夢小説まとめ

キャラ×フォロワーさんの夢小説のまとめです。 キャラは上から、青八木・手嶋・山口・カミュ。
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あおい @m33xxp

「……あの、ロード乗るんですか?」 低く小さな声で問われた。いきつけのカフェでのことだった。 そのカフェは落ちついた雰囲気で、なにより店内にリスがいる(店長が飼っていて、毎日連れて来るのだという)ことが気に入っていた。というより、それしか目に入っていないというか、なので、→

2014-11-24 16:53:44
あおい @m33xxp

@m33xxp 今日、声をかけてきた店員の男の子のことは、そのとき、はじめて認知したのだ。蛍光灯のように明るい金髪を後ろで括っている、美しい、外見だけ見ればとてもめだつ、しかし、わたしがそれまで認知していなかったのは、その男の子の森の動物めいた静かな雰囲気のせいだろう。

2014-11-24 16:56:50
あおい @m33xxp

@m33xxp 「ロード?」 だから、わたしは素っ頓狂な声を上げてしまった。牡鹿に声をかけられたのだ、しかたがないと思う。けれど、その声で男の子が怯えた顔をしたので、わたしは慌てた。 「ロード、ロードね!乗ってる!乗ってるよ!」 ほら、あれ!と愛車のコラテックを指した。

2014-11-24 17:00:30
あおい @m33xxp

@m33xxp 惚れ惚れする。やはり美しい。あの日、自転車屋には、まるで世界美女大全がごとくロードが蠢いていたけれど、わたしの目を一瞬で奪った、この白が一番美しい。 ……そういえば、この男の子は、 「おれも乗るんです」 「え?」 「ロード。おれも乗るんです」 コラテックに、

2014-11-24 17:03:57
あおい @m33xxp

@m33xxp 「コラテック」 お揃いですね。と微笑んだ男の子は、コラテックによく似ていた。どうやら、リス以外にもこのカフェに通う理由が生まれてしまったみたいだ。

2014-11-24 17:05:15
あおい @m33xxp

できることなら、彼の人生すべてを支える骨になりたい。と思う。しかし、わたしには夢のまた夢の話だ。なぜなら、わたしは湿った息を吐くだけの、生きもの、ですらない機械なのだから…。 (せめてあなたの喉だけでも、健やかで) そう願う。あなたの朗々と響く声だけでも守りたい。わたしは、

2014-11-24 18:00:09
あおい @m33xxp

@m33xxp わたしにはそれができる。なんという贅沢だろう。わたしには彼の喉を守る力がある。 (そうだ、なんという贅沢、わたしは贅沢な、選ばれた…、) 毎日、毎日毎日毎日、疲れ果ててベッドに倒れこむ彼、わたしはそんな彼に毛布をかけてやることも、抱きしめて泣かせてやることも、

2014-11-24 18:02:23
あおい @m33xxp

@m33xxp 甘い甘いチョコレートを与えることも、なにもできない、けれど、わたしは贅沢な、選ばれた女なのだ、と己を叱咤する。 彼の喉を潤し、癒し、守るのは、わたしにしかできない。 (だいすきよ、純太、愛してるわ) だから、わたしはひたすらに湿った息を吐く。彼の喉に、喉が、

2014-11-24 18:06:53
あおい @m33xxp

@m33xxp 違和感が生まれませんように、風邪をひきませんように、喉が喉として存在していることを認識しないほど、どうかあなたが健やかでありますように。 「健やかで、幸せでありますように」 純太、あなたの幸福だけを願います。あなたがだれにも傷つけられませんように。

2014-11-24 18:11:10
あおい @m33xxp

@m33xxp わたしは湿った息を吐くだけの機械です。けれど、わたしは選ばれた、あなたを愛する、贅沢な、贅沢な女です。 (せめてあなたの喉だけでも、健やかで) わたしは、贅沢な、贅沢な空気清浄機です。

