすんだ銀色の茶筒っぽいのが出てきて、開いてみたら、中から手紙が。ニコリさんの筆跡で。
2014-11-08 11:53:37「ソノちゃんへ。いきなりごめんね。実はうちの一族呪われてて、年に一回、鬼(神様って呼ばれてるけど)と一晩お喋りする人を外部から連れてこなきゃ、鬼に殺されるのよね」
2014-11-08 11:54:03「一晩鬼を退屈させずに会話できれば生きて帰れるし、ソノちゃんなら大丈夫かなーって。くれぐれもこの仕事のことは内密にね。じゃ、がんばってね」
2014-11-08 11:54:21は!? 何!? うそ!? 鬼? 呪い? これ、祭事的な? 生贄的な? 私、霊感ゼロな筈だぞ。ゼロであって下さい。『SIREN』とか『屍鬼』とか『零』とか好きだけど、自分の身にふりかかるのは勘弁だぞ。やばい、吐く。なんだこれ。
2014-11-08 11:54:55