竹熊健太郎氏と村上隆氏『オタクはなぜ村上隆を嫌うのか?』

ぜひFacebook上での対談も併せてご覧ください。 https://www.facebook.com/takashi.murakami.142/posts/744322345634024
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竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

ビジネス脳の人と芸術脳の人は、まず噛み合わない。つまりビジネス脳にとっては金になることが価値の最上位にあるので、金にならないことに情熱を注ぐ芸術家は狂人にしか見えない。芸術家の価値観は表現することにあって、金儲けは「表現のための手段」でしかない。但し村上隆さんのような例外もいる。

2014-11-15 19:31:05
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

村上隆さんが凄いと思うのは、金儲けを芸術のテーマに据えたところである。それもわざわざ一番効率が悪い、現代美術で金儲けに成功したところである。ウォーホルから繋がる、正当なポップアーティストではないかと思う。その代わり批判にもさらされている。私がこう書くと私にも矛先が向きそうだが。

2014-11-15 19:43:13
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

もう一つ村上隆さんが凄いのは、「業界のヒエラルキーを登りつめた上での成功ではない」ことである。彼は美術の業界を出て、その外側で成功した。業界とは利益回収・配分システムそのものだから、村上さんは「自前の業界」を築き上げることに成功したと言える。批判に晒されても平気なのは、その為だ。

2014-11-15 19:50:44
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

いわゆる「ポップ・アート」にはまったく異なるふたつの意味があると思う。ひとつは、文字取りの「ポップ(大衆)の為の芸術」である。ポピュラー音楽、漫画、ラノベ、マスを相手にビジネスをする表現は、これである。しかしラノベや漫画がポップアートと呼ばれることは、実はあまりない。

2014-11-15 20:15:13
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

美術の世界で「ポップアート」と呼ばれるものは「大衆的な表現を批評的に扱ったアート」の意味である。キャンベルスープのパッケージや、マリリン・モンローを版画にしたアンディ・ウォーホルのアートがこれである。誰でも知っているポピュラーなものを題材にアートを作ることで、現代を批評するのだ。

2014-11-15 20:19:07
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

それは同時に「美術に対する批評」でもある。通俗的な表現は、普通アートとは呼ばれない。大衆消費材として、一時流行っても、じき忘れ去られる。そういう「非美術的」な表現に注目し、それをアート作品とすることで、現代社会だけではなく「美術という制度」も批判するのがポップアートの目的である。

2014-11-15 20:24:31
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

ポップアートは芸術作品の名を借りた批評そのものだ。村上隆氏はオタクの意匠を借りて、オタクに断りもなく、アートとして欧米で商売したことで反感を買った。しかしオタクが反感を覚えた最大の理由は、オタクの好きな意匠を単に商売に使っただけではなく、オタクを「批評」したからだと思う。

2014-11-15 20:31:50
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

オタクは「批評家」である。自分の好きな漫画やアニメを批評することが大好きである。反面、自分が批評されることを極度に警戒している。オタクに関する報道には、常に目を光らせている。まあ、オタクに限らず批評家とはそういうものだ。作家の側から「逆批評」されると激昂する批評家もいる。

2014-11-15 20:35:05
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

昨夜の「村上隆氏をめぐる連続tweet」につき、ご本人からFacebookでコメントを戴きました。私も今、コメントしたばかり。過去、日本のオタク界に燻っている「村上アレルギー」について、ご本人の意見を伺ういい機会だと思います。m.facebook.com/takashi.muraka…

2014-11-16 20:40:34
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

早朝、村上隆さんのFacebookでかなりディープなやり取りをしました。昨日の「オタクはなぜ村上隆を嫌うのか?」でのやりとりの延長戦です。facebook.com/takashi.muraka…

2014-11-18 06:36:12
竹熊健太郎《Aタイプ》 @kentaro666

リンク間違い。こちらがそのときのエントリの全部です。facebook.com/takashi.muraka…

2014-11-18 06:39:33
神保勇揮(FINDERS/編集者) @fishintheair

村上隆×竹熊健太郎のFacebook対談、すんげー面白い。オタクVSサブカル論争みたいなのは大学生の頃にユリイカの特集買って読んだりしたけど、やっぱその前史が重要だよな。オタクも サブカルも おねーさんも/facebook.com/takashi.muraka…

