自国を礼賛する本やテレビ番組の弊害について 《山崎雅弘》

表題に関連するツイートをまとめてみました。 一等国を目指して「外から学ぶ姿勢」に邁進した明治・大正の日本は、一定の繁栄を得ることに成功しましたが、その成功で政府や軍の首脳部、そして国民の「面子」も肥大してしまい、昭和初期・戦前戦中の日本は自国中心の傲慢な思考に陥り、明治・大正期の成功を全て台無しにしてしまいました。「面子」が大きくなればなるほど「外から学ぶ姿勢」は小さくなり、やがて国は滅亡の危機へと転落しました。 この歴史の先例は、我々に何を教えているのか。「日本の何々はすごい」「日本人は偉い」という、一見すると人畜無害に見える自国礼賛の本やテレビ番組の氾濫は、この国をどこに導くのか。考える材料の一つにしていただければ幸いです。 続きを読む
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

外国人と話したり、外国人の書いた物を読んだ時に、自分が特定の事象を「なぜ、と感じるセンサーのスイッチを切っていた」「思考にふたが乗っていた」ことに気づかされることは結構ある。それが楽しい。歴史や外国文化と戯れたり、一人で外国を旅行する時にも、その楽しい感覚を求めている一面がある。

2014-10-22 13:44:00
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

木村正人「『ダボス会議』を主催していることで有名な世界経済フォーラム(WEF、本部ジュネーブ)が28日、各国の男女平等度を指数化した『ザ・グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書2014』を発表」bit.ly/1pXzq5e「日本の男女平等度は142か国中104位」

2014-10-30 13:30:28
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

(続き)「国会議員の女性比率142か国中126位」「閣僚の女性比率142か国中98位」「女性の昇進142か国中112位」「高等教育の男女平等142か国中105位」グローバル人材育成と言うなら、まず世界と日本の落差、日本の人権や不平等の現在位置を国民全体に周知することが先決だろう。

2014-10-30 13:31:40
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「日本はすばらしい国」「世界から尊敬されている」等の自国自賛本が書店に氾濫する国が、国際基準では「男女平等で先進国最低」「142か国中104位」というのはグロテスクな光景だと思う。評価が実情に合致しているなら、現状は「かなり恥ずかしい国」だが、愛国者の人は気にならないのだろうか?

2014-10-31 20:05:23
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「日本人女性は、男女平等において先進国最低の国で我慢している」「世界全体でも男女平等で下から数えた方が早い」本当に国の名誉や誇りを重視するなら、この状況をすぐに改善しようと動かないとおかしいが、元航空自衛隊幹部をはじめ、この国の愛国的な人は日本人女性の人権問題には驚くほど冷たい。

2014-10-31 20:06:51
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

先日の「報道の自由度ランキング」もそうだが、こういう評価のデータは健康診断の結果のようなもので、それを基に生活習慣や食生活を変えたりできるかどうかに知性や判断能力が表れる。瑕疵をあら探しして信憑性を否定し「無視しても大丈夫」と言う態度は、自分の将来を改善するチャンスを捨てている。

2014-10-31 20:08:39
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

外国に行くと、例えばデパートなどの重いガラス扉を開けた後、続いて来る人のために手で押さえて待つのが「マナー」の国があり、これは合理的だと思うので日本でも真似しているが、それを「欧米信仰」などと曲解する人も結構いる。真似することで「自国がさらに良い国になる」という発想がなぜか無い。

2014-11-04 13:29:20
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

自分個人や所属集団の「面子」にこだわり始めると、他人や他集団の中で優れている点があっても、それを褒めたり真似したりできなくなる。「外」と「内」の間に障壁を立てて、障壁の中にいる人間だけで「内はこんなに素晴らしい」と自賛し合って「面子」を保とうとする。改善や成長より面子を重んじる。

2014-11-04 13:30:31
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「内輪褒め」だけでは「面子」を保てなくなると、「外」の個人や集団を見下し、貶めることで、かろうじて「面子」を維持しようとする。この二種類の言説が、同じ人間(著者・論客)から発信され、同系統の媒体で伝達されるのは偶然ではない。「面子」への執着は一見魅力的だが、多くのものを失わせる。

