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「取れる駒をわざと取らない」というパラドキシカルなテーマについて考えている。定式化すれば、「受方駒Xをいったん別の場所に移動させた後、その空いた場所に盤上の攻方駒Aが移動する」ということになる。これをプロブレムではUmnov(ウムノフ)のテーマと呼んでいる。
2014-11-17 01:56:13このウムノフ手筋を「無双」と「図巧」で調査してみたら、「無双」には20局、「図巧」では26局の実例が採取できた。この数の多さに驚きませんでしたか?
2014-11-17 01:59:59ウムノフ手筋が成立する仕掛けにはいろいろあるが(おおざっぱな区分では6種類)、宗看と看寿は、その理論的な可能性をほぼすべて試していることも、今回の調査でわかった(6種類のうち3種類は看寿が発見している)。しかし、予備知識がなにもない時代に、どうしてそんなことができたんだろうか?
2014-11-17 02:13:36ウムノフ手筋が成立するメカニズムを、なぜ受方駒Xをいったん別の場所xに移動させる必要があるのか、という観点から分類する。メカニズムその1は、「退路封鎖」(つまり、玉がxに逃げるのを防ぐ)。当然ながらこの例がいちばん多く、無双で14例、図巧で13例。
2014-11-17 02:25:28メカニズム1「退路封鎖」の例としてわかりやすいのは、無双1番。 pic.twitter.com/IkOpGaR9H7
2014-11-17 02:29:054手進んだ局面。ここで44金、同金といったん44の地点を封鎖してから、33龍と捨てる。 pic.twitter.com/y9TXrBMllm
2014-11-17 02:31:00図巧50番もメカニズム1の例としてやはりわかりやすい。 pic.twitter.com/8x8kA0XID2
2014-11-17 02:35:254手進んだ局面。ここから17龍、38玉、37龍と追うと49玉と逃げられるので、先に49角、同桂成を入れておく。 pic.twitter.com/qOp3j5NB4d
2014-11-17 02:36:39ちなみに、この例は受方駒Xの移動と、その空いた場所に攻方駒Aが移動する手とのあいだが空いているような例で、こういう遅延するウムノフ手筋も含めることにする。
2014-11-17 02:39:44「退路封鎖」以外のメカニズムとなると、ぐっと作例は少なくなる。まずはメカニズム2として、「二歩禁」。将来その筋に歩合をされると詰まなくなるので、その玉方歩を移動させて取らないようにするというもの。
2014-11-17 02:42:2710手進んだ局面。ここで44馬、23玉、25龍と進むと24歩合とされるので、それを防止して、先に26桂!同歩と吊り上げておく。こうすれば24歩合が打てず、代わりに24桂合となる。 pic.twitter.com/ro2pn4U7MC
2014-11-17 02:51:24その24桂合までの局面。ここでもふたたびウムノフの手筋で、33馬と取らずに、34龍!同歩、33馬!と空捨てする。これは意味づけが純粋ではないが、いちおう退路封鎖で、効果は邪魔駒消去。 pic.twitter.com/ej3FX5CI56
2014-11-17 02:54:59実は、メカニズム2の例はあともう1つ、無双9番しかない。 pic.twitter.com/brdlK7NwDS
2014-11-17 02:56:4814手進んだ局面。ここで64角成以下進めると、62歩合をされて詰まなくなるので、65龍!同歩、64角成と歩を取らないように工夫する。キーとなる手を龍捨てにしたかったんですね、きっと。 pic.twitter.com/ORC9m6ILyM
2014-11-17 02:58:4910手進んだ局面。ここで33龍と普通に取ると、将来16玉の形まで追ったときに17歩が打歩詰。そこで、ここから34金!同玉、25金、同桂!、24龍、43玉、33龍として受方駒25桂を残し、17歩を打てるようにする。潜伏期間の長い伏線。 pic.twitter.com/mCq3blx4cO
2014-11-17 03:08:30このメカニズム3は、無双が2例、図巧が3例。せっかくなので、図巧の例を見ておこう。42番。 pic.twitter.com/nwyZXAXmHW
2014-11-17 03:10:554手進んだ局面。ここで普通に55金、35玉、46角とすると、26玉で打歩詰。 そこでまず、46歩!同と、55金とウムノフでと金を取らずに進めたのが次の図。 pic.twitter.com/t7BPs5FudP
2014-11-17 03:13:38ここでもやはり46角と取ると26玉が打歩なので、もう一度ウムノフで、36歩!同と、46角!とする。これで26玉のときに27歩が打てる仕掛け。つまり、メカニズム3によるウムノフをダブルでやったチェーンになっているわけ。なるほどね。 pic.twitter.com/zTf8fxGI5G
2014-11-17 03:16:17それでは、宗看が気づかず、看寿が発見した、あと3種類のウムノフのメカニズムとは? 次回までの宿題としておきます。
2014-11-17 03:18:21ウムノフ手筋の話の続き。宗看が気づかず、看寿が発見した新らしいメカニズムには3種類あって、まずメカニズムその4は、いったん移動させる受方駒Xによって、別の受方駒Yのラインが遮断されるというもの。
2014-11-19 00:07:55この作例は図巧に5局ある。ほとんど原理図と言えそうなのが18番。 pic.twitter.com/jDSDHwAiGT
2014-11-19 00:10:46その2手目の局面。攻方は27桂を消去したいが、ここでいきなり15桂とすると同飛とされて、後で詰まなくなるので、24歩、13玉、14歩、同と、23歩成、同玉とと金を14にはさんでから、15桂と捨てて同とと取らせる。遅延ウムノフの手筋。 pic.twitter.com/9CVAxLd02j
2014-11-19 00:14:42