「フー・キルド・ニンジャスレイヤー?」#2・再放送Ver(実況なし)
◆(((私はニンジャスレイヤー……私はニンジャスレイヤーだ……私はニンジャスレイヤーを宿す……)))マントラめいて、彼はニューロンに反復し、刻み込む。真実を。彼の真実を。(((私はニンジャスレイヤーを宿している……私はニンジャスレイヤーだ……ニンジャスレイヤーなのだ))) ◆
2014-11-21 15:38:04◆彼の中にある意志無き不定形のニンジャソウルは、彼の強烈なイメージによって輪郭を付与される。逆光の中で立つあの赤黒のセンシの記憶イメージを。(((ニンジャスレイヤー……ニンジャスレイヤー……ニンジャスレイヤー)))不定形のニンジャソウルが、どろりと蠢く。◆
2014-11-21 15:43:16◆(((ニンジャ……?スレイヤー。ニンジャ……スレイヤー?)))コダマめいて、ニンジャソウルがセイジに返す。(((そうだ。ニンジャスレイヤー。お前はニンジャスレイヤーだ)))(((お前は、ニンジャ、スレイヤーだ)))(((そうだ。俺はニンジャスレイヤーだ))) ◆
2014-11-21 15:47:48「ヒートリ、コマキタネー」「アカチャン!」「オッキクネ!」……上空をゆっくりと飛行する宣伝モニタマグロツェッペリンの柔らかなライトを受け、ニンジャスレイヤーの「忍」「殺」の黒鋼メンポは白く光を波打たせる。ビル屋上縁で身を屈めた彼は、そこから下の裏路地を注視する。 1
2014-11-21 15:48:52見下ろす彼の視線の先には紫色のネオン立て看板。地下バー「風車」の入り口を示す。彼はそのまま息を殺して待つ。IRC傍受情報の断片を解析し、入手したニンジャ出現情報。今夜このバーへ、この区画で幅を利かせているニンジャがエントリーする。反抗的ヤクザに制裁をくわえる為に。 2
2014-11-21 15:50:56ニンジャスレイヤーは協力者のネットワークを持つ。彼の英雄的行為、或いは彼のカネを信奉するハッカーや事情通達の繋がりだ。ネオサイタマを飛び交うIRC通信を監視し、解析し、ニンジャを見つけ出す。雑なシステムだが、脇の甘いニンジャはこのナリコを踏む。そうなれば処刑シーケンスの開始だ。3
2014-11-21 15:58:43……ニンジャスレイヤーの瞼がピクリと動いた。念のため彼は屋上に腹這いになり、いっそう気配を殺した。裏路地に黒塗りの車が停まり、中から数人のヤクザが出て来た。彼らは45度オジギで硬直した。遅れて降車したのはニンジャである。毛皮コートをはだけると、オイランが手を伸ばし、受け取った。4
2014-11-21 15:59:50「センセイ、宜しくお願い致します」「センセイ、ドーゾヨロシク」ヤクザ達は45度オジギの姿勢のまま厳かに言った。石灰色のニンジャは尊大に頷き、首をゴキリゴキリと鳴らした。そして言った。「五分もかからぬわ。アイドリングさせたまま待っておれ」「「ドーゾヨロシク!」」 5
2014-11-21 16:03:34石灰色のニンジャは「風車」の狭い階段をスタスタと降りて行った。ニンジャが見えなくなってから、ヤクザ達はオジギの頭を上げ、タバコに火をつけた。「最近どうだ、お前」「女か?」「そうよ。どうなった」「ああ……」他愛も無い会話が始まる。ニンジャスレイヤーは起き上がり、呼吸を整えた。6
2014-11-21 16:05:39彼は脳内で彼らヤクザ達の殺害絵図を描く。車内にはオイランもいた。当然殺す。(((ニンジャスレイヤーはそうする。慈悲は無い。それがニンジャスレイヤーだ)))彼は心中で呟く。(((俺は誰よりもニンジャスレイヤーを理解している)))残忍な喜色が瞳にさした。彼は跳んだ。「イヤーッ!」7
2014-11-21 16:09:04「アバーッ!」落下の勢いを乗せて打ち下ろしたカワラ割りパンチが、ヤクザの脳天を粉砕殺!そのインパクト瞬間に繰り出した空中回し蹴りが会話相手のもう一人のヤクザの首を折って殺す!「スッゾオラー!?」運転ヤクザが慌ててドア窓からチャカを向ける。「イヤーッ!」「アバーッ!」スリケン殺!8