2014-11-18 07:29:22
rieream🌗 @rieream

竹熊健太郎氏と村上隆氏の「オタクはなぜ村上隆を嫌うのか?」をめぐるやりとり。オタク/サブカル史を交えて非常に興味深い。facebook.com/takashi.muraka…

2014-11-18 08:05:47
伊藤 剛 @GoITO

この竹熊さんの逸話の流れて、この後わたしも当事者席に座らされ、裁判までやる羽目になるわけですが、このあたりの話が村上隆さんに伝わっていなかったことが意外でした。 m.facebook.com/takashi.muraka…

2014-11-18 09:12:40
伊藤 剛 @GoITO

@takashipom はい。唐沢俊一氏と光文社らを名誉棄損で訴えました。結果「誹謗中傷的」という文言の入った謝罪文という条件で和解でした。唐沢氏にはさまざまな問題が複合していますが、オタクのセクショナリズムが極端な形で出たものと考えています。きっかけ(のひとつ)はエヴァです。

2014-11-18 23:23:47
伊藤 剛 @GoITO

「わたしはオタクである」という自意識は、いまの若い子にも見られるようだけれど、かつてのような「オタク・サブカル分割」は2000年代後半には雲散霧消したように思われる。もっともこれは「サブカル」の側の挫滅に負うところが大きい。「オタク」は不戦勝で「勝った」のだ。

2014-11-18 09:19:32
伊藤 剛 @GoITO

30歳以下のひとと話をすると、海外の文化への関心自体がひどく希薄で驚く。もちろん米国の映画やドラマはよく見られているが、「海外の文化」だから関心を持つという感覚はほぼないようだ。これは欧米にかぎらず、アジアの文化に対してもそう。ただこれは若い世代だけを責められる話ではない。

2014-11-18 09:25:21
伊藤 剛 @GoITO

いつのまにか「海外の最新情報」を売りにしたカルチャー雑誌はなくなり、そもそも「最先端」をいちはやくキャッチするセンスとアンテナも価値を失っていた。最後に雑誌で「これを知らないと遅れている」という煽り文句を見たのは97年だった。新しいもの=素晴らしいもの 、という図式が崩れた。

2014-11-18 09:29:53
伊藤 剛 @GoITO

逆に言えば、かつての「欧米文化の最新情報」が持っていた、それこそ天から降ってくるもののような輝かしさは、いまの若い世代からは想像しづらいだろう。

2014-11-18 09:33:41
伊藤 剛 @GoITO

かくして、かつて岡田斗司夫氏に「(欧米の)サルマネ・サブカルチャー」と評されたような「サブカル」は、その勢いを失っていく。「サブカル」が洋楽を軸のひとつとしてきたため、CD市場の縮小も手伝っているだろう。「洋楽」の持つコスモポリタリズムの幻想も、同時に力を失っていった。

2014-11-18 09:39:38
伊藤 剛 @GoITO

このようにまとめると、かつての舶来信仰、横文字縦文字式の浅薄さがなくなり、健全な状態に近づいていると思われるかもしれない。しかし、かつての「海外文化 」への視線が、浅薄な、貧しいものであったとしても、その恩恵はあった。少なくとも、日本の文化が内向きに閉じていくことはなかった。

2014-11-18 09:43:56
伊藤 剛 @GoITO

また、目をオタクサイドに向けても、かつてはSFを中心に、海外の最新情報に貪欲にアクセスする気風はあった。たとえば、わたしが学生のころの名大SF研では、新入会員が入ると「これ来週までに訳してきて」と言って原書が渡されたという。(いまでもやっていたらスミマセン………)

2014-11-18 09:48:08
伊藤 剛 @GoITO

………と、ざっくり「サブカル」サイドの「不戦敗」の状況を概観してみた。対する「オタクのセクショナリズム」は、こうして「外部」を失っていくことで、やはり希薄化していったと考えられる。 駅に着いてしまったので、ここまで。

2014-11-18 10:01:03