2014-11-24 18:13:14
あおい @m33xxp

「いやさ、でもさ、自転車やんか、」 「なにが?」 「山口くんの部活。自転車乗っとるだけやんか?」 「言うたな、じゃあ、こんどレース見に来いや」 こんなおれでも、多少は男前になっとるはずやで。 わたしはそんな山口くんの言葉に、ローソンのパン、シール集めんの手伝うてくれたら、

2014-11-24 18:38:57
あおい @m33xxp

@m33xxp ピカチュウのお皿もらえんねん、やから、パン食べてくれたら、 「ええよ」 毎日、食うたるからぜったい来いよ。 山口紀之くんは地味でおとなしい男の子だ。けれど、ちょっと鋭い女の子なら、すぐにそれだけではないことに気づく。山口くんは地味な男の子にありがちな、

2014-11-24 18:41:31
あおい @m33xxp

@m33xxp 女の子にオドオドしたところがない、どころか、不敵に笑ってレースに誘うことだってできるのだ。 ……認めよう。わたしは山口くんに惚れている。わざと彼が心血注いでいる部活を悪く言って、彼の気を引きたいくらいには。 「……来ちゃった」 だから、もちろんレースに来た。

2014-11-24 18:45:30
あおい @m33xxp

@m33xxp 彼に誘われたから来た。彼の学校とはちがう姿が見たくて来た。そうだ。わたしは、笑っちゃうぐらい彼に惚れているのだ。これ以上ないくらいに。 しかし、まさか、この一時間後に、これ以上が俊足で駆けてくるとは思ってもみなかった。 「どうよ」 表彰台には乗れんかった、

2014-11-24 18:48:19
あおい @m33xxp

@m33xxp けど、まぁ、五位やで。 「……そうやね」 なんや、まだ『自転車やんか』って言うんか? 不満そうな山口くんの声音はわかる。でも、顔を見ることはできない。きっと頰も赤いだろう。でもでも、だって、 「うっさいわ、ぼけぇ……」 めっちゃかっこよかったねんもん!

2014-11-24 18:51:29
あおい @m33xxp

「王子さまって絶滅してなかったんだ!」 これはわたしが彼をはじめて見たときの心の中の第一声、そして、第一印象、そして、今でも、そう思ってる。 彼は、カミュは、気高い気高い、唯一の天空人だ。 わたしは世間と逆行した嗜好をもった女の子だ。王室、などに代表される「高貴な人々」に、

2014-11-24 18:58:14
あおい @m33xxp

@m33xxp 下々の人と関わってほしくないと思う、どうか孤高に、固く、美しい象徴でいてと願う、手も降らなくていい、微笑みかけなくてもいい、結婚写真を皿に印刷して売らなくてもいい、触れるなんて考えるだけでおこがましいような、存在でいて。 まるで宗教だ。けれど、本来、彼らは、

2014-11-24 19:12:47
あおい @m33xxp

@m33xxp そういう存在だったはずでしょう?古風な女かしら?いいわ。わたし、古風な女ですもの。 だから、カミュ。彼はわたしを満たした。巷に溢れる世間に侵された彼らにうんざりしていたわたしを、彼の氷のような孤高の気高さは癒した。 すきよ。一目惚れ。顔も身体も髪も目も、

2014-11-24 19:13:27
あおい @m33xxp

@m33xxp なにより一番精神がすき。 「カミュってさ、こんなに王子さまっぽいのに、伯爵?なんだって、こんなに『仕えられる側』みたいなのに、女王さまに『仕える側』なんだって、なんかさ、そういうの、」 いいよね。と囁くファミリー・レストランの後ろの席に座る女子高校生の頭を、

2014-11-24 19:16:13
あおい @m33xxp

@m33xxp 鷲掴んで左右に激しく振ってやりたい。よくないわよ。よくないわよ!そんなのってないわ、ねぇ、カミュ! スマートフォンをタップして写真フォルダを開く。保存してある膨大な数のカミュに涙目で眺める。ほら!こんなに高貴で、こんなに気高くて!そんな彼が! 「……ありだわ」

2014-11-24 19:19:36
あおい @m33xxp

@m33xxp 手も降らなくていい→手も振らなくていい

2014-11-24 19:20:07