2014-11-21 16:12:23「アイエエエエ!」後部座席のオイランが悲鳴を上げた。その喉と心臓へ、窓ガラスを破って、立て続けにスリケンが突き刺さった。生きているものはニンジャスレイヤー以外に無し!イナズマめいて後ろを振り向き、「風車」の階段をしめやかに降りてゆく。……ドン、ドン、ドン。漏れ聴こえるビート音。9
2014-11-21 16:15:52一段飛ばしに階段を下りてゆく彼のニューロンのなかで、残虐な殺意がますます膨れ上がる。(((ニンジャを殺す者、それがニンジャスレイヤー。それが俺。まさに俺がニンジャスレイヤーだ)))「誰の紹介?今は招待客しか……」受付店員は覗き窓から顔を出した瞬間に、わけもわからず死んだ。10
2014-11-21 16:17:26受付店員の両目から指を引き抜き、壁に指先の血を擦り付けた。(((慈悲は無い。ニンジャスレイヤーはニンジャ殺しの阻害要因に容赦などしない!)))防音扉を押し開ける。ドン!ドン!ドン!ドン!ビート音が衝撃波めいて身体を震わせる。店内はさほど広くない。「どこだ。ニンジャ」彼は呟く。11
2014-11-21 16:21:48ダンスフロアを彼は横切る。踊っている男女が数人。壁際には濃厚に睦み合うカップル。角のソファにはハイになった女。カウンターには酔いつぶれて突っ伏している男。バーテンが店内のビデオ映像をぼんやりと眺めている。奥にはベルベットのノレンで遮られた部屋が一つ。迷わずそちらへ向かう。12
2014-11-21 16:24:33「ソマシャッテコラー!」「チェラッコラー!」「ワドルナッケングラー!」ノーレンに手をかけたニンジャスレイヤーは、突如沸き起こったヤクザスラング、それからグラス破砕音を聴き、一瞬立ち止まった。「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」戦闘音!彼は踏み込む! 13
2014-11-21 16:28:06カラテを構える彼の脳内をニンジャアドレナリンが駆け巡り、時間が鈍化した。空中を三人のヤクザがゆっくりと吹き飛び、ゆっくりと背中から壁やショドー「心」の額縁に叩きつけられてゆく。床に落ちたキリコグラスが割れて飛び散る。石灰色ニンジャは連続打撃を終え、彼を振り返った。14
2014-11-21 16:32:07二者の視線がぶつかり合った。ニンジャスレイヤーは先手を打ってオジギした。「ドーモ。ニンジャスレイヤーです」石灰色のニンジャはその目に怪訝な色を浮かべつつ、アイサツを返す。ニンジャスレイヤーにとって慣れっこの反応だ。「ドーモ。ニンジャスレイヤー=サン。ウィッシュボーンです」 15
2014-11-21 16:37:05「ニンジャ殺すべし」ニンジャスレイヤーはカラテを構えた。ウィッシュボーンは返した。「ニンジャスレイヤーだと?ハ!ジゴクから蘇り、ネオサイタマに戻ったとでも言いたいか?腰抜けが流布した都市伝説と穿っておったが、実際におったとはな……コピーキャットのいかれニンジャが!目的は何だ」16
2014-11-21 16:40:04どろっとした怒りがニンジャスレイヤーの視界を赤く染めた。その両腕から炎が噴き出した。「死ねばわかるだろう。俺が真のニンジャスレイヤーだという事が!」「笑止よ!」ウィッシュボーンがチョップを繰り出す!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはチョップを腕で弾く! 17
2014-11-21 16:40:37「グワーッ!?」腕を包む炎がウィッシュボーンのチョップに移り、その手を焦がす。攻防一体のジツ!「イヤーッ!」カラテの崩れたウィッシュボーンの腹部に、ニンジャスレイヤーはボディブローを叩き込む!「グワーッ!」ケリ・キック!「イヤーッ!」「グワーッ!」KRAASH!テーブル粉砕!18
2014-11-21 16:45:29