2014-11-04 13:31:53
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「面子」に思考を支配されている人間は、一度決定したことを改められない。改めると自分が「間違っていた」ことになるので、間違いを認められない。満洲国とリットン調査団、日中戦争の泥沼化、戦前の経済封鎖への対応など、「間違い」を認められなかったがために、より攻撃的で独善的な道へと進んだ。

2014-11-04 13:33:08
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

内田樹さんの『街場の戦争論』で、もし日本政府がミッドウェー海戦の敗北直後に講和していれば、という仮定の考察があるが、私も歴史を分析する時に「もし」という視点で考えることがよくある。もし鋼鉄のような「面子」が指導部の意志決定を拘束していなかったら、戦争の行方と戦後はどう変わったか。

2014-11-04 13:34:23
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

戦前戦中の日本が選んだ選択肢の多くは、後世から見れば「なぜ失敗するとわかっている道を選んだのか」と疑問に思える悪手だが、面子に固執する思考では、それが「最善」に思え、それより合理的な方策は「面子が潰れる」という理由で選択肢から外された。その結果として大勢の日本人や外国人が死んだ。

2014-11-04 13:35:40
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

戦前戦中の日本では、教育勅語を利用した皇民化教育によって国民の国家神道への恭順を強める方策がとられたが、それは同時に国民の面子を肥大させる上でも大きな効果を発揮した。外国に出た経験の無い日本国民は「八紘一宇」などのスローガンを信じ、日本人はアジアで最も優れた民族であると錯覚した。

2014-11-04 13:37:02
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

国の指導部が戦争の危機に際し、失敗が予想されても面子が潰れずに済む道を選んだ理由の一つは、面子の肥大した国民が、それ以外の「合理的だが面子は潰れる方策」を選択肢に含めることを許さなかったからだった。そして、国家神道の思想教育と共に国民の面子を肥大させたのが、当時のメディアだった。

2014-11-04 13:38:27
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「内輪褒め」と「外をけなす」言説は、受け手の「面子」を慰撫する一時的効果が高いので、出せばそれなりに売れる。売れるからという理由で次々とその種の言説を送り手が市場に供給し続ければ、国民の「面子」は際限なく肥大して「面子が潰れる方策」を許せなくなる。また前と同じ道へと進みつつある。

2014-11-04 13:39:37
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

多くの人が「最近、日本の何々はすごい、日本人は偉い、みたいなテレビ番組が増えた」と指摘しているが、一見すると人畜無害に見えるこれらの「内輪褒め」に、実は「面子の肥大」という目に見えない弊害が伴っている。「面子」が大きくなればなるほど「外から学ぶ姿勢」は小さくなり、国は衰えていく。

2014-11-04 13:41:01
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

明治・大正の日本と昭和初期・戦前戦中の日本は、形式的には共に「大日本帝国」だったが、決定的に違うのは「外から学ぶ姿勢」の有無だったように思える。前者は、一等国を目指して「外から学ぶ姿勢」に邁進し、一定の成功を収めたが、成功で「面子」も肥大してしまい、後者はその成果を台無しにした。

2014-11-04 13:45:26
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

今晩のテレビ番組。「所さんのニッポンの出番!【外国人が日本人を絶賛!驚きの日本を次々公開】今夜も外国人が日本人をホメまくる」「ありえへん∞世界<世界と日本の知られざる絆スペシャル>海外で活躍した『知られざる波瀾万丈な日本人』を発見!」「世界の日本人妻は見た!」確かに増えてるな…。

2014-11-04 16:49:36
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「先進国」というのは「すごろくの上がり」のようなイメージで語られることが多いですが、そのマスに入っても永続的繁栄が保証されるわけではない、と最近改めて思います。経済的な指標の数字では「先進国」でも、人権意識や労働環境などがいつの間にか「後進国」へと逆戻りしている。@mig76fk

2014-11-05 13:20:01